2013放射線科専門医試験(一次試験)治療分野 解答・解説

2013放射線科専門医試験(一次試験)治療分野解答解説

・このnoteは放射線科専門医試験(一次試験)のうち、放射線治療分野のみに関して解答・解説しています。診断分野・核医学分野に関しては解説していませんのでご注意ください(問題番号8、11, 86-100)

・主として放射線科専門医試験(一次試験)を受験する診断科の先生を対象としています。診断科の先生にとって放射線治療は馴染みのない分野であり、正直面倒なところでしょう。
・放射線治療医の立場から、ただ知識を暗記するのではなく論理的思考により答えを導き出せるよう解説しております。ただしどうしようもない選択肢もありますが…
・個人が調べた範囲の解答案ですので、誤植や間違いはご容赦ください。なお適宜アップデートしていく予定です

・ご自身で調べるより、noteを購入していただいた方が費用対効果は高いはずです。

8
まずは要点を押さえましょう

https://www.jsgs.or.jp/cgi-html/edudb/pdf/20100041.pdf
「また細胞周期で放射線感受性が異なるため,分割照射を行うと, 当初放射線抵抗性であった S 期後半の細胞が, 感受性が高いG2M 期に分布するようになる.これを再分布と呼ぶ.一方酸素に富んだ細胞は, 放射線感受性が高いため,照射によって先ず死滅し腫瘍径が縮小する。それとともに初めは血管からの距離が遠く,酸素分圧が低くて放射線抵抗性であった細胞は,分割照射の期間中に腫瘍径が縮小して血管に近づき,酸素化され,放射線感受性が高くなるこれを再酸素化と呼ぶ」

ですからc-eは正解です。次に

がん細胞は正常細胞より分裂の再開が遅く,再増殖能が低いと考えられているが,治療休止などにより治療期間が延長すると,治療後半のがん細胞の再増殖能が加速される(加速再増殖)ために,がんの制御率が低下することが知られている.
正常組織の方が,がん細胞に比べて回復力が強く,少量ずつ分割して放射線を照射すると,照射と照射との間に正常組織はかなり回復する.

というわけですので、答えはbです。

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https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%80%A5%E6%80%A7%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%B7%9A%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4
被曝後48時間以内の前駆期に出現するもので、悪心、嘔吐、全身倦怠など、二日酔いに似た非特異的症状
これは小腸内の幹細胞が細胞死を来たすことによって上皮細胞の供給が途絶することによるもので、吸収力低下による下痢や、細菌感染が発生し、重症無治療の場合は20日以内に死亡する。
30Gy以上という高線量の全身被曝によって出現する。中枢神経に影響が現れ、意識障害、ショック症状を伴うようになる。

86
HPV関連あるのは中咽頭がんと子宮頸癌です。b-d

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直列臓器とは、一部分がやられただけで臓器の機能を失うとか、重篤な有害事象を発生させるものです。田舎の国道・峠道と考えて頂ければ良いかと思います。脊髄、神経、腸管などは直列臓器です。仮に手術したとしたら、つなぎ合わせなければなりません。
一方並列臓器は一部分やられても機能的には問題ない臓器で、肝臓や腎臓、肺などです。これらは手術してもつなぎ合わせないですよね。
難しいですから一直線じゃない臓器=並列臓器で良いでしょう。これだけ覚えておけばひとつひとつ覚える必要はありません。

したがって答えはc-eです

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