英語力と国際教養

いつも疑問に思うのだが、国際人材=英語力だと勘違いしている人が多い。英語力があれば国際人材となるのであれば、英語圏に住む人は全員国際人材だという説が成立する。逆に言えば国際人材になるために必要なのは英語ではなく、英語は共通言語として使用するツールだと考えるべきである。小学校で英語教育が導入されて数年が経ったが、子供たちの国際教養を養う基礎を築いているとはとても思えない。仕事繋がりでALT(AssistantLanguageTeacher英語指導助手)をしている講師と知り合うことが多いのだが、彼らの多くは日本人英語教員との連携がスムーズにいかずに悩んでいる。習った英語でしか授業では使ってはいけない、カリキュラムに沿わない内容は取り入れてはいけない、英語が得意な児童と話すと話せない児童が劣等感を覚えるから全員に同じ頻度で話しかければいけない、など縛りが非常に多いらしい。

そもそも英語教育とは、家庭での格差が顕著に表れる科目である。0歳児から英語保育で学んできた子と小学校に入学して初めて英語を学ぶ子では、言語能力が違い過ぎて双方を満たすレベルの授業を行うことは不可能である。そのような状況で英語を小学校から導入したからといって、英語能力も国際的な視野もたいして育つとは思えない。

本来、小学校教育でフォーカスすべきは自国の文化を理解しアイデンティティーを築くために必要な、基礎となる教養を養うことである。日本歴史を様々な方面から学んだり、日本にある世界遺産を訪れたり、神話を学んだり、小学生の頃から時事問題を日々取り上げたり、こういったことがそもそも国際教養の基礎として必要な気がする。

言語の習得は、必要性に迫られたときに一番早く習得できる。ローマ字も書けなかった私が13歳で渡米し、全寮制のESLプログラムに入れられて1年後には日常英会話レベルをマスターできた。ちなみに5年後には、そこそこ難易度が高いリベラルアーツ大学に合格しているので英語力なんて3年もあれば十分にマスターできると思っている。英語(外国語教育)を小学校で導入する前にもう少し検討されるべきだったのではと思う。

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