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FFCCHDリマスターは遊ぶ環境によって評価が異なるゲーム

最初にこの記事を読んでいる方に問いたい。
あなたと一緒にこのゲームを遊んでくれる方はいるだろうか?

いきなり何を聞いているんだ と思われるだろうが、
記事タイトルにもした通り、このゲームは
プレイヤーの遊ぶ環境によって評価がかなり異なるゲーム
であると感じたためだ。

いるならば結構。おそらくこのゲームはとても楽しめるだろう。
ぜひわいわいがやがや言いながらプレイするといいだろう。
そういうスタイルでプレイすることが前提であるとして、
このゲームはできていると感じた。
出来ればネット経由などで通話しながらやるよりは、
実際に集まって遊ぶほうが盛り上がれると思われる。
そのあたりはリメイク前とほぼ同じ感じで楽しめるだろう。

いないならば少々このゲームは大変かもしれない。
今回のHDリマスターによって、
見知らぬだれかと野良マルチプレイも可能になったが、
場合によっては
野良マルチだからこそのマイナス面が目立ってしまう場合もある。
ソロでもクリアは可能ではあるが、
どうしても盛り上がりに欠けてしまうであろう。

なぜ遊ぶ環境が重要だと思ったのか。
そこを中心に書いていこうと思う。

リメイク前の原作はどんなものだったのか

こちらは原作のCM動画だ。
このゲームはもともとはゲームキューブで発売されたソフトであり、
当時は一人がゲームキューブのコントローラー
残りはゲームボーイアドバンスと通信ケーブルをつなげて参加するマルチプレイ向けのタイトルである。

一人でも遊ぶことは可能ではあるが、
最低限の配慮はされてはいるものの少々厳しいタイトルであった。
またマルチプレイといっても、当時はまだゲームをインターネットにつなげるなど珍しいことで、CMのようにその場に集まる必要がある。

だが今はゲームがインターネットにつながるなど当たり前の時代である。
そのため今回のHDリマスターでは、
ネットワークプレイが可能であることを押していた
これにより、一人で遊ぶ際でも見知らぬだれかと遊ぶことも可能となり、
当然知っている人同士で遊ぶこともできるようになった。

だが、今作は良くも悪くも原作に忠実なHDリマスターであった。

野良マルチだからこそのマイナス面

原作に忠実で何が問題なのか。
それは、今の時代に合わせた調整が行われていない点だ。
つまり本来ローカル通信で遊んでいたマルチプレイを、
そのままオンラインで遊ぶ
ことになっている。
さらに原作で不評だった点もほぼそのまま盛り込まれている

これによる影響はいろいろと思い当たるだろうが、
特に問題が大きいと思った点は、声で連絡が取れないことだ。
このゲームはタイミングを合わせる箇所や、謎を解く箇所が多いため、
連絡を取り合えないのは非常に困る。
例えばこのゲームは、
飛んでいる敵にはグラビデ、透明な敵にはホーリー
をかけなければろくにダメージが与えられない仕様があるのだが、
これらの魔法は他プレイヤーと協力しなければならない。
これを知らない場合、合わせることすら難しい。

さらに問題だと思ったのがアーティファクトの獲得だ。

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このゲームは冒険終了後に戦利品として、
アーティファクトという物が手に入る。
これは本作唯一の成長要素で、
攻撃、魔法、防御のステータスがアップする。
そのほか、体力の最大値上昇、持ち物上限アップ、
最初から使える魔法所持
というものもある。
またこのアーティファクトには出現率が存在し、
出やすいもの、出にくいものというのも存在する。

このアーティファクトは
冒険中に各プレイヤーそれぞれにボーナス条件が与えられ、
冒険終了後に点数計算が行われ、ポイントが高いプレイヤーから獲得したアーティファクトを選ぶ権利が与えられる。

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問題はこのボーナス条件の内容にかなり差があることだ。
上記の画像の条件で言うと、
ダメージをあたえる」と「おかねをたくさんひろう」は条件がたやすい。
野良マルチの合流は、出発前だけでなく冒険途中でも合流できるため、この条件を引いたときは冒険途中で合流したとしても、上位に入りやすい
対して「まほうこうげきにたえる」は、魔法攻撃を受ける必要があるが、
マルチプレイでやっているとほかのプレイヤーがさっさと敵を倒すため、当然ポイントは稼ぎにくい。
がったいこうげきでてきをたおす」は、
ほかのプレイヤーと合わせる必要があるため、これも厳しいものだ。
たとえ募集を呼び掛けたホストプレイヤーであろうと、
こういった条件を引いたときは下位になりやすい。

これによってどうなるかといえば、
欲しいアーティファクトが獲得できないということだ。
いくらレアなアーティファクトが出ようが、
運よく楽なボーナス条件を引いたプレイヤーだけが獲得することになる。
序盤ならまだ影響も少ないのだが、
冒険が進むにつれ有用なものが多くなっていく中、
欲しいものがなかなか手に入らないのは非常につらい。
既に獲得しているアーティファクトは選択できないので、
運よくそういったプレイヤーであった場合や、
「何も受け取らない」を選んでくれるプレイヤーがいれば
獲得できるだろうが、そういったプレイヤーは当然少ない。

この仕組みは原作そのままで、続編には引き継がれていない要素である。
出にくいアーティファクトも存在していたため
不満要素の一つであったのだが、HDリマスターでもそのまま残っている。
これが知り合いと一緒に遊んでいる場合なら
そのアーティファクトくれ!」など交渉もできるだろうが、
野良マルチの場合は当然何もできない。

これ以外にも、野良マルチだからこそ生じたマイナスに感じる箇所は
いくつもあった。
ネタバレになってしまうので詳しくは書かないが、
最終ダンジョンは野良マルチで行った結果、
ホスト以外の他プレイヤーが暇になってしまう演出があったため、
早くイベント終わらせないと!と思ってしまい、
ストーリーを素直に楽しめなかった。

原作で良かった箇所はそのままある

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悪い点を最初に書いてしまったが、
原作で良かった点はしっかり残っている
元からよかったグラフィックはHDリマスターによってさらにきれいに。
特にオープニングムービーは流れる音楽と合わせてわくわくさせてくれる。

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素朴で明るく優しい人々が多く、まるで児童文学のような世界も魅力的だ。
悪人もいるにはいるが、どこか憎めない。
各所でつける日記や、ダンジョンに入ると流れる文章はそれらの雰囲気づくりとして素晴らしい。

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かと思えば、切ない余韻悲しさを覚える箇所もあり、
旅を続けるごとに様々な思い出が積み重なっていき、
それがストーリーに組み込まれている
のは見事であった。
こういった雰囲気を持つゲームは、
最近ではなかなかお目にかかれないタイプのゲームだ。
こういった雰囲気が好きな人ならば、それだけでやる価値は十分にある
実際私も好きな方なので、物語はとても良かったそれだけに残念だった

物語を楽しみたいなら一緒に楽しめる仲間と

原作尊重のHDリマスターではあるが、尊重しすぎて現代に合わない作りになっているゲームだと感じた。
だが不満要素のほとんどは一人で遊んだ時に出るものだとも思う。
一人でも一緒に遊ぶ人がいれば、このゲームの楽しさは相当にかわる
遊ぶならばぜひ誰かを誘ってプレイしていただきたい。

また、現在のバージョンではゲームの進行には影響はないが、物語的には問題のあるバグが存在している
中には気が付かずにクリアしてしまった方も結構いるようなので、
物語として楽しみたいならば、修正パッチが配信されてからのプレイをお勧めする。

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