GRAZIA 2019年2月号 テミンインタビュー 翻訳

TAEMIN, LIMITLESS
彼にいつも付いてまわるのは「成長」というキーワードだった。ビジュアルだけでもアイドルの定石のような少年は、天性の才能に誠実さまで兼ね備え、SHINeeでアルバムを出す度にボーカルとダンスを進化させ自身を証明してきた。ハスキーな美声としっかりした呼吸、指先から髪の毛一本一本まで重力に逆らうごとく流麗な線を描きだすダンス。成長という単語が古臭く感じるほど完全にテミンの色が表現されたステージ。彼には、一度目にしたら必ず虜にする妙なパワーがある。いつの間にかデビュー10周年を越えたSHINeeにおいて最高難度のパフォーマンスを消化するメンバーであり、一人でもステージを満たすずっしりとした存在感を持つソロアーティスト、テミン。昨年下半期、16都市32回公演の初ソロツアー‘SIRIUS’を成功裏に納めた彼はまた次の段階へ踏み出したようだ。

GRAZIA(以下G):最近食事制限中だそうですね。すでに申し分ない状態のようですが…
TAEMIN(以下T):あ、僕が顔だけ太るタイプなんです。なので運動を並行してやっています。

G:本人だけそう感じているんじゃないですか?
T:でも画面を通して見るとちょっと目につくんです。管理しなきゃですよね。はは

G:年末は少し休めましたか?
T:音楽の作業をしながら過ごしました。ミーティングもして曲も選んで、歌詞のような部分にまで僕も一生懸命意見を出しながらです。あらかじめ方向性を掴むことが重要だと思って最近はそうしています。

G:昨年下半期に日本初ソロツアーをしましたよね。スケジュールを見ましたが特に9月と10月は毎週公演回数が本当に多かったですね。
T:はい。一週間に多いときは5回やったようです。その直前までSHINeeの活動をしていたのですがSHINeeのアルバムを3つ出すということで一部の準備は並行して行っていて、ちょっと大変ではありました。下半期だけでも本当に激しく駆け抜けた気分です。

G:日本ソロコンサートを武道館という象徴的な場所を全席完売にしてスタートしましたし、SHINeeの人気を置いて見ても、もっと規模の大きなところでやることも可能だった気がするのですが、小さな会場で回数を増やすという選択をしたのは少し意外な気がしました。
T:見方によってはそうかもしれませんが、何をとってもそうですが、基盤をしっかり固めなければということをよく言うじゃないですか。僕にとっては今がちょうどその段階だと思いました。これからもっと長く活動できるように、これまで行ったことのなかった地域にも一度行ってみようという考えで。もう少し、いろんな地域のファンが気軽に来ることができるようにしたかったんです。結果的に本当に良い機会になりました。

G:正解はないものですがテミンといえばあまりにパフォーマンスが激しく華やかなステージが多いということを知っているせいか、体力的にとてもつらいのではないだろうかと思ったのですが。
T:でもこれは作り方次第だと思います。大きな会場でやるほどその歌手のイメージというんですかね?アイデンティティーをもっと大きく見せることもできますが、演出に沿ってどんな会場でもいくらでも新しい姿をお見せできると考えています。体力の部分は正直今回のツアーが30回を超えるので、これを消化するためには僕も振付を減らさなきゃと思っていました。でもいざ準備に入ると頻繁に欲が出てうまくいかなかったんです。結局減らせませんでした。ちょっとダイエットみたいです。食べないでいなきゃと思いながらもいつの間にか食べているみたいに。はは

G:ツアー後半にすすみ慣れていくほど公演の感じ方も違ったのではないですか?
T:そうですね。本当に最初は緊張のなかで、「間違えないように」と沢山考えていましたがいつの間にかだんだん楽しんでいました。でも本当にファンという存在は、僕に会うためにわざわざ時間を作ってその場所まで来てくださる方たちじゃないですか。もちろん会場には僕を知らない方もいらっしゃるでしょうけど、全体的には本当に僕を力づけて応援してくれる雰囲気なので、もっと自信を持てるようになる気がします。なにより、何度もステージに立つだけに日によって臨場感が違うじゃないですか。だからこそもっと楽しめました。ある日はもっと緊張してステージに立つ日があるかなと思ったり、またある地域ではひと際楽しくなったり、それが醍醐味ですよね。

G:ホール公演はとてもステージとの距離が近かったそうですね。
T:はい。本当にとても近いです。2~3mくらい?

