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怖くない左右分離キーボード ~ 躊躇なくキーボードを割るために

Keychronさんから左右分離キーボードが出る(出た?)そうで、こころなしかタイムラインが分離キーボードで盛り上がっています。自作が必須だった昔とは違い、近年は完成品がちょくちょく発売されてきていました。今回、あのオシャレなブランドから販売されるとあって、これを機にキーボードを割ることを検討しようという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

とはいえこの左右分離キーボード。界隈にいない人から見れば異様なものでしかありません。「わざわざこんなところに飛び込む必要があるのか」「良いって言っている人の話。あれは本当なのか」あるいは「ポチってはみたけど...不安になってきた...」.そんな気持ちの方もいらっしゃるでしょう。

かくいう私も 約一年前に不安と共に左右分離キーボードを導入 した身でございまして、その後色々と試行錯誤を重ねた結果、今では無事元の環境に戻れない体になっております。
この機に乗じて同志を増やすべく、1年使ってみて感じた良い点/悪い点、移行にあたってのTipsなど、供養の意味も込めて共有していきたいと思います。
これから買う方にとっては判断材料に、すでに買ってしまった人には安心材料になることを願っています。

どうでも良いですけど、左右分割キーボードなのか、左右分離キーボードなのか、どっちなんでしょうね。それでは本編です。

ご注意


①キーボード遍歴としてはRealforce, HHKB, Apple Magic Keyboard, Mistel Barocco MD770JP(分離キーボード)あたりを使用していたことがあります。自作等のガチ勢の領域に足を踏み入れたことはありません。
②僕は諸事情あってJIS配列派なので、まだkeychron Q11には飛びつけません。

おしながき

  • 👍 姿勢改善!巻き肩防止!というのは多分本当

  • 👍 スペースキーが2つあるのがとても良い

  • 💡 平行ではなくハの字に配置すると違和感減

  • 💡 スペースキーを上下逆につけると最高

  • ⛔ 見た目の悪影響は結構ある

👍 姿勢改善!巻き肩防止!というのは多分本当

普通のキーボードよりも腕を開いた姿勢のなるので、巻き肩が改善できる…というお話をよく聞くと思いますが、多分本当です。
ただし、変更後すぐに効果を実感する、ということはないと思います。変化に気づくのは、3日~1週間ほど使った後に元のふつうのキーボードに戻したとき、です。このときはじめて「こんな窮屈な姿勢でタイピングしていたのか」と気づきます。
良いスピーカーを買った瞬間は「あれ?あまり変わらない...?」となっても、しばらく聞いた後に元のスピーカーの音を聞くと「めっちゃしょぼい気がする」と感じるあれと同じです。
なので、これを目的として購入した人は1週間は我慢しましょう。

👍 スペースキーが2つあるのがとても良い

安くない買い物をするわけですから「巻き肩防止で健康に!」以外にも明確なメリットが欲しいものです。
これに関しては 左右どちらかのスペースキーによく使うキーを割り当てると捗る この一点が挙げられます。

あなたは普段左右どちらの親指でスペースキーを押していますか?普段は意識していないと思いますが、思い返してみると必ず偏りがある、というより、どちらかの指でしか押していないことに気づくはずです。タイピングにおいて親指の役割はスペースキーを押すこと以外にはありませんから、言うなれば左右どちらかの親指はこれまで完全に遊んでいたわけです。
左右分離キーボードには左右それぞれスペースキーが実装されているため、このどちらかに装飾キーなどを割り当てることによって、遊んでいた親指に仕事をさせることができます。

僕の場合は右のスペースキーに右CTRLを割り当てつつ、以下のようなキーバインドを設定しています。

  • 右CTRL+o -> Enter

  • 右CTRL+; -> Backspace

  • 右CTRL+hjkl -> 上下左右移動

上記は一例ですが、このようにバインドすることで、すべてのシーンにおいてのhjkl移動を可能にし、EnterやBackspaceを押す際にホームポジションから全く動く必要がないという環境を構築しています。右CTRLは使い慣れた他のショートカットと被ることはほとんどない、という点でもGoodです。
その他、Enterキーにバインドしたり、その他の装飾キーを割り当てている方もいらっしゃると思います。(hjkl移動を社内のプログラマではない人に話したら全然刺さってなかった…なんでだろう)

もちろんこの方法はスペースキー以外のあまり使わないキーに割り当てても成立させることはできますが、スペースキーはポジション移動を必要とせず、使う指も親指なのでその他の9本の指がすべてフリーになるという点で優れています。「左右分離」という性能を得るために犠牲にしたその他の性能面を補完して余りあることでしょう。

💡 平行ではなくハの字に配置すると違和感減

普通のキーボードとの使用感の変化を抑えるためのTipsです。

移行直後、多くの人がEnterやBackspaceが遠くなったような感覚を得ると思います。そんなときはキーボードを配置する角度を平行ではなく気持ちハの字にしてみてください。

こんな感じにすると違和感が減ると思います

話は単純で、普通のキーボードを利用しているとき、キーボードへの前腕の入射角は以下の画像の通り直角ではありません。このときの右手小指とEnter/Backspaceとの距離に注目です。

普通のキーボード

分離する際、キーボードが平行になるように配置すると、当然ながらキーボードにへの腕の入射角が直角に近づき、これに伴い右手小指とEnter/Backspaceの距離が大きくなります。

