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Science of Sleep / Hellmouth (2016)〜ジャーマンデスコアの名盤〜

ドイツ出身デスコアバンド、3年振り通算2枚目のフルアルバム。残念ながらこの作品を最後に解散を発表。
アルバム以前に7曲入りEPも出しているのでそれなりに聴き応えはあるバンド。

ボーカルのMarcusがスラミングデスメタルバンドAcraniusへの加入したこともあり、改めてこのバンドを紹介しておこう。

まずこのバンド、解散が惜しまれる非常に高い水準。多くのバンドがシンセを取り入れたりその他サブジャンルを積極的に取り入れ差別化を図る一方で、このScience of Sleepは小細工無しの漢気溢れるオーソドックスなデスコア。

デスメタル然とした刻みや残虐性の高いリフを連発しながら、陰湿なメロディーを取り入れる。その手法は至ってシンプルだが、クオリティーがとても高い。
ボーカルはハイピッチもたまに使うがグロウルがメイン。オーストラリアのThy Art Is Murderや初期のWhitechapelなどが好きな人ならドンピシャなはずだ。

#1「Hellmouth」は冷たいメロディーと刻みからフェードイン、極太のグルーヴを纏いながら厳ついグロウルで攻め立てる。そこからは細やかなデスメタルリフを連発、縦ノリ感をしっかり残しつつ結構テクニカルな音像だ。

#2「Purge」も突進力の高いドラミングと細かい刻みにわずかにメロディーが絡むタイプの曲。甘さは無く漢気溢れるタフネスに満ちている。素晴らしい。振り絞るようなスクリームやハイピッチも一瞬だけ披露する。

#3「Colomns of Greed」は不協和音的なフレーズをイントロに配置して爆走、ここまでは同じ展開だが徐々にギターがテクニカルに。ハンマーのように振り下ろすブレイクダウンに陰湿な高音ギターが絡む。

#4「Fed to Pigs」は厳ついグロウルから高音デスメタルリフがテンポ良く配置される。彼らの特徴でもあるが、展開にほとんど無駄がなくあっという間に曲が終わってしまう。Nico Webersが客演で花を添える。いやほんと漢気しか感じねえ。

#5「Tremendous Strain」は序盤じっとりミドルテンポで聴かせる。ところが案の定すぐさま爆走へ。トリッキーなギタープレイが決して主張しすぎることなく差し込まれるあたりにセンスの良さを感じる。

#6「Wanderers」は鬱々としたメロディーが先行して徐々にアグレッションを高めていく。彼らの中では比較的落ち着いた曲調ではあるが爆走は必須。高音ギターとプリミティブな刻みの混ざり具合が本当にカッコいい。デスコアのテンプレスタイルをそのまま行くタイプなんだけど、とにかくそのクオリティーが高すぎる。

#7「Painfield」は物憂げなイントロにグロウルが絡みつき、そこから緩急を活かしてストップアンドゴーをスムーズに繋げていく。滅多に披露しないハイピッチが意外にえぐくて、この辺のスタイルもWhitechapelのPhil Bozemanを彷彿とさせられるところなのかもしれない。悲痛なハイピッチが結構出てくるこの曲はブラックメタルにも聴こえるね。後半の鬱々としたメロディー使いもブラメタっぽい。

#8「Condemned to Burn」は印象的なドラムのフィルインから突貫爆走スタイル。これなんかもろにThy Art Is Murderの血筋を引きまくってる。いや、これは本当色々なことが上手くいけばジャーマンデスコアの至宝となっていた可能性すらある。プロモーションはImpericonがやっていたりそこそこ注目はされてたんだけどね。

#9「Swamp」はNastyのMatthias Tarnathがフィーチャー。圧倒的なドラムのアグレッションがすげえ。ちなみにここのドラマーDeniss Kosinskiはブラックメタル〜ブルデスバンドIn Demoniでも活動中。

#10「Deaths Realm」は陰湿なメロディーが曲を支配しつつ決してアグレッションは落とさない。Impending Doomみたいな荘厳な空気感とかもあるかもね。そう、よく考えるとベテランデスコア勢の良いとこ取りなのよねこのバンド。

#11「Todestreiben」は猛烈なアグレッションでザクザクと切り込んでいきながら要所で単音メロが彩る。ブラストで攻撃性を高めて少し大げさな煽りを入れてブレイク。このブレイクダウンはグルーヴィーで他の曲とは違う雰囲気。

いや、めちゃくちゃ良いデスコアですよ。
Walking Dead On Broadwayとほぼ同時期にデビューして期待の2組だったんだけど、残念ながらどちらも解散してしまったね。

★★★★★





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