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初心者におすすめしたい禁断のピアノ音源

どうもマイコンです。ピアノはなぜ演奏が難しいのでしょうか?オーケストラ楽器の全音域をカバーして、同時発音が多く出せて、ダイナミクスレンジの広いピアノは楽器の王様と呼ばれています。実際どんな楽器でも奥が深く、プロレベルになるには相当な努力が必要なのですが、ピアノは一つのコードやスケールを覚えたら、12通りの全く異なった押さえ方を学ばなければなりません。コードもクローズボイシングとオープンボイシングのコンビネーションが多数あって、セブンスやらテンションやら、それらを効果的に響かせるノウハウも必要になります。ピアノのスケール練習から始めて音楽理論を学び、コードを熟知してピアノアレンジが出来るレベルに到達するのに個人差は大分あると思いますが、4〜5年は必要でしょう。

禁断のピアノ音源とは

楽曲のピアノアレンジをする際には、メロディーや他の楽器の譜割りバランスを総合的に考えますが、そこに演奏者の経験値の高さとセンスが求められます。よく言われる「アレンジの引き出しの多さ」を増やすべく、ミュージシャンは日々様々な音楽を聞いてアレンジを吸収しているのですが、鍵盤楽器歴約30年の筆者が「これを使ったら反則でしょ!」と叫んでしまった驚愕のピアノ音源、E-INSTRUMENTS 社のSESSION KEYS シリーズをご紹介します。初期製品は2014年にリリースされているのでご存知の方も多いかと思いますが、初心者にとっては大変参考になり制作に活用できる強力な音源です。

禁断の機能:スマート・コード機能

スマート・コード機能

パッドやキーにコード(和音)を割り当てることができます。例えば調がCキーに設定されている時、鍵盤のドを押すと自動的にCメジャーコードが発音されます。キーのダイアトニック・コードがCメジャー・Dマイナー・Eマイナー・Fメジャー・Gメジャー・Aマイナー・Bディミニッシュと対応していて、音楽理論を知らなくても鍵盤を1つ押さえれば自動的にダイアトニック・コードになるのです。黒鍵を押さえながら白鍵を押すと、和音の展開形やSUS4、7th、9thを演奏できます。音楽理論の話はまた別の機会にしますが、SUS4は楽曲がこれから盛り上がる時、7thは大人の雰囲気を出したい時、9thはジャズの雰囲気にしたい時などに使用すると良いでしょう。

リズムマシンにも対応

こちらの画像のように、MIDIキーボードに限らずMIDI信号を出せるリズムマシンでもこの機能を使えます。これだけで初心者には嬉しい機能ですが、スマート・コード機能は単純にコードを生成するだけでなく、次にご紹介する機能を活用するための布石にすぎないのです!

禁断の機能:セッション・アニメーターの魔法

自動コード検知:
スマート・コード機能が生み出したコードを検知して、ピアノフレーズを自動的に創り出します。スマート・コード機能をオフにした場合は、MIDI入力された音程からコードを自動判別しますので、コードをご存知の方はいつものようにコードを押さえれば大丈夫です。セブンス以降のコードを使用すると判別が上手くいかない場合がありますが、その際は基本形で押さえたり、ボイシングを工夫すると読み取ってくれます。
大量に用意された演奏の引き出し:
ここが禁断の核となる機能です。演奏パターンはフォルダ分けされていて、上の画像では中央上部で選択されています(01 cin Crush 100 BPM)。1フォルダにつき、イントロ、Verse、Bridge、Chorus1、Chorus2、エンディングの6パターンが用意され、1曲に対応できるように考えられています。GRAND Y、S、UPRIGHT PIANOには演奏パターン38フォルダ(38×6=228パターン)収録し、ELECTRIC R、S、Wには演奏パターン40フォルダ(40×6=240パターン)を収録。「song」メニューからフォルダプリセットを呼び出すと6パターンがC-2からB-2にマッピングされ、キースイッチとして演奏パターンを選択できます。DAWではコードのルートを1音だけ入力して、C-2からB-2で演奏パターンを選べばアレンジが出来上がっていくという魔法のような機能です。

