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巷にはびこるCMS神話

YUIDEAでWebディレクターをしている Romiです。
Webディレクターという職業柄、企業サイトの新規制作やリニューアルのご相談を多くいただきます。

その際にお客さまからよく聞かれるのが
「特別な知識がなくても、CMSっていうのにすれば自分達でホームページをさわれるんでしょ?」
というお言葉。

はい、部分的には…。でも残念ながら全部ではないんです。

提案や協議を進めるうえで、まずはこの「さわれる範囲」をお客さまに理解してもらう。何度かそういった場面を経験したので、この記事ではまずCMSについて分かりやすく、ざっくりと解説してみようと思います。


 ■ そもそもCMSとは

CMSとはコンテンツ・マネージメント・システム(Content Management System)の頭文字の略で、その名のとおりコンテンツ【注1】を管理するためのシステムです。

誰でも簡単に文章や画像などを用いて、コンテンツを作成、編集、公開できるようにすることを目的として作られました。
この「誰でも」「簡単に」というパワーワードが拡大解釈され、「CMSさえ入れれば自分達だけでサイトを運用していける!」という “CMS神話” を生み出しているのではと思っています。

【注1】文章や画像、動画・音声などのメディアファイルなど、オンライン上で提供されるデジタルデータ類のこと。

 ■ CMSの仕組み

CMSを用いたウェブサイトのお打ち合わせの場で、必ずと言ってよいほど登場するワードが

  • フロントエンド

  • バックエンド

  • データベース

という3つのワード。
CMSで構築されたウェブサイトは大きくこの3つの部分で成り立っているため、これらが理解できるとCMS自体を理解しやすいかもしれません。

・ フロントエンドとは

Front-end= 前部(の)、が意味するとおり、サイトを訪問したユーザーがウェブブラウザなどによって閲覧するウェブサイトの表示部分のことです。
多くの場合、企業やブランドイメージを体現するためにデザインされ、マークアップ(コーディング)言語によりソースコード化されたものがウェブブラウザ上で表示されます。

・ バックエンドとは

Back-end= 後部(の)、が意味するとおり、サイトを訪問したユーザーには見えない裏側の部分にあたり、ウェブサイトの管理者が文章を入力したり画像を登録するなどして、コンテンツを作成・編集・削除するために用意されたインターフェース(管理画面)のことを指します。【注2】
通常はウェブブラウザを介してアクセスするもので、セキュアなログインが必要になることが殆どです。

・ データベース(Database、DB)とは

管理画面から登録されたデジタル情報を取り出しやすいように整理し保存する場所のことで、イメージとしては、図書館や整理された資料倉庫のようなものになります。
その他にも問い合わせフォームや何かしらの入力フォームなどを介して、ユーザーが登録した情報を保存することも出来ます。

【注2】バックエンドはデータベースやサーバーなどのインフラ部分を含めて指す場合もあり、プロジェクトにより異なります。

つまり、

  • フロントエンドはユーザーとの直接的なコミニケーションを行う

  • バックエンドは裏側で情報の処理を行う

  • データベースは情報の保管と整理を行い提供する

という役割を果たしています。
そしてこれらが密接に連携をすることによってウェブサイトの動作を実現しています。


■ 静的と動的の違い

さて、ここからは本題の「特別な知識がなくてもさわれる部分」について解説していきます。

まず、ウェブサイト上に表示されるページには大きく分けて2つの種類があります。これらは表示方法が異なり、「静的」「動的」と呼ばれ、CMSを用いたウェブサイトの多くはこれらが組み合わさって構成されています。

・ 静的に生成された静的ページとは

「いつ」「誰が」「どこから」アクセスしても表示される内容が変わらず、「固定ページ」と呼ばれることもあります。
一度作成されると情報の更新が発生しないぺージに適していて、例えば、企業サイトの基本情報や方針、サービス概要、沿革などに向いています。

・ 動的に生成された動的ページとは

「いつ」「誰が」「どこから」といったアクセスの条件やユーザーからの要求によって表示される内容が変化するページで、リアルタイムで生成されます。
情報の更新が頻繁に発生するページに適していて、ユーザーが何かを検索したり特定の条件を設定すると、その都度新しいコンテンツが表示されるため、企業サイトのお知らせページや、オンラインショップの商品ページ・検索結果ページ、更新頻度の高いブログサイトなどに向いています。

* 静的、動的という言葉のイメージから勘違いされやすいのですが、バナーがスライドしたり、アニメーションやエフェクトなどで "見た目"が動くことは、そのページが静的か動的かということとは無関係です。あくまでも掲載されている情報の内容自体が変化するのか、しないのかといったことで分類されます。

ここで気付かれた方もいるのでは?
そうです。自分たちでさわりたい部分、さわる必要のある部分というのは、

  • 情報が頻繁に更新されるページ

  • 同じ構造やスタイルを持つページを追加していくページ

になります。
ここを動的ページにすればいいんです!

では、動的ページはどうすれば作れるのでしょうか?
バックエンドの管理画面から作れるようにすればいいんです!

そうすることにより、専門知識などなくても更新の必要な箇所やページが自分たちで更新できるようになります。

■ CMSの効果的な導入方法

最近ではデザインの自由度も高く、特別な知識がなくてもサイトをサクっとと作れるノーコードCMSなども登場し、それこそ『誰でも』『簡単に』比較的安価でウェブサイトを作ることが可能になってきました。
しかし簡単である一方、デザインや機能にはそれなりの制約があります。

企業やブランドの「顔」となるウェブサイトなどは、デザインや機能など高いレベルでのオリジナル性が求められるため、バックエンドのカスタマイズなど専門の知識を用いたサイト構築が必要になる場合が殆どです。

効果的なCMSの導入を実現するために重要なことは、

  • 「情報更新の必要のある(さわりたい部分)」と「情報が変わらない(さわらなくてもよい部分)」を明確にする

  • サイト運営に関わるメンバーの役割や責任、運用フローなど社内の運用体制など明確にする

これらが明確になることで、サイト構築を請け負う開発側との間に齟齬が生じにくく、費用や工数を抑えることにも繋がります。

そして何よりも、運用のしやすい満足のいくサイトが完成することになります!


まとめ

ざっくりと解説、の割には長くなってしまいましたが何となくご理解いただけましたでしょうか。

CMSもその他のテクノロジーと同様に日進月歩で進化をしています。
日々新たな技術やサービスが登場し、部分的にだけCMSを導入するなど導入方法の選択肢もどんどんと増えています。そのため要件を整理しニーズに合ったCMSや導入方法を選ぶことが何よりも肝要です。

次回はCMSの種類やトレンドなどについても解説していきます。

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