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Carnifex / GRAVESIDE CONFESSIONS (2021)〜元祖ブラッケンドデスコア堂々の8枚目〜

カリフォルニア出身デスコアバンド、2年振り通算8枚目のフルアルバム。
2005年から活動をしているベテランバンド。スーサイと共にデスコア黎明期を支えた偉大な存在だね。

2012年に1度解散してるんだけど、あっさり1年くらいで戻ってきてそれからは順調に活動を続けてる。

今でこそシンフォニックメタルとかブラックメタル要素を取り入れるデスコアバンドって当たり前になってきたけど、何気にCarnifexはかなり前からそれをやってるんだよね。

なんか日本での知名度ってそこまで無いような気がしてならないんだけど、これだけアルバム出してて日本盤化されてるのって1枚もない気がするし、まあそういうことなんだろうね。

スーサイのセルフタイトルとか日本盤化するぐらいならCarnifexにした方が1万倍くらい良いよ。

なんでわざわざスーサイネタを出したかって、謎のニューメタ化を果たしてティーヒィーティーヒィー♪と喚いてたEddieを尻目に、Scott Ian Lewisは本作でKORNへのリスペクトともに自分達のサウンドに落とし込んだカバーソングを1曲収録してるってことよ。

こういうのをリスペクトと言うんだよ。元々Scottはニューメタルの素養があったようだし、相変わらずAnaal NathrakhのMick Kennyが関わってるようだし、本作も鉄壁の布陣ですわ。

で、本作は15曲のうち1曲がKORNのカバー、皆懐かしの1stアルバム『Dead in My Arms』から渋い3曲が再録された豪華盤。
昨今の情勢も影響したのかてんこ盛りのアルバムリリースしてきたね。

作風としては前作を踏襲。シンフォ要素をさりげなくブレンドした優等生的サウンド。

#1「Graveside Conffesions」は歯切れの良いリフから多少のグルーヴ要素を見せ、シンフォ要素を絡めながら荘厳なメロディーも取り入れられてる。さすがに初期のワシャワシャしたボーカルは鳴りを潜めて、よりアーティスティックなスタイルへと変貌してるね。

#2「Pray for Peace」はチャぐいリフとダウナーなエレクトロに合わせてグルーヴィーに展開。仰々しいブレイクじゃなくあくまで曲のフックとして取り入れてるのもベテランっぽいね。ラストはデジタライズされたモダンなブレイクダウンで締める。リードもデスメタリックで良いね。

#3「Seven Souls」は高音ギターによるキャンキャンとしたグルーヴがメインの楽曲。ハイピッチもグロウルも安定していて心地よさすらある。メロディーパートもあって、ちょうど良い塩梅でシンフォが彩る。アグレッションや緩急の押し引き、デスメタリックなリフがシンフォ要素と良くマッチしている。お手本のような楽曲だね。

#4「Cursed」は不安定なイントロ〜ミドルテンポからブラッケンドな爆走を見せる。粘っこいリフとニューメタルっぽいノイズが混ざり合う。デスメタル由来の高音ギターが程良いメロディー感を演出。

壮大なイントロで幕を開ける#5「Carry Us Away」は一気にアッパーな展開に持ち込む。各パートにしっかり印象的なリフがある。シンフォニックな装飾も施されてるけど、前にあまり出てこずギターとのバランスが上手く取れてる。これは2014年ごろから積極的にやっていたことだし、さすがの出来栄え。

#6「Talk to the Dead」もピアノが絡むもののアグレッシブなデスメタルリフと爆裂ドラミングがあって甘さを感じない。ラフな刻みからグルーヴに持ち込む感じは初期っぽさがあるね。後半はメタルコアらしい情感のあるリードギターが登場。

アルペジオから始まる#7「January Nights」は気怠いアンサンブルが主体のインタールード。そのままフェードアウトするかと思いきや後半で叙情的なバンドサウンドを見せる。

#8「Cemetary Wander」は本作の中でもかなりアグレッシブな曲。デスメタリックな爆走に合わせてグロウルとハイピッチを巧みに使い分け、ブレイクを挟んだ後もガツガツと疾走する。

さらに続く#9「Countess of Perpetual Torment」でも攻撃性が高く序盤はシンフォ要素が控えめ。テンポダウンの仕方がおしゃれ。今作随一のメロディックなリードを挟んで再びビートダウンパートへ。曲展開がコロコロ変わるけど違和感なくスムーズに紡がれていく。

KORNのカバー#10「Dead Bodies Everywhere」は原曲の雰囲気をある程度残しつつ、Carnifex流のエクストリームなデスコアナンバーに仕上げてる。こういうカバーは良いよね。完全に黒歴史と化したスーサイのセルフタイトルが余計悲しくなるわ。

#11「Cold Dead Summer」はスラミングっぽいドスの効いたグルーヴから超速BPMで爆走をかますキラーチューン。この曲をアルバム終盤に置けるほど内容が充実してる。昨今の情勢もあってかなり制作に時間をかけられたんじゃないかな。解散期間が無かったら多分もう1枚くらい出せてただろうな。

#12「Alive For the Last Time」はアッパーなドラミングからリズミカルなグルーヴ、ブレイクを挟んだ後は荘厳な展開へと変化していく。この曲もスリリングで超かっこいいじゃねえか。

#13〜#15は1stからの再録。「Collaborating Like Killers」と「Slit Wrist Savior」なんかデビュー前のEPからあった曲だからね。これはファンには激エモすぎるサービスよな。


活動歴17年を迎えるデスコアの重鎮Carnifex。多くの若手がひしめくシーンの中でも確かな実力とセンスでここまで生き残ってきているのを改めて痛感した。

デスコア聴きたいならCarnifexは聴いて間違いないバンドだよ。

★★★★★



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