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【Vol.4 日々一緒に過ごす豚と牛と共に~沖縄編~】

こんばんは!
はるちゃんです。

今回は石垣島の幸福牧場にて日々豚や牛と向き合う、とらさんです。
ロートへは中途で入社。入社後は研究施設設備の管理や、総務部にて社内イベントの企画などを行っていました。

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実はとらさん、高校3年間は牛を専攻していて人工授精師の免許を取得していた過去をお持ちなんです。

石垣島との出会いは2013年。
ロートがアグリファーム事業部立ち上げて農業をスタートさせた際に、ちょうど社内報の編集メンバーとして活動をされており(社内報メンバーも手上げ制で毎年メンバー募集があるんです!)、現地の状況がどうなっているか興味を持ち、現地取材をしたことがきっかけでした。

「当時の現地の印象はあまり良く見えなかった」と振り返ります。
飼養環境などもっと改善できることが多くあるのではないか?と。

歓迎会の席で印象を聞かれ、思ったことを素直に伝えると
「では君がやってみないか」と切り返されたそうです。
それでも…
「企業が農業をやるのは難しいと考えていたので、(立ち上げ時の)公募に手をあげなかった。肉牛や豚は経験がないので私にはできない」と。

それでもどこか心には残っていたのか、大阪に戻って取材記事を執筆しながら、「経験の乏しい自分に何ができるのか、今から畜産はできるか?」と自問していました。

そんな中、2014年3月末に内示があり、4月から石垣島へ異動に。
様々な人からの後押しや助言もあって、「先ずは普通の畜産農家レベルにしていきたい」と一念発起。

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着任して最初の仕事は「畜産のビジョンを早急に考えること」。
施設設備や牧草地がどこにあるかを担当者に説明をしてもらいながら現地視察をし、家畜の健康状態の確認をして、約2カ月かけて2020年までの6ヵ年計画を牛、豚、牧草に分けて作成。
計画書を作成したことで現状と将来像が見えてきました。

現在は「南ぬ牛」と「南ぬ豚」ブランドで黒毛和牛と沖縄原産アグー豚を生産していますが、とらさんの担当は畜産全般。
メンバー休暇時の応援や施設設備関係の修理、牧草地の造成、畜産に関する相談(市・県家畜保健所や農業普及所、近隣の苦情)、伊原間牧場の馬・牛の管理など事務から外部対応など…本当に幅広い!

「直前の総務部でも万屋(よろずや)だったけど、石垣でも同じだよ、その時の経験が役に立っているかも」と。

幸福牧場では牛担当3名、豚担当1名、牧草担当2名、そしてとらさんというメンバーシップ。
牛や豚を生産するよりも「価値観の違う人と一緒に仕事する」ことが一番難しく大変と言います。

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生き物を飼育しているので365日のうち一日でも止める、先送りすることのできない職種。
例えば、退職者が出ると他のメンバーに大きな負担もかかってしまう。

今後の目標は「現地の人、特に若い人が就職したいと思える会社にすること」と話す、とらさん。
目標を実現させるには、まず会社を存続させていくことが重要です。
まずは納得できる商品を作り、商品や会社を知ってもらい、収益を上げる。
だからこそまず目指すのは「お客様にいい食材を納得価格で美味しく食べていただくこと」。
とらさん自身もこれまで「自分が納得した物を購入する」という価値観で生活をしていたことが想いを強くしているのかもしれません。

ここで作るモノは美味しさだけでなく、生産コストを抑えるための模索が続きます。
また貴重な美しい自然が残る石垣島ですから環境に対しても配慮しなければなりません。

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(南ぬ豚の飼料は、パイナップルの搾りかすとふすま(小麦を粉にする時にできる、皮のくず)を混ぜて発酵させています)

そんな現状ですが、
「農業、畜産は手間と時間がかかる。しっかりと結果を出して売上に繋げるために何をするか考えチャレンジするところが魅力だね」と。

年単位の時間をかけても徐々に結果が出てくるので、最初の計画が非常に大切。
「路線変更もあるけれど、大ブレしてしまうとメンバーの士気を失うことにもなるので、時間をかけて計画している」と教えてくれました。
すでに改善の兆しがあった時には達成感と、周囲の方々から「よくなった」と言われると実感をするそうです。

ちなみに、かわいいと思う瞬間を聞いたら、こう答えてくれました。
「特に母牛が子どもを産んだ時かな。普段おとなしい母牛が野生に戻る瞬間で、子牛を必死に守る。母牛によって個体差があるけど目の色が変わって、こちらとすると「危険」を感じる瞬間でもあってね…」

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約5年間の地道な活動の中で、地元の畜産農家や飼料会社、家畜保健所の方から「あの人に代わって牧場が良くなった」と褒められる回数が増えたことは、とらさんの活動の原動力に。
「もっと増やしたいと努力していきたい」と話します。

「正直他の人よりも少し畜産の知識を持っている…ということで、約5年間活動をしているものの、今でもわからないことだらけ。
本当に周りの人に助けられている」

日々牛や豚を向き合う中で生命力や達成感、動物ならではの人懐っこさを感じながら、とらさんの活動は続きます。