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わかると楽しい! 建築の見方

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記事一覧

床を意識するだけで、建築はぐっと面白くなる

こんにちは、ロンロ・ボナペティです。 皆さんは普段の生活でどの程度「床」について意識しているでしょうか。 建築を構成する要素において、重要度の高い床ではありますが、その重要さに対してあまり意識されていないのではないかなと思います。 それはなぜかというと、下手なデザインをしてしまうとそこでの活動に支障が出てしまうから。 ほんの1cmの段差であっても、つまずきの原因になったり家具を置けなかったりと、マイナスのデザインになりうる可能性を孕んでいます。 したがってよほどの理由が

いま求められる図書館ってどんなものだと思う?

こんにちは、ロンロ・ボナペティです。 普段どのような空間で読書を楽しんでいますか? 自宅やカフェ、あるいは移動中の電車などさまざまだと思います。 僕もいろんな場所で本を読んでいますが、今回は読書空間としての図書館について、考えてみたいと思います。 図書館という施設の歴史を遡ると、世界的には紀元前にすでにその原型があったようです。 いずれも収集を主な目的としており、大量の資料を収集することに重きを置いていました。 こうした閉鎖的な、知識の集積を主眼とする図書館のあり方は、中

【9月度】建築の見方を広げるnote8選

9月に投稿された建築系noteのおすすめ8選をまとめました! 新たに参入される方も増え、建築系コンテンツがますます盛り上がりを見せていますね。 「たくさんありすぎてどれを読んでいいかわからないよー」という人のために、ロンロ的におすすめなnoteを選んで紹介していきます! * * * * * * こんにちは、ロンロ・ボナペティです。 早速9月分のまとめを紹介していきます! 7月・8月に続き以下のような基準で選びました。 推薦文とともにご紹介していくので、気になったものから

[7月度]建築の見方をひろげるnote10選

こんにちは、ロンロ・ボナペティです。 最近建築系のnoteクリエイターがどんどん増えていますね。 建築の面白さをもっとたくさんの人に知ってほしいと常日頃思っているロンロさんとしては、嬉しいことこの上ないです。 いろんな視点で建築についての記事をどんどん書いていって欲しいですね! さて、そうなると必然的に全部読みきれないよー、という人が出てくると思います。 そんなあなたのために、個人的にオススメな「これだけは読んで!」という記事を毎月まとめていきます! とりあえず7月は

「建築の見方」を身につけて、前川國男を見に行こう!

こんにちは、ロンロ・ボナペティです。 みなさんは建築を見るとき、どんな見方をしていますか? これまでnoteを通じて、僕が見に行って「いいな!」と思った建築を紹介してきましたが、実は僕も建築の見方を誰かに教わった経験はありません。 大学の授業でも、歴史的に重要な建築作品を学ぶ授業はありましたが、ではそれらの建築が良いのかどうか、というのは教わりませんでした。 授業で習った作品を「あんなものは駄作だ」と言う建築家がいて驚いた経験も多々あります。 では僕がどのように建築を見

ロジスティクスから考える建築の未来

こんにちは、ロンロ・ボナペティです。 今回は建築のロジスティクス のお話を。 ロジスティクスとは、兵站とも言いますが、戦場における物資の調達・輸送のことを指します。 現在では物流の管理全般、特に合理的に流通を組み立てる活動自体を指すのが一般的のようです。(大辞林より) それが建築とどんな関係があると思いますか? 日本の古い木造建築と、現代建築を比較して考えてみましょう。 建築に使われている材料を考えたとき、前者はその地域で採れる木材や石材が使われています。 (ただし寺社

建築家の社会的責任とこれからの建築家像——坂茂作品の魅力を知る3つの視点

こんにちは、ロンロ・ボナペティです。 今回は大分県で見ることができる坂 茂さんの建築をご紹介します。 以前こちらのnoteに書いた槇文彦さんの風の丘葬祭場も大分でしたが、大分にはわざわざ足を伸ばしてまで立ち寄りたい建築がたくさんありますね。 旅行や出張で九州に行く機会があれば、ぜひ建築巡りも楽しんでみてください。 さて坂 茂さんと言えば、建築界のノーベル賞とも言われるプリツカー賞も受賞している世界的建築家です。 日本での評価よりもむしろ、海外での評価の方が高いかもしれませ

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北九州で考えた、建築の保存のはなし––八幡市民会館と戸畑図書館

みなさんこんにちは、ロンロ・ボナペティです。 今日は建築の保存をテーマに書いてみたいと思います。 写真少なめな硬い話になりますが、建築を考える上で避けては通れないことですので読んでみてください。 時々、古い建物の解体がニュースになることがあります。 国立競技場の建て替えや、丸の内の郵政ビルなどが記憶に新しいところでしょうか。 日々解体されている建物はいくらでもあるのに、特定の建物の解体だけがニュースになるのはどうしてでしょう? 古くて使い勝手の悪い建物が壊されて、新しくて

世界遺産ル・コルビュジエを見に行こう

こんにちは、ロンロ・ボナペティです。 2016年7月、東京・上野の国立西洋美術館が東京では初めてとなる世界遺産に登録されましたね。 皆さんはなぜこの美術館が世界遺産に登録されたか、ご存知でしょうか。 近代建築の3大巨匠のひとりと言われる世界的建築家、ル・コルビュジエが設計した建物だから? 建築のデザインが優れているから? 建築の歴史にとって重要な作品だから? どれもちょっとずつ合っているようで、正解とは言い難い回答です。 もしかすると、世界遺産登録をきっかけに美術館に訪れて

日本建築は○○との関係に注目しよう!

こんにちは、ロンロ・ボナペティです。 前回の記事では、建築を見るときにはさまざまな背景を知っておくと色んな視点が得られて面白いよ、というお話をしました。 なかでも神社やお寺といった宗教建築は、時代時代の最新・最高の技術を結集してつくられていることもさることながら、時代ごとの建築様式や建立の由来、またどのような使われ方をしてきたのか、など建物にまつわるさまざまな背景が現代に伝えられており、調べていくと面白いものです。 しかしこうしたお勉強的な情報収集は、体系的な知識を得られるま