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「社会復帰」と放送大学

 オイパラさんという人がいる。

 私が2年ほど前にTwitterで見た時から大変な活躍をされていた方だったのだが、自分自身がしばらくTwitterから離れ、最近覗いてみたら昨年メンタルを病んでしまったとのことである。

 Twitterで見る限り相当にタフな方だったので、「こんな人でもメンタルを病むことがあるのか」という感想を持った。

 ちなみに私自身も何度かメンタルを病んだことがある。というか今もそれなりに寛解しているだけで、無理は禁物状態である。
 そんな私は何度かメンタルが崩壊したり立ち直ったりを繰り返している経験から言えることがいくつかありそうである。
 適切な治療をすればメンタルはある程度戻る。しかしながら、厄介なのは「ある程度」メンタルが戻り、仕事がある程度までできるようになった後である。
 オイパラさんの記事によると、メンタルクリニックは「死んだ目をした女」しかいないように、女性が圧倒的に多い世界である。そういう状況で男一人だと、まず「人間関係のネットワーク」を築きなおすのが至難の業となる。
 幸いオイパラさんの場合は家族関係に恵まれているようだが、これが私のように非モテ男だと正直「一度メンタルを病んだことのある人」として扱われる職場と家との往復となり、じわじわとQOLが下がるということになる。
 また、ある程度の人格があれば余裕のある職場で人間関係が良好なら何とかなるだろう。しかしながら、「何かしらの武器」がない限り扱いは良くて二流であり、一流へのチャンスを失った存在となる。その環境自体が結構厳しいものだ。

 その「人間関係のネットワーク」と「職場での何かしらの武器」をある程度年を取ってからでもイチから手に入れられる手段として、放送大学というところは極めて有用である。

 その有用性を支える大きな部分は、放送大学というところが「過去も年齢もどこかでの実績も問わない場所」だというところにある。どんな実績があろうがあるいは犯罪歴があろうが、大学、特にゼミに入れば「教授と弟子たち」以外の何者でもない。弟子たちが強制的に平等な環境に置かれるのである。
 もちろん、楽な世界ではないので必死についていく必要はあるのだが、少なくとも過去に病気になったという事実が無視されるので、対等の人間関係ができる。
 そのネットワークそのものも大きいが、放送大学を卒業した後で新たにどこかで人間関係を築く際にも大きな働きを持つ。

 「学歴社会」では意外に知られていないのだが、どこかのコミュニティ、特に政策勉強会や街づくりなどの意識高い系がよくあつまるところで、社会人をやりながら放送大学をある程度以上の年齢で卒業したというのは、自己紹介としては相当使える武器であり、とりあえず相手に興味を持ってもらうことができる。
 もちろん、そこから先の人間関係を築けるかどうかは別問題だが、過去の病気というマイナスな印象を覆すには十分すぎ、年齢がそれなりに行っていても新たな人間関係を広げることができるようになる。(ちなみにこの方法は働きながら放送大学の学生をやっているというだけでも有効である。)

 そういった人間関係を築いていくと、職場とは全く関係ない情報が入るようになる。そういった情報とそれらのルートは職場においても一応の「武器」となる。
 だからといって一流になれるわけではないのだが、「なんか持っている奴」くらいには扱われるので、職場においても生きやすくなる。

 ということで、大学という場所は新たな人間関係を作るにはもってこいの場所である。そこに18歳で入学・22歳で卒業したっ切りあとはしらないというのははっきり言ってもったいない話である。
 そう考えると、下記の「大学25歳まで入学禁止制度」というものは、非常に有用であろうと考えるのである。