6畳1Kのキャパシティ

4月からの就職に備え、東京に引越すことになった。
都営新宿線沿いの6畳1K、バストイレ別独立洗面台付き。

引越しは片付けの最大のチャンスと言われる。
私も今回多くの物を処分した。読み古し気が済んだ本や似合わなかった服、壊れてしまった家具。
ゴミ袋を結ぶたび、私は身軽になる。

もちろん処分にあたり、少しも胸が痛まなかったわけではない。何故か物に対する記憶だけは昔からしっかり残っていて、この本はいつ読んでいたとか、この服はあの時に着ていたやつだとか、手に取るたびに思い出が鮮やかによみがえる。しかし私は整理整頓が苦手だし、マルチタスクが得意じゃない。狭い部屋の中で全てに目が行き届き、きちんと暮らしていくには色々な物(と、それにまつわる思い出)を置いていかなければならないのだ。

しかし人は不思議なもので、捨てる時にあれほどためらっていたものも、手放してしまえば何と言うことはない。多くの人はある建物が取り壊された後、そこに何があったかをすぐに忘れてしまう。半年以上会っていない他人の顔を、私は恥ずかしながら思い出すことができない。実はほとんどの人が物を持ちすぎているのではないかと思った。ミニマリスト、なんて大仰な言葉を使わずとも、人は目の届く範囲で、管理できる量の物とともに暮らせばいい。本当に大事な思い出は、形を失っても思い出せるはずだ。

この6畳で管理しきれる物達が、今の私には丁度いいのだと思う。
将来もっと大きな部屋に住んだとして、それが増えるかはまあ謎だが。

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