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既婚女性は、なぜ稼げないのか?

 国税「令和3年民間給与実態統計調査」によると、正社員の平均年収は、508万円、正社員以外は198万円であった。2017年度に実施された総務省「就業構造基本調査」によると、所得が200万円以下の既婚女性の割合は、高校卒業者の約8割、、専門学校・短大・高専卒業者の約7割である。また35歳以上の大学・大学院を卒業した既婚女性においては、約6割の所得は、200万円未満である。

 仕事を通して大学生と接することも多々あるが、多くの大学生は男女問わず真剣に卒業後のキャリアを考えている。令和元年賃金構造基本統計調査結果によると、大卒女性の初任給の平均は22万3,900円なので多くの既婚女性は初任給よりも大幅に年収が下がっていることになる。つまり、キャリアを構築しようと社会に出た女性の多くは結婚することによってキャリアダウンを余儀なくされている。既婚女性(特に子持ち)の年収が既婚男性と比較して顕著に低いのは、日本特有の家庭の運営の仕方にあると思う。

 既婚女性の多くは、以下の3点の事由からキャリアダウンを余儀なくされることが多い。①男性は自分の働き方を変えることなく家族を持つことを望み、女性に対して働き方の変化を求める。具体的には、子供を授かる場合には女性が(1)産休、(2)育休、(3)時短勤務、などを取得ことが前提である。②どちらかの事情(転勤、転職、その他)からキャリアダウンを余儀なくされる場合には、女性がキャリアダウンをする前提であることが多い。③家事・育児は、手伝うことが前提である。つまり、自分が主体となって家事や育児を行なっていこうという概念がそもそもない。

そしてキャリアダウンをして家庭を支えている女性に対して、世間も夫も冷たい。「俺の金」「誰が稼いでると思っているんだ」「俺と同じくらい稼いでみれば」などは、経済的優位な立場に立っているからこそのセリフである。キャリアダウンした女性に対して、「もっと社会に出て輝きましょう」と経済の低迷の原因を作った政治家たちは恥ずかしげもなく推奨する。



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