崎枝

【Vol.5 沖縄と都会を繋ぐ食から見えたこと~沖縄編~】

こんにちは。
はるちゃんです。

今回は前回お伝えした、幸福牧場で育てていた牛や豚を加工する工場で活動をされるやまうちさんからお話を伺いました。

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1980年に入社のやまうちさん。
(当時のロートはまだまだ目薬・胃腸薬の二本柱!今ではお馴染みとなったメンソレータムが三本目の柱として立ち上がってきた頃です)
胃腸薬の調合作業や製造管理システムの運用などをしていましたが、2013年に新たな仕事にチャレンジしたくやえやまファームに手を挙げられました。

食へ興味があったんですか?と聞くと、
「たまに(といっても年に数回くらい)家で手料理を作ったりするくらいで実は、そこまでに食に興味はありませんでした」と。

そんなやまうちさん、石垣島では食肉加工部門で牛・豚肉の加工管理をされています。

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前回の森岡さんがいる幸福牧場で肥育された南ぬ豚の出荷後、ロース・バラ・肩ロースなど部分肉に整形し、各部位ごとのオーダーに応じて焼き肉やしゃぶしゃぶに精肉して出荷しています。
実際にギフト用も多いので、お中元やお歳暮の時期はとても忙しくなるそう。

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モノづくり・製造という部分ではそこまで大きく仕事自体に違和感などはなかったけれど、実際に牧場で育った牛・豚の命をいただいて人間の食べ物にしているということで、感謝の気持ちは強く感じることに。
牧場や屠畜場では年に一回は鎮魂祭を開催して生き物の命をいただくことへの鎮魂と感謝を込めて御祈りをしているそうです。

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普段のスーパーなどでみるお肉は形を変えてしまっているので、命をいただいているということにあまり意識が向かないですよね。。

「今回こうしたこともぜひ伝えてもらうことで、少しでも無駄な食べ残しが無くなり、食べ物をいただける有難味や命への感謝が生まれるのかもしれないね」とお話してくれました。

現在の工場では、商品の製造以外にも労務管理・原価管理・在庫管理・発注管理から商品開発や状況によっては営業活動・経営分析と今後の事業方針策定まで多岐にわたり全てに関わる必要があり、本当に一からの勉強だそう。

暮らし自体も大阪にいる頃からガラリと変わりました。
大阪にいると必要なものが何時でもすぐに手に入るし少し贅沢な食べ物や洋服もたくさんある。
一方で石垣島では台風が発生すると船や飛行機が止まり、飲食料品の供給が止まるけれど、衣食住など必要最低限のものが整えば十分に暮らせる。

「そんな生活をしていくことで、贅沢や不満を言わずにも、そもそも物が足りていることに感謝して人の役に立てる企業になれるよう、食を通じて良い仕事をしたいな」と。

「いい仕事」とは、身体に良くて美味しい食品づくりや、物を大事にして贅沢な食べ残しなどの無い社会作りをイメージされていました。

石垣島に渡って感じたことを伺うと、
「いつまでも活き活きと健やかであることだね。
健康でイキイキと生活するには食生活も大きな要因の一つだけど、地域環境や運動・休養休眠と精神的な支えのバランスが大事だと思う。
沖縄特有ののんびりしたスタイルや助け合いの精神だったり、先祖を大切にしたりする感謝の気持ちが大阪の風土とは大きく違うと感じたよ。
また都会ではお盆に親戚一同が集まって祖先を供養する機会は少なくなった一方で、石垣島では大勢がお墓の前で先祖を忍ぶお参り食事の場面を見かけるし、地域をあげてのお盆行事や祭りが盛ん。
そこから先祖や他人を思いやる豊かな心持ちがストレスの少ない健やかな生活を送る秘訣なのかなと感じるね。
実際大阪などでは時間や仕事に本当に追われる。ゆっくりと親戚家族で食事を楽しみ、先祖や他人を思いやる機会も少なくなっているように思うよ」

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私も東北を離れた当初、感じていたことだったなとふと思い出しました。

現在、石垣島には子供たちの娯楽施設は少なく、それでも公園では裸足で楽しくボール遊びや砂遊びを日が暮れる遅くまで楽しんでいるとのこと。
「やえやまファームには広大な敷地と名蔵湾を望む綺麗な眺めがあるから、少し長期的な視点にはなるけれど、子どもたちへの遊びと食育の場として有効に活用できるよう事業を発展できればいいよね」
これからの未来に向けた大きな目標がありました。

私たちが普段スーパーで見る風景のある意味核となる部分に取り組む山内さん。
そこで感じた感謝の気持ちやこれからの想い、もっともっと人に伝えていきたいという気持ち。
時代と共にライフスタイルの変化も感じる中で、これまでの伝統も色濃く残る沖縄で、今の日本にとって大切なモノがあるように感じました。