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建築編集者ロンロが行く

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記事一覧

自分に合った家を、自分に合った方法で。住まいを共につくるための勉強会レポート

どうせ住むなら快適な家がいい。 当たり前だけれど、快適さの基準は人それぞれですし、それを達成するための方法にも様々なアプローチがあります。 自分にぴったりの家を手に入れる方法をどう選べば良いかもわからない、そんな悩みを抱えている方もいらっしゃるでしょうか。 あるいは多くの人にとって、今後どのような住まいで生活していきたいのか、真剣に考える機会すらほとんどないのかもしれません。 そのような人たちに、家づくりについて共に考える場を提供したい。 そんな思いを胸に、建築家との家づくり

建築家と家をつくった2023年

こんにちは、建築ライターのロンロ・ボナペティです。 2023年にやったことを振り返ってみようと思います。noteでの発信は全くしなかったのですが、思い返すと色々と動きがありました。 まずなんといっても、 建築家と自邸をつくりました。 仕事で建築と、そして建築家と関わる身でありながら、自分が住む家については無頓着で賃貸の方が身軽で良いかなーと思っていましたが、家を買うことに。 数年前からズルズルと検討を続けていましたが、中古マンションを購入し、建築家にリノベーションの設計

建築を見に行く、そこに社会性を加えてみる

こんにちは、建築ライターのロンロ・ボナペティです。 ずいぶんと更新が空いてしまいました。 noteを書けていなかった理由の大部分は、お仕事としていただく原稿を書くなかで、書きたい欲のようなものが解消されてしまっているからです。 それだけ自分が書きたいと思ったことを自由に書かせてもらえる機会をいただいていて、ありがたいことなんですが、それでもやはりこうして「自分さえよければ良い」場所で書くのとは決定的に違う点があります。 ロンロさんは、ラジオが好きです。 特にTBSラジオの

「泊まれる出版社」を立ち上げた夫婦が、建築家との協働の先に見つけた価値と自信

神奈川県真鶴町──。神奈川県で唯一の過疎化地域とされるその町に、出版事務所を併設したユニークな宿がある。 宿泊とセットで提供されているまち歩きツアーで真鶴の魅力に触れ、それをきっかけに移住した人も40名を超えるそうだ。 若手建築家ユニット、トミトアーキテクチャ(以下、トミト)が設計した「真鶴出版2号店」の建築は、若手建築家の登竜門ともされるコンテスト、SDレビュー2017に入選し建築界でも注目を集めた。 地域の暮らしに新たな影響を生み出すプロジェクトを讃えるROCAL RE

地方でのリアルな暮らしを知りたい──メディアを立ち上げた夫婦がたどり着いた地方との関わり方

さまざまな地域に住む人びとの暮らしを紹介するウェブメディアがある。 ”暮らし”の”視点”で「くらしてん」 ご夫婦で運営されているこのメディア、取材方法が興味深い。 ある地域に住む人に、27枚撮りの「写ルンです」を渡して日々の暮らしの中で撮りきってもらう。後日撮影された画像を見ながらオンラインでインタビューを行い、その人の視点で自らの暮らしを語ってもらい記事にする、という方法だ。 記事は、写真と撮影時の状況を簡潔に説明するテキストで構成されていて、1つの記事を読むとある地域に住

モチベーションを維持する会社内倒産?──建築界の異端児、創造系不動産のチームマネジメント

「あなたが応援している会社を教えて」 LINE証券とnoteとのコラボ企画を知り、建築を専門に活動するライターの僕は、真っ先にある不動産会社のことを思い浮かべました。 建築業界と不動産業界は、一見近いようでいて実はかなり考え方が異なります。 たとえば著名な建築家がデザインし、建築的には高く評価されている住宅であっても、不動産業界では「駅からの距離、築年数、広さ」といった画一的な指標で価値を判断されてしまいます。 また不動産的には価値が低い土地であっても、建築家が本領を発揮

建築好きなら読み返したい、2019年のベストnote5選

令和元年の最終日、いかがお過ごしでしょうか。 今年話題になった建築系のnoteを振り返りたいけど、どんなnoteがあったか忘れちゃったよ~、というあなたのために、この1年間に発表された個人的におすすめなnote5選をまとめました!! といってもやはり面白いnoteほどたくさんシェアされて、すでに読んだという方も多いと思います。 そこで何度読んでも繰り返し発見のあるものを厳選しようと、僕自身ももう一度読み直してみて、改めて面白いと思ったものを取り上げてみました。 寒くてなかな

