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Bound In Fear / Penace (2021)〜ドゥームコアの意欲作〜

UK出身ブルータルデスコアバンド、アルバムとしては2年振りで2作目。初期作品の『Regicide』がSpotifyだとアルバム扱いになってるから3作目になるのかもね。

前作『The Hand of Violence』では圧倒的にドゥーミーなサウンドとエゲツないボーカルワークで、独自のヘヴィネスを追求していたんだけど、本作ではかなり印象が変わった。

重低音でぶち鳴らしていくスタイルは同じなんだけど、どちらかというと機械的な刻みになって冷徹さが増した。前作のような暗黒面とはまた少し違う雰囲気で、メロディーやビートダウン系バンドの要素も使われるようになった。
重低音ドゥーミーをとことん突き進めるともはやほとんど同じにしか聴こえないので、これは良い進化だと思う。

Unique Leaderと契約してからあっという間に3作品リリースしてきたし、かなり勢いに乗ってるんじゃないかな。

#1「(De)Scendance」はHeart of CowardのJamie Grahamがフィーチャー。不穏なノイズを撒き散らした後はゴリゴリのストイックなグルーヴに移行。中盤で気怠いメロディーを一瞬挟んでコーラスっぽいフレーズも聴くことが出来る。そこからは再びアグレッシブな刻みパートへ。ビートダウンバンドっぽいギャングスタイルのプリから極悪ブレイクダウンをかます。最後にもう一押しブレイクを重ねていく。

#2「Penance」はMolotov SolutionのNick Artherが客演。仰々しいリードからスケール感を出してじっとりと展開していく。安定の鈍重なハンマーリフは前作譲りだけど、ボーカルの歌い回しがビートダウン系のバンドっぽくて新たな個性を獲得してる。不穏なアルペジオとベースラインを経て重心の低いブレイクダウンパートへ。そこからはタフガイ系のグルーヴが入り込んでくる。

#3「Scar of Man」は不安定なギターによるイントロから爆走へと転じる曲。元PyrexiaのKevin Mullerがフィーチャー。緩急の付け方が良くなって曲にメリハリが付いた。相変わらず暗黒的な落としは搭載してるけどそれ以外のパートの成長が著しい。気怠いメロディーを使うようになったのもかなりプラスに働いてると思う。

#4「Beyond the Mire」は前作に近いドスの効いた重低音を響かせるドゥーミーなデスコア曲。暗く冷たいメロディーとダウナーな歌唱が入る。そこからは少し重心が上がっていき、煽りまくってメカニカルなブレイクダウンへ。

#5「I Still Dream of the End」は暗いメロディーにSEが絡み付く。徐々にバンドサウンドが表に出てくる。しかしこの曲には明らかにメロディー要素があるぞ。ダウンテンポデスコアに不気味なメロディーを足した感じの曲で面白い。タイトル通りのセリフ“I still dream of the end”から音圧のやばすぎるブレイクダウンをかましてフィニッシュ。

#6「Adrenaline」はテクニカルな爆走や重低音に、オラついたグロウルでかなりゴツい曲。

#7「Cutthroat」はアッパーなデスコアを聴かせる2分程のコンパクトな曲。ビートダウン要素が強くなったかもね。

#8「Sadist」は不安定なピロギターによるイントロ(最近流行ってるの?これ)からミドルグルーヴでボディブローを打ち込んでいくような曲。ドラムのアレンジかスラミング系っぽかったり、怪しげなギターメロディーが導入されたりこの曲も面白い。

#9「Nu11」は重心の低いグルーヴだけどリズムのノリが良くてニューメタルコアっぽい。最近のトレンドもしっかり抑えてるのを感じる。Left to SufferのTaylorがフィーチャーしてるあたりがもうね。

#10「Polarity」は切なげなメロディーの中歌唱パートでスタート。コーラスでスクリームとハイトーンが絡む面白い曲。完全に新機軸のサウンドで、アルバム最後ということを考えれば全然あり。

最近勢いに乗っているだけあって、非常に素晴らしいデスコアを披露している。前作のドゥーミーな雰囲気がダメだった人も、今作なら間違いなく聴けるはず。すごい良いバンドになったし、これからも本当楽しみ。

★★★★★

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