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VOX Starstream。

モデリングギター。

――最初はCharさんの新曲だと思ってすごく自然に聴いていました(笑)。ラストのソロではエレクトリック・シタールのようなサウンドも聴くことができますね。

 あっはっは。バレたか(笑)。あそこは野音でも使ったVOXのギター(※Starstream:エレキやアコギ、12弦、シンセなど多彩な音を表現できるモデリング・ギター)なんだよ。今回のアルバムではコイツがかなり活躍していて。シンセっぽく聴こえるサウンドも大体このギターだったりするんだよね。原曲でスティーヴィーが弾いているシンセ・サウンドは現代のシンセでは逆に出せなくて。で、たまたまこのギターをいじっていたらシタール・モードがあったんだよ。シタール・サウンドは俺がガキの頃から効果的に使っているグループも多くて馴染み深かったりしてね。例えばザ・スタイリスティックスの「ユー・アー・エブリシング」とか。で、この曲のアレンジを構築していく上でシタールの音が合うと思ったんだ。ああいうサウンドだと普段のギター・ソロとは全然違うアプローチになるんだよね。特にチョーキングをしなくなるからフレーズがキーボード的なアプローチになるし、今まで自分が弾いたことがないようなフレーズが出てきて、まさに“Creepin’”なイメージとバッチリ合ったね。

ZICCA Fret toFretリリース時インタビュー part 2

2021年にリリースされたFret to Fretアルバム。

そして年末の45周年武道館公演と翌年に続いた45周年記念ツアー。

それに先駆けて4月に行われた野音「Shinin’ You Shinin' Day」ライヴ。

アンコール曲でCharさんが抱えて出てきた白いフレームのギター?的なギターで演奏したChameleonでは「びよんびよん」という、いわゆるシンセベースの音色で「なんだこれは!?」的になり、配信で見ていた僕は「そういや前に見たことあったな」と思って検索するという…演奏見ろって話ですが(笑)。配信はそういうところ便利で、同時によくないですね^^;たどりついたのはVOX Starstream Type 1。

人一倍(10倍以上かもしれない)「ギターを抱えた時の見た目」というのを重視しているCharさん。カッコ悪いのは持たない、という主義だと思っていますけど、そのCharさんがなかなか突飛なフォルムのギターを持って出てきたのは、それを「カッコいいと思ってる」かもしくは「形を超える機能を重視した」かはたまたその両方か、であろうと。実際には78年以来ESPと組んでリリースしてきた「Charモデル」の時代にいわゆるトラディショナルな形状から脱却しようという?スタンスはあったと思いますけど、こと21世紀に入ってからはCharモデルも出てこないというかトラディショナルなストラト、レスポールで来ていたので、まあ正直な話「飛び道具!?」という感じにはなりました^^。

ところが困るのは(笑)これでカッコいい演奏しちゃうから。終わったあとすかさずChar仲間から「買うの?どうすんの?」みたいな(爆笑)。なかなかね、これは勇気要りますよ^^。その頃ね、欲しかったギターがあったんです。これはまた別記事で書きますけどFenderのAcoustasonic。なんだかんだ言ってもアコギ弾きなんでね。Charさんが抱えてるの見てそっちに引っ張られていた。シンセベースはなあ、GRあるしなあ、みたいな。

音か、モノか。

アルバムが出て、以前の記事で書いたとおり、武道館公演を見に行きました。

武道館でも当然のように使われたこのギター、ライヴ後にみんなで飲んでる時にも話が出て…と、その時ご一緒したSさんが「あれいいんですよ~僕買っちゃった」っていうのを聞いて、そうかあ、いいのかあって思っていたんですけどね。

実はその頃、Char仲間から「あの音の出るエフェクター」の情報をもらっていて。「VOXのモデリングギターならVOXのエフェクターがはいってるんだろ」という推測どおり!ありました。それもかなりリーズナブルな価格。VOXのマルチエフェクター StompLab SL1B。これはベース用。

