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YouTubeでオタ活は古い。VPNを使ってまで韓国アプリ『U+아이돌Live』を使うK-POPオタク達。


皆さんは「チッケム(직캠)」文化をご存知だろうか。

チッケムとは「個人カメラ」のこと。

つまり、放送されるステージの中で、個人を追い回したカメラの供給のことである。

「個人映像ならYouTubeにも上がってる」
「全体映像で推し見れるじゃん」

というライトなファンやあまりアイドルに興味がない方でも、
プロダクトを作っていたりサービスを展開している方にとって、「強烈なファンダム」を形成する韓国のアイドル文化には興味がある方も多いのではないだろうか。

ファンが何に熱狂して、自ら「発信」したくなるか、
いちオタクのインサイトを知っていただけたら役に立つ(かもしれない)と思って読んでいただけたら幸いです。

ここでは、今まさにK-POPファンやオーディション番組ファンが熱狂している「ILAND」を例に韓国アプリについて解説。
※ILANDとは、あのBTSの生みの親であるパン・シヒョクPDが手掛ける「グローバルオーディション番組」です。

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引用元:https://programnews.abema.tv/posts/9074541/

何はともあれ、どこからこんなにイケメン練習生が沸いて来たのか、まず最初に彼らの遺伝子に感謝したい。

ILANDでは、放送元のMnetからYouTubeで配信されるチッケムコンテンツとは別で「U+아이돌Live」という韓国のアプリからチッケムを配信している。このアプリは原則日本からはDL・視聴することができず、VPNを使って韓国のApple IDを作成してDLするという非常に面倒なステップがる。そんな面倒な手順を踏んでまで、このアプリを重宝するのはなぜか。

YouTubeと「U+아이돌Live」の違い

<YouTube>

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<U+아이돌Live>

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そう、「U+아이돌Live」はスマホ視聴を前提とした「縦型」なのだ。
これがどれだけ重要かK-POPの特徴と我々オタクのインサイトをベースにお話していく。

近年のK-POPは激しいダンスと美しいスタイル、フォーメーションダンスを得意としている。そのため、K-POPのパフォーマンス構成では、「ハケる」ことが日本のアイドルに比べてざらにあり、自分の推しがステージの外に出てしまう(全体カメラに収まらない)ことがあったり、全体絵を収めるための引きの映像がどうしても多くなってしまうという課題がある。

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↑激しい足捌き含めた全体の絵が見たい。


横型チッケムだと推しの上半身、ないし引きでの全身しか画面に収めることができず、華麗な足捌きや推しを構成する線全てを拝むことができないのだ。

つまり、ステージの始まりから終わりまで、推しの頭上から爪先までをカメラに収めてくれる「縦型チッケム」は我々オタクにとって喉から手が出るほど欲しい供給なのである。ILANDが始まるまでこのアプリを知らなかった私は、「U+아이돌Live」の画面録画が初めてTLに流れてきた時、縦型の迫力と興奮で軽率に沸いた

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↑端っこにいるのに爪先から毛先までお美しい。推せる。

ただの個人映像だけでなく、左下に全体の映像があることによって、どのシーンなのかわかることもありがたい。

また、右下のハートに注目していただきたい。

これは視聴中「沸いた」瞬間に自分の気持ちをタップで表現するもので(個人的見解)、リアルタイムでもどんどんハートが増えていくのが見受けられる。ILANDはグローバル投票でデビューメンバーが決まってしまうので、このハートの数が人気の指標にもなっており、投票する際の参考にもなる。ハートが少ないメンバーのファンは呼びかけを強化したり、推しが複数いる場合はハートが少ない方に票を入れようなどといった意思決定の基準にもなる。つまり、推しがどれだけ人気かを再生回数以外の熱量で測るのがこのハートなのだ。

オタクが熱狂を発信するまでのインサイト

また、ステージ自体も勿論楽しみたいが、「縦型チッケム」を重宝するオタクのインサイトとしては
・推しがハケたタイミングでイヤモニを直す仕草
・推しがスタンバイから真剣な顔つきをしている姿やメンバーに微笑む姿

といったステージの「裏側」的な部分を拝見したいのだ。

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↑ハケても音楽に乗ってる。ヒスン(横にいる方)との絡みも尊い。

特にイヤモニの仕草についてはあらゆる界隈のオタクが言及してきた永遠のテーマではないだろうか。

さらには、パフォーマンスの良し悪しだけでなく、
このような「裏側」が垣間見れるコンテンツはオタクもSNSにあげやすいというのもある。
メインカメラに収まっていない「発見」が増えるから「発見した自分」としてSNSにもアップしたくなるというインサイトがあるのだ。

アイドル好きのオタクアカウントでは、「CDを何枚積んだ」「握手券が当たった」と言う見えるマウントよりも、「私が見つけたこの子のパーソナルな一面」という見えないマウントが蔓延っている。いち早く発見し、解釈し、共有することで他オタクからも認められ、支持されていくのだ。(オタク内でも暗黙のカーストがある。)

このご時世でなかなか現場に行けず、オンラインの供給のみで凌いでいる私たちにとって、「メインカメラに抜かれていない推し」を「全て」享受でき、再生回数ではなくハートで好きを表現できる縦型チッケムアプリを重宝する理由がわかっていただけただろうか。

この「発見」「解釈」「共有」の流れを前提とした見事なマーケティング集団があのBTSが所属する「Big Hit」である。ファンが自ら考察し、発信したくなる彼らのMV構成については別記事で語りたい。

そして、今回写真を使わせて頂いたのはILANDでグローバルアーティストを夢見る17歳のパク・ソンフンくん。10年間フィギュアスケートの選手として活動し、オリンピック出場候補生だった彼がBTSに憧れてアイドルを目指している。明日デビューメンバーが決まってしまうので、15秒ほどのお時間で投票をお願いしたい。

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