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Of Mice and Men / Echo


カリフォルニア出身メタルコア〜ポストハードコアバンドの通算7枚目のフルアルバム。とはいえ元々はEP3部作だったものをコンパイルしたものですね。

古きはカニパーティコアことAttack Attack!のフロントマンAustineが立ち上げたバンドですが、2016年の『Cold』を機に体調不良で脱退。ベーシストのAaronがそのままフロントマンを務める形で再起を図ったという経緯があります。

Attack Attack!のメンバーは凄いですね。Austineだけでなく、2代目ボーカリストCalebはBeartoothでヒットしていますし。
元はと言えばAaronはサポートベーシストに過ぎなかったのですが、今やフロントマン。余談ですがAaronはポストハードコアバンドJamie's Elsewhereのボーカルもやってます。

Austineは非常に個性の強いスクリーマーで、その後釜としてAaronはどうなの?というご意見もチラホラありますが、安心して下さい。彼は歌えて叫べます。

本作のリリースを持ってAaronがフロントマンになって3作目になるので、ようやく彼のバンドとして認知されるようになってきたんじゃないでしょうか。

新メンバーを迎え入れなかったことからも、他メンバーはかなりAaronに信頼を寄せている印象。

ライブ映像とか見ると顕著なんですが、パフォーマンスがとにかく安定しているんです彼。スタジオ音源と全く遜色無いんですよ。

で、肝心の音楽性ですが、王道のポストハードコア〜メタルコアサウンドといった感じで、小賢しいことはせず歯切れの良いリフとスクリーム、クリーンの交錯で魅せる鉄板バンドです。

それは『Defy』の頃から変わっていなくて、ファンなら安心して聴ける1枚になっています。

ただクオリティーが著しく上がったかと言えば、及第点の作品を連発しているような雰囲気。
むしろ『Defy』の頃の方が攻めていたかもしれません。まあ変に路線変更してずっこけるよりは全然いいんですが。

#1「Timeless」はこれぞメタルコアと言わんばかりのメロウなイントロからザクっと刻むリフと疾走パートに繋げる王道ナンバー。

#2「Obsolete」はスリリングなイントロから疾走パートへ。ベースとなっているリフは基本一緒で、サビ待ちのメタルコアですね。後半の荘厳な空気感は今まであまり使わなかったパターンかも。

#3「Anchor」は新基軸の曲。サンプリングと太めのベースラインでバースを彩り、一気に感情を爆発させます。中盤からはしっかりお決まりの刻みを仕込んで展開を盛り上げていきます。

続く#4「Levee」は新鮮さを感じる曲。粘っこいイントロリフからノイジーなサウンドをちらつかせ、Aaronはいつになく叫び倒します。これはキラーチューンですね。

#5「Bloom」はAaronの歌唱からフェードインしつつも、バースでは叫びまくり、そのままスクリーム混じりのサビへと繋げるナンバー。良いですね。

#6「Pulling Teeth」はいつものアグレッシブなナンバーですが、ドラムがいつになく跳ねるように叩いているせいか攻撃力高め。バスドラも踏みっぱなし。歌メロも良いですし、アルバム後半にかけて勢いつきますね。

#7「Mosaic」では前曲の勢いそのままにさらにテンション上げて爆走。ここまで振り切ったアグレッションを見せてくれると気持ちが良いです。

#8「Fighting Gravity」はメロディー重視のエモいメタル。サンプリングや全体を淡く彩るシンセとAaronの歌声が良い感じ。

#9「Echo」はアンビエントなエレクトロサウンドにシンプルな刻みを合わせ、そのまま歌メロに持っていくナンバー。静と動のゆらめきが美しいです。

#10「Helplessly Hoping」はバンドサウンドがほとんどなく、オーケストレーションとAaronの歌唱にフォーカスしたカバーソング。

全体的に小慣れた感じで、前作で感じられた焦燥的なアグレッションは控えめになって、良くも悪くも小慣れた印象の作品です。

後半から勢いついたのは良かったですね。

出来栄えとしては決して悪くないんですが、バランスが中途半端でいまいち吹っ切れないモヤモヤが残るのも事実。メロディーも攻撃性も前作、前々作に軍配が上がりそうです。思い切った作風がこのバンドにもそろそろ必要になるかもしれませんね。
元々アルバム単位でリリースしている作品ではないですし、次作でどうなるかがかなり重要になってくると思います。

★★★☆☆



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