そのままびよんびよんが出ます。「どうしてもあの音が欲しいけど、本物まではなあ」という方にはおススメかも^^

ためらいからの…入手。

欲しくなったら真剣に探すんですけど、正直飛び道具と思っていたし(失礼)、飛び道具にはなかなかなお値段(リリース時税込定価10万円くらい)なので…まあそうはいってもけっこうその飛び道具に手を出してきましたけどねエレキング以来(苦笑)。要はどんなに飛び道具であっても、僕の場合は自分のバンドで使うので…Charコピーバンドの人は、限られた演奏時間でこれを最初から持って出ないでしょうからね。同じ理由でツインヘッドというのがありますが…コレクターの人はともあれ、実際に使う場面がないと手を出しにくいタイプだと思います。

決め手になったのは、上で書いたSさんの言葉。「シタールの音が良いんですよ」「使えます」…僕自身GR-55持ってるので、いわゆるギターシンセとしては同じ音はもちろんそれ以上の種類出るものがあるんですよね。あとはそれを越える使い勝手があるかどうか。

そんなわけで、その後2年弱…まあ機会があったら…的な感じで、それほど真剣にではないんですけどときどきサーチをかけていたのですが、先日、偶然同じ色のモデルを見つけて無事入手^^。

ライヴで使えるもの。

もうずいぶん前になるけど、永井龍雲さんのOAをやらせていただいたことがあります。龍雲さんは当たり前だけどギターの音にとてもこだわられていて、いろんなことを教えていただいたのですが、その時に「知ってる?いろんな音の出るギターがあるんだよ。あれがあるとライヴで何本もギター持って回らずに済むからいいよねえ。俺買おうかなって思ってる」…その後買われたかはわかりませんが、そのとき話されていたのがLine6のモデリングギターVariax。アコギ、エレキ、12弦などの音が出てさらにチューニングもいじれるというのが、こういうシリーズの「はしり」だったと思います。たしかに12弦欲しいなとか思って手に入れても、実際にライヴで使うとなると、ワンマンライヴならまだしも、対バンライヴでは時間的にも空間的にも扱いにくいんですよね。結果的に徐々に使わなくなり、録音の時にしか登場しなくなる。アマチュアの難しいところです。

このStarstream、もちろんCharさんの使用でその実力は証明されているものの、問題は自分が使えるかどうか、です。飛び道具を越えられるか。気づいていなかったんですけど…まあノーマークだったってことですけど…実際に弾いてみると…いい音なんですよ。あら?みたいな。そこで初めて興味を持った。買った後で(苦笑)。

このギターは2016年にリリースされていて、Youtube上ではたくさんの動画があります。そのなかにGODIEGOの浅野さんが開発段階で音作りのアドバイザーとして関わっているということで。この動画で、それぞれの音色についてもコメントされています。12弦の音色についてもこまかいな~と思っていたらさすが浅野さんがあれこれ注文していろんな音色を出せるように持っていったようで^^。ガンダーラができますね^^。part 1だけリンクしておきます。

さらに。Do As Infinityの大渡さんはかなり長時間にわたって詳しく解説をされています。こちらも前編だけリンクしておきますね。

このおふたりの話を聞けば、だいたいこのギターのことがわかると思います。

スペック。

内蔵システム: AREOS-Dシステム、マグネティック・ピックアップ、ピエゾ・ピックアップ、ボリューム、トーン、ピックアップ・セレクター・スイッチ
ボディー: マンゴー
ネック: メイプル
指板: ローズウッド
ネック指板R: 310mm
ネック・シェイプ: Cシェイプ
スケール: 25 1/8″ (638 mm)
フレット数: 22
フレット: ミディアムジャンボ
ナット幅: 43 mm
ピックアップ: VOX XLM x 2, ピエゾ・ピックアップ(各サドルにマウント)
ブリッジ: 2 ポスト・トレモロ
サウンド数: 27 (9バンクx3)
ユーザー・プログラム: 6 (2バンク x 3)
アウトプット:
ギター・アウトプット(6.35mm 標準ジャック)
ヘッドフォン・アウト(3.5mm ミニジャック)
電源: アルカリ単三形乾電池 4本、または単三形充電式ニッケル水素電池 4本
電池寿命(連続使用): アルカリ乾電池約11時間、充電式ニッケル水素電池約15時間

