【農業日記】飢饉の恐怖を知る

正直言って、満月の2-3日前がヤバかったです。

農業経営が中々軌道に乗らず、資金繰りがギリギリの時を過ごしていました。

その最中、以前、脱サラする時に鬱っぽくなっていたあの感じがしてました。

ストレスがかかると、脳は酸素と糖分を消費するので、疲れやすくなったり、眠くなったり、やたらと甘いモノが欲しくなったり、それによって体調が悪くなったり……と、精神のバランスが崩れているのが自分で分かったんですよね。
俺は普段から、自分の精神状態については意識してるので、それが察知できて、対処するように心掛けてはいました。
そのおかげで、何とかすぐに気持ちを切り替えることができましたね。

でもこれって多分、……『飢饉の時の恐怖なんだな』と思いました。

農業ってのは他の職種と違い、スパンも長いし、開業に当たって背負うものも多い。
俺も万が一のことを考えていた時には、これまで苦労して集めた様々な物をどうやって処分しようかと考え、事業を畳むのにもお金はかかるんだ、と悩みました。
先が見えないので、今以上投資をすることもできないし、かと言って何もしなければ解決することもできないので、このジレンマに相当悩みます。

退職、転職が気軽にできないのが、農業という職種です。
何か起きた場合、最低でも何ヶ月先、長ければ何年先までも、「どうやって食っていったらいいんだ……」と、お先真っ暗になってしまうことがあり得る。
……これは多分、昔で言う『飢饉』の時の気持ちなんだろう、と。

なので、この恐怖が分かんないのに「あれは食べちゃダメだ!」とか「これは食べたら危険だ!」とか気軽に言う奴らとかふざけんな!と思うわけですが、でもこの時に思ったのは、『貧困もヤバいけど、それよりもっとヤバいのは「孤独」だな』てことでした。
お金が無くなったということよりも、お金が無くなったことによって、周囲から「あいつ失敗しやがったな……」とか、「あの歳で金が無くなるなんてダメな奴だ……」とか、そういう目で見られるんじゃないかと、そういうことが不安で不安で仕方なかったのです。
(こう見えて、人からどう見られるかが気になってビクビクしてる人間なのです。そうは見えないかもしれませんが……w)

多分、俺がこんなことを考えていたということは、誰も気づいていなかったんじゃないかと思います。

……そう、この時思ったのは、『追い詰められた孤独な人間は、発信しない。発信しない人間は、社会から見えない。透明な存在なんだ……』ということでした。

孤独というのは、何も一人だということではありません。
家族に囲まれているからこそ、家族に言えずに孤独になり得ることもあるのではないかと思います。
家族・職場・友人・ネット……。
ネットワークの多様性を持っておくことは大事だな、と思いました。

で、これに対する対応はどうしたらいいかということを色々考えていました。
多分、SNSなんかで「孤独死は非常に大変で重要な社会問題の一つである」なんて語っているだけでは解決しない。
誰かが一つずつ行動して変えていくしかない、と。
でも難しいのは、上記に書いた通り『実際に起きた時には見えないので、対処療法ができない』という部分です。
なので、予防するしかない。

一つ目は、おせっかいすることでしょう。
コミュニティを作ったりして、自分からコンタクトを取っていく。
こまめな連絡が大事かもしれません。

とある新規就農者が、『どうしても作った作物を自分で届けたい』ということにこだわっていました。
周囲はそれに対して、「そんな効率の悪い方法で大丈夫か?」という意見を持っていました。俺もそうでした。
でも、それは形を変えて、買い物難民の高齢者や、独居老人に対する見守りサービスを追加することによって、成り立つ仕組みになるのかもしれません。

某友人が昔、「死にたい……」と俺に電話をかけてきた時、長電話に付き合った結果最終的には、「分かった。死にたきゃ死んでいい。でもな……死にたいなら俺を納得させてからにしろ!」と、「ここを通りたければ俺を倒していけ理論」で無理やり納得させたこともありました。
実は、そういうことなのかもしれません。(……真似しないようにwオススメしませんw)

もう一つは、仕組みを作ることでしょう。
絶望しない仕組み作り。

経済的なセーフティーネットと、精神的なセーフティーネットをどう作るか?これが重要なんだと思っています。
……海外では、教会がそれを担っているらしいですね。

そこで次なる推進プロジェクトとして、『農村シェアオフィス』を進めていこうと思っています。
チャレンジして失敗しても、うちに来れば家とメシぐらいは面倒見てやる。……そういう場作りです。
農業なら正にピッタリ。
ここでのんびり、農作業でもしながら次なる計画を練ればいいじゃないか。
そんな場所が、もっと日本に増えたらいいなと思います。

最後に誤解と心配されないように、一言だけ言っておきます。

「……僕は死にましぇん!!!」

僕が決めている死に方は、以下の三つだけです。

・クマとかヘビとか、野生動物に喰われる
・マラリアとかエボラ出血熱とか、風土病に倒れる
・女に刺されて死ぬ

この覚悟だけは、いつも持って生きているつもりです。

(※応援資金、募集しています)

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