分離キーボード

この状態でタイピングをしていると、Enter/Backspaceをタイプする際に小指を大きく伸ばす必要があり、違和感を感じるというわけです。

見た目としては平行においてあげたほうが良さそうですが、無視できない程度にタイプしづらくなってしまうため、ハの字配置をお勧めします(たまに逆ハの字に配置してある写真をみかけますが、流石にハードモードだと思います  逆ハの字は写真用の配置…とばかり思っていましたが、信頼のおける情報筋より「逆ハの字もアリ」との情報をいただきました。写真をみると確かに配置は逆ハの字ですが、キーボードに対する腕の入射角を通常キーボード利用時と同じようにする、という点では一致しているように見えます。ということでここでは「違和感を感じたらキーボードに対する腕の入射角を疑ってみよう」を覚えて帰っていってください)。

💡 スペースキーを上下逆につけると最高だよ

メカニカルキーボードを利用している方でこれをやったことのない方はとりあえずやってみましょう。親指への負荷が劇的に軽減されます。キーの角が指に当たりません。

厳密にはこれは分離キーボードに限った話ではありませんが、先述の「スペースキーに装飾キーをバインドする」を実践している場合はスペースキーの打鍵頻度が増えるという意味で、このTipsの重要度が増します。
Apple純正キーボードなどからメカニカルへ移行する際の負荷軽減としてもおさえておくと良いでしょう。

⛔ 見た目への悪影響は結構ある

最後にデメリットに触れます。お勧めする以上真実をお伝えすべきという気持ちもありますが、「この問題について一緒に考えてくれる人を増やす」というのがこの記事を書いた真の目的だからです。

気にしない人にとってはどうでも良いことですが、Keychronさんのキーボードに興味があるということは多少なりともカッコイイ感じにしたいと考えているのだと思います。
結論、分割すると想像以上に見た目はごちゃつくというか、スタイリッシュさが失われます(語彙力が無さすぎてごめんなさい)。
管理すべきケーブルが増える、ということはもちろんですが、分割することによる見た目の変化が想像よりも大きいと思います。

分割することによる見た目の変化

特にトラックパッド等と組み合わさった時のなんともいえないガッカリ感が顕著です。【大きなもの x 1 + 小さなもの x 1】から【小さいもの x 3】という配置に変わるように見えるからでしょうか、単純に分割部分の凸凹が気になるからでしょうか、一気にごちゃごちゃ感が増します。以下、比較画像です(サンプルはMistel Barocco MD770JPにKeychronのキーキャップを装着したもの)

分離キーボードをくっつけるとまあ普通
分離させるて間にトラックパッドを置いたりすると…
後述のケーブル問題も出てくるわけです

このように、ケーブルまで合わせるとなんともいえない感じになるわけです。トラックパッドとの高低差があるのも気になります(これは3Dプリンタでスタンドとか作れば解決しそう。やろう)。

また、通常の高さのメカニカルキーボードである以上、リストレストを利用したくなるわけですが、こうなるとさらにアイテムが増えます。【小さいもの x 5】です。通常のキーボードの場合のリストレスではそこまで気にならないような気がするのはなぜでしょう。

更にリストレストを置くと…

これにケーブルが加わります。割とごちゃごちゃしてくるので、通常のキーボードと同等レベルのスタイリッシュな状態を作るのにはセンスが要りそうです(撮影していて思ったけど、これに関してはリストレストが悪いのでは…前使っていた黒の奴の方が良かったのでは。捨てちゃったよ…誰か助けてください)。

管理すべきケーブルが増える問題

PCとの接続についてはBluetooth接続のものもちらほら出てきましたが、左右の結線についてはおそらく現時点では有線のものしかありません。こいつが曲者です。左右の結線用ケーブルにイライラしないためにはどうしたらよいか、いまだに回答を見つけられません。

以下、敗戦の記録です。配線だけに。

L字プラグを使ってプラグを目立たなくする

ケーブルがグレーなら成立するのだろうか…

iPadで隠して、本体との接続にコイルケーブルを使ってみる

流石にやりすぎてしまっている感
コイルケーブルはこういうの - もはや迷走の域

解決策も全然おもいうかばず、デスクやらデスクマットに穴を開けるしかないのではとか思っています(怖くてやりませんが)。いい方法知っている方いたら教えてください。

ということで、見た目はどう考えても分離させないほうがスタイリッシュな感じがするので、とりあえず買ってみて一緒に解決策を考えましょう。

😀 終わりに

色々並べてきたうえで元も子もない話になりますが、とりあえず迷っているなら買ってしまいましょう。モノを買う理由なんて「なんか普通と違う感じでちょっと気分が上がる」とかそんなものでございます。

買うことが正解であった場合、買うかどうかを検討している時間が長ければ長いほど損失が大きくなります。買うことが失敗であった場合でも、一般的に流通しているものであれば売ることができるので、ダメージはそこまで大きくありません。多少の現金を失うことと引き換えに「分離キーボードを試して、合わなかった」という学びを得ることもできるはずです。ここで試さず、未来永劫「もし導入していたら...」という雑念に気持ちを奪われ続けるよりもきっと生産的な日々を送れることでしょう。

ということで皆さんキーボードを割って、僕と一緒に配線問題について考えていきましょう。

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