VOXサイトより

Impression。

僕は自分のバンドではアコギもエレキも弾くので、ひとりだけ機材が多いんですよ^^;。で、通常はそれほど大きくない会場が多いので、実際にはCharさんが自宅用機材として?広告に登場している、たとえばTHRとかも実際にライヴで使用しています。意外に重宝するものがある。このVOXも、スタジオで通常練習するときにとっさにあれこれ持っていけない(面倒くさい)時、全部載せでいいじゃん、と思ったのですが、実際に使い始めてみると、ものすごく使い勝手がいい。いくつか挙げていきますね。

ひとつめ。ギターとしての性能がいい。浅野さんも動画で話されていますが、このクオリティが高いんです。ギター弾きとしてはここの追い込みがうまくいかないとやっぱり練習用を越えられない。ネックの感じがとてもいいというのが率直な感想です。長時間弾いてもいい感じ。スケールはフェンダーでもギブソンでもない…PRSに近いのかな?弾きやすいです。さらに。この突飛な感じのフレーム部分がですね、意外にもとてもいいのです。腕も体も収まりがいい。なんていうの?人間工学?そんな感じです^ ^。

ふたつめ。アームがいい。エレキを弾くにあたり僕が求めてるのはやっぱりアームの有無。2点支持のシンクロナイズドトレモロですが、とてもいいですね。今はフローティングさせていないのでアコギの音色でも問題ありません。フローティングさせるとわからんけど(サスティンがね)、今後また試してレポートしたいと思います。

みっつめ。音がいい。Sさんの言ったとおり、そして浅野さんや大渡さんのレポートのとおり、音がいいです。僕はSSHという配置のギターにあまり興味がなくて、欲しいと思ったこともなかったんですが、大渡さんの動画を見ていて、「なるほどこうやって使うのか」と思ったと同時に、練習中にその配置で使ってみて初めてその使い勝手の良さに気づきました。まあ実際に本物を弾いたら違う感覚かもしれないけど…ニュアンスはね、感じられたのではないかと思います。Charコピーとしては件のシンセベースですけれど、アルバムリリース時、そして武道館のあと、いくつかの音楽雑誌でStarstreamの話題が取り上げられるたび、「シンセベース」ということで「レイテンシー(音の遅れ)はどうなのか」とかね、まあギターシンセを触ったことのある人はこれに苦労しているはずなので(今はそんなことほぼないですけどね)インタビュアー氏がそこを聞かれていましたけど、Charさんの言うとおり何の問題もありません。

音色の名前は上から見るようになっています。
上から見た様子。


使える音色はピックアップセレクタースイッチの位置(Neck、Middle、Bridge)で非常に多彩です。ハム2発だけど、ストラトの3色、ハーフトーンの3色、レスポールの3色、上で書いたとおりModernはSSHになる。エレキの音のほうがよくできてるかも。浅野さんも大渡さんも言ってますけど、エフェクトがよく考えられていてスイッチオンでエレキ系には歪みがかけられて、アコギ系にはリバーブがかかります。ツマミでかかり具合のレベルが変えられるのは素晴らしい。先日のライヴでもセッションするのに重宝しました。

というわけで、とってもいい楽器なのですが…リリースから7年後にすごいとかレポートしてもね…すみません。もはやディスコンのうわさも?見つけたらぜひ一度お試しください。見慣れて使い慣れると、見た目なんにも気にならないどころか、収まりいいなあなんて思ったりね(笑)。

Special Thanks:
Mr. Hirai
Mr. "Gifu"Take

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