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泉井小太郎
2015年4月3日 23:53
西か東か、三鬼の忌。でも北に行った。山裾の桜林。鷽(ウソ)に会いたかったのだ。 (略)さて、背高桜林。猪対策の柵だらけで、径は一本。畦を伝って池から登る。暢気に鷽と蕾を愛でるつもりが、七分か八分の咲きよう。この東屋を桜の書斎にしたいと夢見たこともあった。誰も訪れないのか、二面ある大机はうっすら緑の苔か黴。ウソ吹きはいなかったけれど、キツツキが来た。(以上は、2014年4
2015年3月30日 15:48
(2012年4月14日のブログから)里山斜面の桜林を見つけてから、花の間ここを書斎にして通ってみたい、何を書くかは桜を目の前にして——そんな夢想をしてみたが、その頃から坂道で息が続かなくなり、イノシシの出没も激しくなってきた。いつからか三つの池の土手に金柵が設けられ、最寄りの峠道からは行けなくなってしまった。ぐるりと遊歩道を迂回するしかないが、その山径にもイノシシの足跡はあ
2014年10月28日 11:33
百合の木山の麓に昔女の子が生まれて一本の木が植えられた花を育てる小さな村から溜池の連なる峠道に出るとその木は目立って美しい誘われて畦道をゆくといつか見覚えのある葉の形枯れた実も残っていて田舎には珍しいユリノキであった主に聞いてみると楓(フウ)だという「植木屋がそう言った何かいい木をと頼んだらこの木でもう三十年経つ」花の頃にもう一度見せてほしいと花の頃に来て懐
2014年10月12日 23:53
芭蕉禅寺への道端に一株の芭蕉が生えていた気儘に破れ加減でそのあたりだけ空気が旨かったでもさ芭蕉ともあろう木がなんで境内に入れないのか不許葷酒入山門そう言えば風に乱れた様なんぞは飲んだくれのようでちょっと見危ないものねこれじゃ芭蕉じゃなくて路通だね自然体が不穏で放縦でどうかするとばさばさと鳥のように羽ばたく庭前の柏樹子ならぬ門前の芭蕉樹せっかくだ
2014年9月20日 12:40
2010.11.30詩 サザンカ村の入口に咲くサザンカはもう無い大きな木のましろの百千の花は空中に帰った切株では体は休めても魂はやすらがないだろう切株町を抜けて、サザンカの大木の跡に寄った。白い花をいっぱいに着ける名木であった。ふうらが一人切り株の上に立って、往年の花を夢想する。幻視する。こういう村の出入口に立つ木は、みんなが歩いていた時代にはとても大切にされ、愛
2014年9月16日 21:34
アベマキまで木は散歩の宛てであり、ともだちです。思い思いに立って、それを巡るのはこちら。この星の同じ生物でいながら、あちらは植物、こちらは動物。一番散歩したコースというと、やはり長年住んだ金沢の犀川河原。キョウチクトウの家を出て、宛ては優しい樹形のタチヤナギでした。道中にスズカケ、トチ、エノキ、ポプラ、ニセアカシア、キリ、ハンノキなどを見ます。川向うの高台に立派なケヤキが一本ありました。今
2014年8月28日 00:57
八月八日に、北条小学校の大榎は伐採されました。この日は葉っぱの日だからか、笑いの日だから明るく見送ろうなのか、隣接の五百羅漢の千灯会に合わせたのか。またこの日は、小学校の大先輩でもある柳田國男の命日でもありました。未来の民俗学者が校庭で運動をしたり遊んでいたりした頃(1885年)、榎はどんな大きさで枝を広げていたのでしょう。伐採は午後一時から。雨模様の中、百人以上のこどもとおとなが集
2014年8月4日 02:26
桐の木ぽつんと立つ木を鳥は好む見晴らしのいい木を人も愛する雨風はきついが雷は恐いが日光は浴び放題だ北へ散歩すると権現平の崖っぷちの桐の木までゆくそこが終点になったりさらに山の池を目指したり夕日と桐の木のシルエット伝説では鳳凰が唯一翼を休める木いやあれは梧桐の方だといろいろに言うぼくが見たのは一羽の便追が枝の上をとことこ歩く姿
2014年7月31日 01:26
星と樹夕闇のネムノキ。葉は閉じて眠りにつきかかっている。花はシルエットでそれとわかる。見上げていると、ぽっと赤い星が灯った。牛飼い座のアルクトゥールスだった。小学校校庭の病死した大榎。ばっさり伐られて、いまは太い枝を短く挙げるのみ。それも来月には根元から伐採されるという。近寄ると、両手を広げたような枝の中に星が入った。スピカ、火星、土星の三つの並び。これが最後の風景になるだろう。
2014年7月28日 17:35
古里は楢の若葉に沈むのみ遠く異郷にあって詠んだ句です。小学校、中学校の校章はナラの葉と実をデザインしたものでした。高校もそうだと思い込んでいたら、こちらはカシワでした。それで市のシンボルの木はカシだから、なんだかよく分かりません。ま、それはともかく、小さな盆地はドングリのなる木に囲まれています。 心はつねに ならの木の 木の実のごとく けん実に小学校の校歌は河井酔茗の作詞。
2014年7月24日 01:21
蝸牛山そんなに硬く石もとぐろを巻く山の形してゆるゆると歩いたりもするのからせんの夢は天まで遠い蝸牛山というのは、勝手につけた愛称です。三段の大きな岩盤で、山の公園の外れにあり、右手に世界最大という地球儀時計が見えています。こういう形の築山は栄螺山などと呼ばれるのですが、海から遠く、やや荒々しい風貌ながら、どこか牧歌的なところもあるので、カタツムリの名を採りました。あたり
2014年7月9日 07:48
エノキは推定150年の樹齢で、2013年の春に最後の花を咲かせましたが、秋の実は着けませんでした。帰郷してからの10年、折々に撮りためた写真から思い出のアルバムを作ってみました。これまでに発表したもの以外で10枚あります。2005.12.22 雪が積もるのは年に一度あるかないか。この年の夏頃から支柱と柵が出来ました。2008.1.6 雲一つない静かな正月休み。2011.11.15
2014年7月5日 02:48
ならの実大運動会羅漢寺手前の小学校では「ならの実大運動会」。イーハトーヴの童話にでも出てきそうな名称で楽しい。らかんたちがいつもより小さく見えたのは、童心に帰っていたのだろうか。この運動会を毎年見守ってきた樹齢150年のエノキの寿命がとうとう尽きたらしい。春にわずかな新芽を着けていたが、それも枯れ果てた。高学年の120メートル走のゴールは、エノキのちょうど手前。エナガの群れが翔けてきて、遊ん
2014年6月30日 15:40
ブログからの再録に写真を追加しています。2013年4月19日、5月26日。エノキの最後の花 4.19小学校のエノキは黄色い花を着けていた。けぶるようにとはいかないが、やさしい色である。この日は浮雲もうんと春らしい。青い空と、白い雲と、エノキの樹影。その上に淡い半月が浮かんでいた。センダンの花盛り 5.26クローバーを見に行こうと誘われて夕べの散歩。途中、小学校の大榎に寄