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ふうらの春


野辺に花がちらほら、光もうららかになってくると、ああ、ふうらがここにいればなぁ、と思う。以前はいつでも一人か二人一緒だったが、重いものをなるべく持たないようにしているこの頃は手ぶらが多い。
そんな思いを二、三度して、ようやく散歩にお伴してもらった。


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18日。柿本人麿、小野小町、和泉式部の命日と伝えられ、精霊の日とされている。空では、この日初めてさえずるヒバリの高らかな歌。「ゲージュツ、ゲージュツ、ゲージュツ」と聴こえてくる。ツバメは昨日渡ってきたばかり。


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20日。春分の日。町中のちょっとした草地にも花がいろいろ。そこらの春のそこらの花。そこらの空。


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毎年楽しみにして、この春にも三輪咲いているのを見たばかりのシロバナタンポポが見当たらない。ロゼットも見つからない。慰めてくれたのは、同じ田に生えるシロスミレ二輪。
先の二人のふうらよりこのひとはだいぶ小さく、スミレのそばが似合う。


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