G:集中するのに大変ではないですか?本当に自分を好きな人たちが近くで行動ひとつひとつに注目するわけじゃないですか。
T:正直言うと最初は大変でした。僕が少し呼吸が乱れただけでもすぐに見つかってしまう感じというか。でもまたそれを乗り越えたわけなので今はどこででも公演できるような自信がつきました。

G:とても大きなものを得たんですね。
T:はい。本当にぐっと成長することのできた機会でしたし大事な時間でした。

G:同じようにソロ活動をしていますが日本のアルバムと韓国のアルバムは方向性が違う気がします。
T:韓国ではなにか他の人がやってこなかったことを試してみたくて沢山努力する方です。POPらしいというべきですかね。最近トレンドにあった音楽をお見せしてきたと思います。反面、日本で活動するときは東洋的な魅力を活かした音楽を披露しています。『さよならひとり』という曲は特にそうだったのですが、CGのような作業もたくさんやってみて「あ~こういう感じなんだ」というのを知りましたし、その次にはまた違うことも試してみたりもしました。いずれにせよ、すぐに完璧ではなくとも様々な姿を多様にお見せしながらどんなものが僕に一番合って似合う服なのか探してみる時間だと考えています。僕自身、いろんなことを試してみたいようです。

G:昨年末発表した日本正規アルバムはタイトルが『テミン』でしたね。意味深長に感じました。
T:日本で発表した初めての正規アルバムでした。ミニアルバムを2枚出しましたが、それらをすべて含み、これから始まる一歩を踏み出す『テミン』をお見せするという意味でシンプルにテミンとしました。僕もそうですし事務所もそうですし、方向性を掴みながら実は僕たちの抱負が大きいのもありました。日本で沢山愛していただいていますがまだSHINeeや僕を知らない方も多いので僕をもっとお見せしよう!という意味でテミンとつけました。

G:先ほどCGの話もしましたが、日本のMVではとりわけ現実味のない姿が多かったですが、最近『Under My Skin』のMVでは久々に人間的な姿でした。
T:はは。そういう面がありますよね。最初はどう表現したらよいか方向性を掴むのが難しかったのですが始めてみると見えなかった部分まで視野が次第に広がっていくというか。それぞれの国によって人々がもっている感性が違うように、韓国で自然なものが外国では不自然なこともありえますよね。作業を通して様々な部分を体験しているようです。ダンスもそうです。僕も昔コンテンポラリーダンスというのを見ながら、「お、これはなんだ?ヘンだ」と感じたことがあったのですが、時間が過ぎてみると「あ~こういうものだったんだなあ」とディテールな部分が新しく見えて違うように感じました。そんな経験が積み重なってみると、新しいことに挑戦する度にいつもこう思います。「これもまた僕がやってみなければ絶対知り得ないだろう」

G:特に日本のソロ活動の始まりだった『さよならひとり』や『Flame of Love』のような曲の振付は現代舞踊のようでダンスとしても既存のスタイルとは全く違う印象でした。
T:本当に内面の感性を要する曲というんですかね。かなり集中力を要する曲です。ほんとに僕が入りこめ(没入でき)なければ見ている人にも伝わってしまう振付なので、体力的な部分もそうですが、「感性消費」が大きいです。

G:だからこそ気を消耗する曲なんですね。
T:そうなんです。それから2曲ともバックアップダンサーなしで僕がすべて作り上げるステージなので思っているよりプレッシャーな点もあります。

G:ダンサーがいなくて物足りないというのを全く感じないほど存在感があるステージですよ。だからなのかオーディション番組を見ていると『さよならひとり』にかなり挑戦しています。
T:実はとても不思議です。この曲をどうやって知ったの?はは

