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Poland Progressive Rock

Abraxas - Abraxas '99 (1999)

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 久々にのんびりと電車に長時間乗る旅をした。車窓から景色を眺めながら物思いに更け、その変化を楽しみながら時間を過ごす、そうしていると好天から徐々に雲天になり雪景色に突入、その向こうには海が見えてきて普段とはまるで異なる世界に突入し、自分の中で鳴り響く音楽も明らかに毛色が変わる。雪景色に似合うサウンドも不慣れと思いつつも最近のポーランドのロックはこういった景色に存分に似合ってしまう寒さと思いながら時を過ごした。人間は憂いのある生き物で、日本も広いと改めて実感した。

 ポーランドのポンプ、ネオプログレの走りとなったAbraxasの1999年リリースの3枚目のアルバム「Abraxas ’99」。先日のAnankeを構成するメンバーが在籍していたバンドでルーツを味わえる感触。更に言えばもっとストレートにシンフォニック調。ところがコンセプトアルバムの様相を示しており、所々のナレーションも含めてかなり統一感のあるハードで攻撃的なエッセンスを持っているから、その意味ではプログレよりもハードロックに近い。もちろん根底にはポーランド独特の陰鬱さや重厚感が漂っているので軽々しくならないユニークさもあり、更にシンフォニック要素が加わり、またクリムゾン的な攻撃性をインプットしたスタンスが前面に出ている不思議。そこに美学が存在している。

 長尺複雑で、しかも歪んだギターもある中のシンフォニックサウンドと時代を考えれば早い時期にこのスタイルに取り組んだパイオニア。ポーランドのロック史でインパクトを放ったに違いないし、今聴いても古臭くなく、革新性はそのまま損なわれずに実感できる。それも多分ヨーロッパ、しかも特殊な東ヨーロッパの地域柄の特性か、不思議と魅力に惹かれる作品のひとつ。時代を超えた名盤の域にある作品。

After... - Endless Lunatic (2005)

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 21世紀の作品郡はつい先日のように思えるが、もう20年近く経過している。2005年のアルバムも実際は14年も前のアルバム。既にバンドのキャリアは二周り目に入っているくらいのキャリアだ。

 ポーランド出身のAfter...は2005年に本作「Endless Lunatic」でファースト・アルバムをリリースしてシーンに登場して、何枚もアルバムをリリースしている。こちらも実にポーランドらしい陰鬱でメランコリック感溢れる儚い作品で、男性ボーカルだけど変わり者かもしれない。ネオプログレの流れにあるサウンドが中心で、分かりやすいサウンドが詰め込まれているが、陰鬱と言いつつも実にメロディアスで流れやすい歌のラインが印象的。特に変拍子プログレでもないし、ヘヴィなギターのサウンド中心でもなく、美しさが前面に出ているアルバム。

 Quidamのメンバーが参加しているようで、話題はあるけどシンプルにサウンドが売りだろう。ギターソロは当然のロングトーン系のメロディフレーズが炸裂してくるパターンで美しさが印象に残る。この手のはポーランド勢のドンピシャにハマったサウンドを出してくれる。あと一歩のインパクトは欲しいけど、まずは見事な作風です。

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