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iOS14によって、Apple、Google、Samsungは飛躍し、Facebookは後退する。そして、広告代理店は絶望するかもしれない。

iOS14の正式リリースが、3ヶ月後になった。

1.IDFA取得は極めて難しくなる 

今まで広告のターゲティングなどに幅広く用いられてきた端末固有のID、IDFA(Identifier for Advertisers)だが、iOS14からオプトイン(宣伝広告を配信する際、事前に許可を求めること)が必須になる。

「あなたのWEBサイトなどの利用履歴を追跡してもいいか?」との質問に対して「どうぞ追跡してください」と答える人は少ないはずだ。

今までの数多くのメディアはIDFAとアドネットワークを経由してメディア同士で肩を組んだようなネットワークを構築し、ユーザーを逃さないよう追いかけながら広告を表示してきたが、それができなくなる。

2.AppleとGoogle がターゲティング広告でも天下を取る

クライアントは、ターゲティング広告の旨味を知ってしまったので、ターゲティングできない広告出稿には全く興味ない。

もし、Google もAppleど同様にADID(広告識別子)取得にオプトインを導入することになると、事実上ターゲティング広告ができるのは、モバイルOSを保有しているAppleとGoogleのみになるかもしれない。すでにAppleのSearch ADなどはターゲティングが可能となり、最近リニューアルした、Google Adsは、自社独自のリターゲティング広告を出稿できるようになった。

もはや既存のDSP(Demand Side Platform)は、他社となんの差別化もできず、自社DSPを構築してもGoogle Adsに頼れることになる。

3.Facebook広告は後退する

モバイルOSを保有してないFacebookは、AppleやGoogleから見たら、数多く存在するモバイルデベロッパーに過ぎない。彼らは独自IDに紐付いて管理し、属性・興味データ保有してるが、iOS14からは新規ユーザー獲得が難しくなる。但し、FacebookはWEB向けのPixelという自社開発のリターゲティングツール展開しているので、他の広告代理店と比べ、有利な条件ではあるものの、Facebookアプリ内でのターゲティング広告を売れなくなるのはかなり打撃が大きい。

4.Samsungにはワンチャンあり?

GalaxyS20から、プリインアプリ(カレンダー、天気アプリ、カメラアプリなど)に広告を表示しはじめた。モバイルOSは保有してないが、デバイスをコントロールできるのは大きい。彼らは、今年1Qだけで5900万台を販売(世界1位)しているので、広告規模もある、ユーザーにリワード(報酬)を与えてADIDやIDFAを独自で取得することができるかもしれない。

IDFA提供の代わりに有料サービス(すでにSpotifyやYouTube Premiumなどをキャンペーンで提供している)が無料で使えたり、iPhoneよりも高くなったGalaxyを割引して購入させることもできる。Apple、Google 以外で完璧にターゲティング広告ができるのは、Samsungじゃないかなと。

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https://www.galaxymobile.jp/support/mobile-devices/about-advertisement-display-after-updating-the-weather-forecast-application/

5.広告代理店は絶望するのか?

今までの広告は、IDFA及びADIDを活用し、メディアをアドネットワークに束ねて追いかけながら広告を表示することができた、これから難しくなる。メディアそのものがターゲティングされたユーザー属性を持たないといけないし、ターゲティング広告よりは、ブランディング広告に切り替える必要がある。広告代理店は、クライアントの多様なニーズに答えるため、ターゲティングされたメディアを複数保有&連携する必要が出てくるのではないかと思う。

PRESIDENT Onlineにてコラムはじめました。
https://president.jp/articles/-/28505

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