予測変換

いつの間にか、気づいたら、
スマホの予測変換に元彼の名前が出てこなくなってた。

名前の最初の1文字でも入れようものなら、
予測変換がひたすら名前で埋め尽くされて、
ずっと悲しかったのに、
いつの間にか、名前を全部入れても出てこなくなってた。

あれだけ予測変換に悲しんでたのに、
忘れるの早くないスマホ?!

そうやって過去になってるんだよって
改めて思い知って、
少し安心して、悲しくて、
少し安心したことにも悲しくて、

でも感情と記憶の間にある
硝子板がどんどん厚くなってて、
記憶をたぐっても分厚い硝子越しで
本当にもう「思い出」みたいだ。

本当にもう「思い出」になってることは
分かってるのに、

最近、見に行きたいなと思った映画の音楽が
元彼の好きな作曲家で、
一緒に行きたいなと思って、
もう行けないんだよって、
まだ思ってしまうんだ。

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