実践1:スマート・コードとセッション・アニメーター

DAWで単音を打ち込んだだけで、プロキーボーディストのような演奏をしてくれます。

実践2:Complexityとパターンの手動選択

プリセットフォルダ1個の中に6パターンあり、パターンそれぞれが3つのバリエーションを持っています。Complexityというスイッチをクリックするか、モジュレーションホイール(MIDI CC#1)で切り替えることができるので、曲の展開に合わせてオートメーションを書き込む事もできます。これはつまり、GRAND Y、S、や UPRIGHT PIANOでは 38フォルダx6パターン=228パターン →さらに3バリエーション=684パターンあるという事を意味します。そして ELECTRIC R、S、Wでは演奏パターン40フォルダx6=240パターン →さらに3バリエーション=729パターン の引き出しを手に入れ、それらがコードに追従して自在に演奏できるという事になるのです。

実践3:ペンターモーフと音源の切り替え

プラグイン画面下、五角形のペンターモーフで通常演奏からリバース演奏、打鍵ノイズなどをモーフィングする事ができます。従来、ピアノのリバースは逆再生した時のフレーズを逆算して演奏しないといけないので、作成に非常に手間がかかりましたが、こちらも一瞬にして、しかもリアルタイムでリバースサウンドが演奏できてしまいます。ここぞという場面に活用したい機能です。ところで、この動画のコード進行は「実践1:スマート・コードとセッション・アニメーター」と全く同じなのですが、演奏パターンが違うだけで曲の印象が大きく変わりました。

応用編1:KANDY-POP

SESSION KEYS ELECTRIC S のプリセットパターンと UJAM の Beatmaker KANDY 、ベースはu-heのHive2を使ってポップなトラックが出来上がりました。

応用編2:エレクトリック・ジャズ

SESSION KEYS ELECTRIC W のプリセットパターンと UJAM Virtual Drummer SOLID 、ベースは UJAM Virtual Bassist MELLOWを使用。SESSION KEYSのパターンにはエンディングも用意されているので、最後は手動でキースイッチを押しました。キースイッチをリアルタイムに押してDJ的な楽しみ方も可能です。

応用編3:カノンをピアノ協奏曲に

SESSION KEYS GRAND Y のプリセットパターンと UJAM SYMPHONIC ELEMENTS STRIIIINGS を使ってパッヘルベルのカノンをピアノ協奏曲アレンジにしてみました。SESSION KEYS GRAND Yにはクラシカルな演奏パターンがたくさん用意されているので、普段クラシックに馴染みがない方には重宝すると思います。

ご自身の演奏テクニックを磨く事もお忘れなく!!!

これまで鍵盤演奏パターンを大量に集めたMIDIフレーズ集は多々ありましたが、SESSION KEYS シリーズはリアルタイムでコードネーム通りに演奏を合わせてくれる点が、曲作りやアレンジにおいて画期的です。また、パッドや鍵盤にコードを割り当てることができる機能も秀逸で、音楽理論を知らなくても楽曲キーに合わせた演奏をする事ができます。それを元にバッキングパターンを選んでいけば、プロピアニストに演奏を依頼しているかのようなハイクオリティなアレンジが完成して行きます。今回色々なパターンを試してみましたが、曲がいくつも生まれてしまいそうな「作曲スイッチ」をSESSION KEYSは持っていると感じました。使っていると、作曲の天才になったような錯覚に陥ってしまう、、これはやはり禁断の音源なのではないでしょうか!初心者の方にぜひチェックして頂きたいですが、この音源を参考にご自身の演奏テクニックを磨く事もお忘れなく!!!

SESSION KEYS GRAND Y
SESSION KEYS GRAND S
SESSION KEYS UPRIGHT PIANO
SESSION KEYS ACOUSTIC BUNDLE
SESSION KEYS ELECTRIC R
SESSION KEYS ELECTRIC S
SESSION KEYS ELECTRIC W
SESSION KEYS ELECTRIC BUNDLE


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