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日本経済をダメにする「働き方改革詐欺」?|迷想日誌

残業時間の削減で生じた資金を、労働者に還元する企業がめだってきました。「労働新聞」の産業・企業面(3面・15面)を主に担当している編集部М記者がこのような企業事例を追い続けています。

働き方改革の流れに沿ってワーク・ライフ・バランスを追求するなかで、残業時間削減に取り組むケースが多数出現しています。
残業を削減するのは、過労死大国の日本にとって重要でありそれ自体は肯定すべきですが、心配なのが労働者の賃金がダウンしてしまうことです。

働き方改革の最大の弱点はここです。働き方改革を推進したら、それでなくても厳しい日本経済へのダメージとなってしまうという声が強いのです。
あてにしていた残業手当が、働き方改革によって途絶えてしまえば、消費の減退を招いてしまうのは確実です。ある調査では、年間数兆円規模の賃金ダウンが生じるという報告もあります。

これでは、働き方改革は労働者にとって「悪者」になってしまいます。そのうち、労働者に不満が生じ、労働意欲の減退につながりかねません。
ということで、良心的?な大手企業は、支払わずに済んだ残業手当を賃金や賞与、福利厚生、社員教育に回してバランスを保とうとしています。

要するに、働き方改革で残業削減できた企業は、全てにおいて何らかの形で労働者の利益になるよう還元しなければなりません。
働き方改革に乗じてコスト削減だけを狙ったら「働き方改革詐欺」です。

残業分の労働時間が減少しても、以前と同等な付加価値が生まれ、時間当たり賃金が同等かあるいは増加して初めて生産性が向上したことになります。
新しい設備投資をしたり、仕事を工夫して効率アップを図る必要かあります。この流れが強まれば、日本全体の生産性向上に貢献するかもしれません。

「労働新聞」に掲載した主な事例は、アルプス電気フレスタ協和精工りそなホールディングスODKソリューションズ小野薬品工業などです。
労使間で協議するなど、納得のいく形で再配分すべきです。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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