「FULLY COMMITED＝目一杯・手一杯」

成河さん！38役ひとり舞台。

オーディションを受ける毎日の下積み俳優"サム"が、NYの高級レストラン電話予約係として電話の向こうの相手と会話しつつ、地下の電話交換室で起きる様々な災難を2時間ぶっ通しで演じ分けていく。

終始、ドタバタしているのだけど、ちゃんと受け答えする人の良さそうなサムがよく似合う。舞台上にはひとりなんだけど、音響さん・照明さん含め、チームワークがすごい。

成河さん。何度見ても、彼の持つスピード感が溢れてる。今回はひとりだからなおさら。電話の相手には「レストラン予約」など電話をかけて来る目的がはっきりしていて、その目的に黙々対応しつつも、サム自身の感情が見え隠れ（こいつアホだなーとか）。

サムは最後の台詞まで自分の気持ち・意思を露呈する台詞がないのに、感情ダダ漏れ。ひとり芝居ならではのトラブル（電話の受話器外れているけど電話かかってきたり、言い間違いなどなど）もあるけど、スピードがすごい！

まさに、SHOW MUST GO ON！

最初に成河さんを知ったのは、2004/2007年のエンジェルス・イン・アメリカで、2008年のバーム・イン・ギリヤドの麻薬中毒者役で撃ち抜かれて以来、どの芝居でも感じる身体能力の高さ。今回のサムは普通の人だけど、次から次に残念な出来事が終始起きては解決する、上手と下手を行ったり来たりする、成河さんの身体能力を堪能できます。声・動きで感情を表すことができる俳優さんは本当に貴重。

パンフレットに書かれていた「他人の要求に答え続けていくことでストレスを貯める都市生活」は「拒否できるかどうか」で全て成り立っているんだなあと。DDD青山シアターの地下の階段を上がりきって、246号線が近づいて来ると、「私は東京に住んでいるな」と強く感じたし、やってないこと・ごまかしていること・やめてしまいたいこと、あるなあ。こうしてね！と推薦をされたわけじゃないけど、嫌なことはやめよう！と決めました。この芝居には、そんなパワーがある。

◆FULLY COMMITED

2018年6月28日（木）～7月22日（日）＠DDD 青山クロスシアター

作 ベッキー・モード
翻訳 常田景子
演出 千葉哲也
出演 成河

●STORY ・・売れない俳優サムを演じながら金持ちの社交界夫人、レストラン支配人、日本人観光客、カリスマ・シェフ、サムの父親、変り者のボーイ長、ドミニカ共和国出身のコック、大柄でタフなフランス女、医者、優しい性格のウェイトレス、下っ端のマフィア　etc・・・・
全38役に挑戦！