見出し画像

TERROR テロ

#TERROR done!
はぁ。とまずは一言。

本日ソワレは有罪201/無罪187で有罪でした。

人の命は人の命と天秤にかけられるものではない。
人の命は数値化されない。
同情、モラルよりも原則。
本結論が先例になってはならない。

私のモラル、良心ってなんなのだろうか。と問われる3時間。

開幕前に裁判長が客席で前説をはじめ、「法廷は劇場でもある」といった瞬間に、サザンシアターにいるのか、法廷にいるのかわからなくなる感覚。終始、客電がついていることが非日常の空間に誘うなんて思わなかった!椅子とテーブルしかない舞台空間が法廷にみえるから不思議。

#テロ は骨太で現代的で、実は私の話なのかもしれないと思えるストーリー展開。最後に評議に参加する演出もあるので、1幕と2幕はずっと「どちらを選ぶべきか」と考えながら見ていました。新しい情報が加わる度に、右往左往し、悩む私。どちらに投じても不正解のような心持ち。

森演出・堀尾美術は外れなし!と叫びたい。客殿が常についた状態にあるのに、緊張感がずっと続き、台詞が1つもこぼれない・落とさせない。ここまで台詞に集中できる、そぎ落とされた極限までシンプルにつくられるお芝居で3時間半。役者の声・演技・動きもすごい。

今井朋彦さん@裁判長、橋爪功さん@弁護人、神野三鈴さん@検察官の丁々発止は、膨大な台詞のほとんどが質問か参審員(観客)への投げかけで構成されているのに、1つ1つ真剣に聞いても疲れない。声のトーンに感情をにじませる凄み。さすが、としか言いようがない。

松下洸平さん@被告は初見。スリル・ミーをスルーしてから、なかなか見るチャンスを得られず、早く見るべき役者さんでした。真っ当で非の打ち所のない善良な市民を体現する存在感、良心に従うコッホ少佐の人柄がちゃんと見えた。これからも絶対見たい役者さんです。

前田亜季さん@被害者の妻。舞台にいるときから、ほとんど他の役者を見ない演出。くやしさも、むなしさも見せない。ただ居る。が、証人質問として席についたところから、場の空気を一変させる!この演技はぜひ劇場で!

◆2018年1月19日(金)ソワレ→有罪201/無罪187

私は「無罪」に投票をしました。164人の乗客の殺人という考えではなく、7万人と救った事実と、刑事罰として「軍人の役務を実行者に課す」という点が納得できなかったためです。いろんな考え方があると思いますが、最後に有罪判決文を聴いて、「人の命は数値化できない」「原則(憲法)に即さない前例はつくるべきではない」というセリフが耳に残りました。

●これから観劇する方へ

①開始時刻に遅れないこと
②出来る限り前日はちゃんと寝て、体力温存→暗転にほぼならず客電つきっぱなしなので寝てるとバレます
③わからない単語に囚われず、法廷にいる感覚を楽しむ

おすすめです:)

http://www.parco-play.com/web/play/terror/

2018年1月16日 (火) ~1月28日 (日)                                                                     紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA                                                         作.フェルディナント・フォン・シーラッハ/翻訳.酒寄進一/演出.森新太郎 出演:橋爪功・今井朋彦・松下洸平・前田亜季・堀部圭亮・原田大輔    神野三鈴

2020/5/1~ 舞台芸術を未来に繋ぐ基金=Mirai Performing Arts Fund への寄付とさせていただきます😃