【響かない音がある。ヤマハの量産品と中華ギター】

遊び用にヤマハの量産品と中国製のギターを買いました。ソフトケースで持ち歩けます。中国製のギターは、普段はラティス構造やハイテク仕様のギターを作っている製作家さんのものです。これは珍しく「ごく普通の作り」です。お安いながらも材料は良くて、杉とローズウッドの単板仕様です。一方、ヤマハのギターは、アンプとアクティブサーボスピーカー内蔵のハイテク仕様です。どちらもテンション低めで、とっても弾きやすい。

当初はとくに問題なく使っておりました。最近、セルジオ・アサドの「夏の庭」を練習しています。楽譜は、以前、浜松であったギターのアマチュアコンクールで副賞として貰ったものです。本棚を片付けていて、偶然出てきました。

「夏の庭」のなかの「Remembrance(思い出)」を弾いてみました。メロディラインの個々の音にテンションコードの和音が重ねてあり、とっても印象的な曲です。曲の冒頭はHの単音で始まり、それに徐々に和音が重なっていきます。曲の頭の単音を、軽いながらもしっかり響かせて始めたい。しばらく弾いてみて、気付きました。この中国製のギターは、メロディーの冒頭のHの音が響かないようです。隣のCやB♭は綺麗な響きですが、その後にたくさん出てくる2弦の開放弦Hも、1弦の7フレットのHも響かない。Hの音のところだけ、なぜか響きが凹んでいる。


「あれっ、おかしいな?」と思って、同じ曲をもう1本のヤマハの量産ギターで弾いてみました。曲の冒頭のHはちゃんと鳴りました。ところが、1弦4フレットのG#や3弦の開放弦Gあたりが曇った音がします。どうやらGやG#が響かないようです。「思い出」のなかの最高潮のところで、1弦,6弦11フレットD#と2弦のG(F##)からなるテンションコードがでてきます。この肝心な響きが鳴りません。響きに関して凸凹感があり、音の厚みが全く違います。

普段使っているお高いギターで弾いてみました。張りが強くて弾きにくいのですが、どの音も同じように綺麗な響きがします。ヤマハと中華ギターで、鳴らない音があるのは、もともとの造りなのかな?遊び用だし、まあ仕方ない。確かに価格が20~30倍ほども違いますし、『なるほどー、値段相応の違いがある』ということがよく解りました。

ギターではD調の曲がたくさんあり、曲の中の肝心なところでHやG,G#の音が山ほど出てきます。これらの肝心な音が鳴りません。たぶん聴いている人は気付かないレベルと思います。しかしながら、些細なことですが、演奏していている側からすると、一度気付いてしまうと、ずっと気になりますねえ。なんとなく気持ち悪いです。


【追記です!】響かない音があるので、少々慌てましたが「ウルフトーン」と言いまして、もともと響かない音があると知って安心しました。力学で言いますと、よく響く周波数域を共振点と呼びますが、共振点と次に共振点の間に必ず全く響かない「反共振点」があります。ギターではこの「反共振点」のことを「ウルフトーン」と呼ぶと知人が教えてくれました。

その後いろいろ試してみました。このギターで「夏の庭」を弾く場合、ピッチを半音上げる、もしくは、下げることで全く違和感がないことがわかりました。あるいは、カポをつけて弾くことにします。