G:本当にカバーステージが多かった曲として昨年の韓国正規アルバムタイトルだった『Move』がありますよね。本当に沢山の方がやっていました。
T:そうですね。確実にキャッチする振付があるので皆さんが見ると真似したくなるようです。実はそういうのを意図して作ったのではなくて、曲に合わせて振付けたらポイントが出たんですが運が良かったですよね。本当にありがたいです。芸能人の方がそうやってカバーしてくださって僕のステージやダンスに関心をもってくださるので同僚としてとてもありがたくて不思議です。もっと頑張らなきゃとなります。

G:ところでダンスが上手いことで元々有名でしたが、最近は見る度に「どうやってここからもっと上手くなれるんだ?」と支点が少しずつ過ぎていく感じというのでしょうか。非専門家の目で見るとそうですよ。
T:フフ。過褒ですがそういうのがあります。練習なので当然こつこつとやりますが、なんというかフォーカスが変わるっていうんですかね。以前までは「この振付を消化しなきゃいけない」という気持ちで100回1000回同じ動作を繰り返したとしたら、今は動作ひとつの動きひとつまで意味を込めようとします。例を挙げれば、指を前に打つ振りがあったとしたら、この動作やポイントを作る意味があるわけじゃないですか。そういうことに合わせて行動に対する意味を付与しようと努力中なんです。そうしてみると自分の口で言うのは恥ずかしいですが努力家だっても言われるようです。はは。なんていうんでしょう?僕だけの表現方式や感性、アイデンティティーのようなものが作り出されていくようです。

G:今回の雑誌撮影を準備しながら約3年前のインタビューを探して見てみましたがその時も「アイデンティティー」という話を沢山していました。僕だけのアイデンティティーを見つけたいと。この間に少し見つかりましたか?
T:あ、そうでしたか?う~ん、まだ創っているところだと思います。ある程度はやっと色が見えてきたとも思うのですが今も変わらず創造中でしょう。アイデンティティーが重要だという考えは変わりません。芸能人の中でも格好良くてダンスも上手い方はとても多いじゃないですか。その中で僕だというキャラクターをお見せするのが最も重要な気がして活動する度に常にそういった部分に気をつかっている方です。

G:そういった意味で『Move』の次の選択が非常に気になります。時期は未定とのことですが、すでに準備に取り掛かっているそうで、少しネタバレするとしたら?
T:おそらくですが、本当に他の方がやってこなかった感じです。あ、これは何と表現したらいいんですかね。「簡単なようでやってみると出来ない?これ僕しかできないんですけどやってみますか?」という感じ!とても気になりました?はは

G:やがて韓国でお会いできる新しいアルバムにはテミンの今の趣向がたっぷり盛り込まれていますよね?
T:僕の趣向というよりは意見を集合して一緒に作っているという表現が合う気がします。もちろん僕のアルバムなので趣向が反映されてはいますが、完全に僕の思いのままだけに作ったならば絶対に他の方と共感することができないものが出来てしまう可能性も排除できないじゃないですか。はは。実は以前はこういった部分がとても難しい宿題だと考えていたんですが、今は考えていたより簡単なものだと思っています。僕はアーティストと言えば自分を表現して自分が好きなものだけをやればいいと考えていました。ところが僕がファンにいつも話していたのは「愛されたい」だったんです。それ自体が矛盾じゃないですか。僕がやりたいことだけやって他人は共感できるわけないのに、無条件に好きになってというのは違うじゃないですか。そういった矛盾に気づきながら、音楽的にもお互いが楽しめるように共感できるものを追い求めるようになったようです。

G:また一歩前進したようですね。
T:はい。僕が好きなこと、上手くできることを他の人にもお見せしたいですし一緒に共有したいので、こういった部分にもっと気を遣うようになりました。

G:最後の質問です。今私の前に見える椅子になおも変わらず『Replay』の愛くるしいテミンだけを記憶した人が座っています。これまで発表した曲の中から3曲だけ聞かせてあげられるとしたらどの曲を聞かせますか?収録曲のうちです。
T:うわぁ、タイトル以外ですか?だとすれば、『Sexuality』、それから『Hypnosis』。あと何を選ぼう?あ、『Drip Drop』がいいですね。

Into The Rhythm
絶えず探求し努力するテミンは今そのどの時代よりも輝く時間の中に立っている。


Editor:Kim Ji Won, Jang Jeong jin
Photographer : Lee Young Hak

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