「生きた建築」その意味を問い直してみる~ #イケフェス大阪2019 後日譚~

こんにちは、ロンロ・ボナペティです。 「生きた建築」 と聞いて、なにを思い浮かべますか? ハウルの動く城、のように動力をもって動く建築のことでしょうか。 あるいは自然と一体となって生態系を育む、半自然的な建築のことでしょうか。 実はこの言葉、大阪で年に1度行われている建築イベント、「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪(イケフェス大阪)」が定義した言葉なのです。 今年で6回目を迎え、イベントの時期には例年SNSでも数多くの投稿が見られるので、ご存知の方も多いかもしれ

勝手に反省会!6か月目となったWEB連載を本音で振り返ってみる

こんにちは、ロンロ・ボナペティです。 本業では書籍の編集者として働く傍ら、WEBメディア「建設の匠」で月イチ連載を担当させていただくようになって早半年が過ぎました。 趣味で書いていたnoteに興味をもっていただき執筆の依頼があった本連載。 普段の仕事では自ら執筆することはなく、この連載でいえば依頼をしてくださった編集の方側で企画制作にかかわっています。 必然的に、メディアとしてどのようなものを目指しているのか、なぜ僕に依頼していただいたのか、といったところを確認するところか

建築を必然付けるものを追求していったら、靴べらにたどり着いた

どんな建築も、そのかたちには必然性があるはずです。 そこにはさまざまな要因が含まれており、特定の建築家のアイディアによって非凡なものが建ちあがったとき、「作品」と呼ばれてメディアに取り上げられたりします。 建築「作品」について語るには一定の教育を受けていることが求められ、建築を扱うメディアには、建築に素養のある論者によるテキストが並ぶことになります。 結果的に建築の知識がないと、なぜその建築が革新的なのかがわからなかったり、そもそも書いてある内容が理解できなかったりして、建

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得意ジャンルのnoteを書いていたらお仕事につながった話

昨年2月にnoteアカウントを開設して早1年、この度「すべての建設パーソンを応援するメディア」、「建設の匠」さんで執筆のお仕事をさせていただくことになりました! 建築という狭いジャンルのnoteを週末の趣味として月2~3本ペースで書いてきました。 「仕事に役立つ視点を得たい」、というモチベーションはもっていたもののまさか執筆そのものがお仕事になるとは思ってもいなかったので、機会をいただけて感謝感激です。 メディアの編集長の方に、なぜ僕に依頼してくれたのか、お話をうかがうなかで

建築的評価の高い作品が社会にどんな価値を提供するのかわからなくなったので見に行くことにしました

建築家・菊竹清訓氏の代表作、旧都城市民会館。 建築界からは高く評価され保存活用を訴える声も多く出されましたが、解体が決定したようです。 こんにちは、建築ライターのロンロ・ボナペティです。 いきなりですが、質問です。 「日々少しずつでも、社会が良くなっていったらいいなと思いませんか?」 こんなことを聞いて「そんなことない!」という方はまぁいないかと思います。 では「社会が良くなる」とはどういう状態でしょう? これについては絶対的な答えを持っている方はなかなかいないのではない

溶ける壁と建築的知性

建築という世界において、30年という時間はあっという間に思える。 なんといっても建築は人類の歴史とともに歩んできたわけで、遡れば原始の時代、洞窟や樹木に少し手を加えただけの住居からの起源がある。 そうした自然由来のものであっても十分に住処として成立していたであろう建築も、人類の進化とともにかたちを変え進化してきた。 その長い歴史のなかで、どのように建築は進化してきたのか。それを考えることから30年後の建築について、思考をめぐらせてみたい。 はじめに断っておくと、建築が機能を

あの建築を生かすために、僕たちに何ができるのだろう

今日は建築に携わる人なら皆抱えている、あの問題について考えてみたいと思います。 そう、建築を生かしていくために、僕たち一人ひとりに何ができるのだろうか、というあれです。 曲がりなりにも建築のコンテンツに関わる仕事を通して考えてきた、現時点での僕なりの答えを書いてみます。 違う考え方ももちろんあるでしょうから、ぜひ一緒に考えてみてください。 こんにちは、ロンロ・ボナペティです。 今まさに存続の危機に瀕している「都城市民会館」。皆さんご存知でしょうか。 特徴的な外観が異彩を放つ