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新たな「激動期」に向け情報収集を|「ちょっと言わせて」

京都での開催は「初」になる全国産業安全衛生大会(10月23~25日)まであと3カ月ちょっと。労働災害を防止する使命を負った各社の担当者が一堂に集うこの分野最大のイベントです。

すでに現地に近いホテルや旅館は予約で一杯かと思いますが、カプセルホテルや小さな民宿、数駅離れはするものの決して会場に通えない距離ではないエリアにある何らかの宿泊施設ならまだあるはず。
参加を考えている方々は、現地に入った後でどのプログラムを傍聴すべきか事前に行程を組む必要もあるため今すぐ動きましょう。
発表されるプログラムは実に300件を超えています。限られた時間の中で、効率よく必要な情報を入手するためにもそうした準備を怠ってはなりません。

日本版マネジメント規格「JISQ45100」に関するパネルディスカッション、機械・設備のリスクアセスメント事例や化学物質に関する最新の安全衛生活動事例の紹介はもとより、ヒューマンエラーの防止に他社の現場でどのような知恵が絞られているかなどなど、ありとあらゆる工夫の数々がこれだけの規模で見聞きできる機会はまず他には見当たりません。

「労災ゼロ」「リスクゼロ」を目指すための“生きた指針”――そんなふうにそれら発表事例を位置付けて自社の活動に生かせることと思います。

労災といえば、すでに本誌7月1日号をご覧になった方もおられると思いますが、「平成」という時代がいかに多くの過労死・過労自殺を多く生んだ時代だったか、民事損害賠償判決の面から明らかにした労災保険研究所の発表データをトップニュースで伝えました。

あくまで企業や被災者が公表を拒否した事件は除かれたものですが、高額判決「上位10件」の平均額を「昭和」と「平成」とで比べたところ、前者は約6364万円、後者は約1億4212円となりました。
その差は約2.23倍。昭和の時代に1億円を超す判決が全くなかった一方、平成に入ってからの判決は10件すべてが1億円を超え、そのうち4件が「過労死」、3件は「過労自殺」だったのです。

ちなみに、昭和のトップは約7595万円(横浜地裁判決 T鍛工所事件 砥石破損・重症=両眼失明・鼻骨欠損 和解金額6080万円)。
平成のトップは約1億8785万円(大阪地裁判決 A鋼球製作所事件 過労死)でした。
もちろん、過労死の認定基準が昭和の時代にはなかったのですから一概には言えませんが、東西冷戦の終結、ベルリンの壁崩壊以降の世界的な「激動期」と重なる平成という時代にいかに多くの働き手が深く心身を病んでしまったことか、ということは言えるのではないでしょうか。

やれAIだ、やれIoTだとこちらも世界規模の新たな「激動期」に入りつつある今、外国人労働者がこれからどんどん巷に増えていく動向なども含め、我われ日本人を取り巻く環境は今後大きく変化していきそうです。
つまり、「労働安全衛生」の重要性は高まるばかりだと思われますので、常にアンテナを張り巡らせ、関連情報の収集に努めるべきです。

安全スタッフ編集長 福本晃士

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