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タイ語の翻訳小説「824 月明かりのロンド」ができるまで⑦

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◎タイでローカルな結婚式に参列した思い出

●小説内では憧れのセレモニーとして登場

「824月明かりのロンド」ではモデルの女の子ミーナが、きれいなドレスを着て結婚式を挙げる上流階級の人たちに憧れている、というシーンが出てくるが、今回は私がバンコクに住んでいたときに参列したローカルなウェディングセレモニーのお話。

●運転手さんの結婚式に参列

私がバンコク在住時には、我々駐在員家族も、時間交代で専属の運転手さんに、買い物や遠出のお出かけ、通院などをお願いすることができた。道路には韓国車ヒョンデも多かったが日本からの駐在員の運転手さんの自動車は当然のことながら概ねトヨタ車。土地勘のあるドライバーさんには、不慣れな国での毎日をずいぶん助けてもらった。
運転手さんによっては、ガソリンスタンドにばかり寄って必要以上の給油をしたり、用事を足している間にトランクに入れたバッグの中を物色するといった場面もあったが、大抵は親切で運転上手なドライバーさんに長いおつきあいをお願いすることができた。そしてあるとき、運転手さんの息子さんの結婚披露宴に、私たち家族も式に招かれた。

●昔ながらの庭付き戸建てでの披露宴

当時からホテルで盛大な披露宴をするカップルも多かったが私が参列したのは、昔ながらの庭付き戸建ての自宅でのセレモニー。私たちは、式の最初から最後までに列席をしなかったので、タイでの自宅結婚式の一般的な流れの、ご近所パレードやお坊さんによる儀式は見ることができなかったが、ローカルなタイの人々の結婚セレモニーの一部を垣間見るという貴重な経験をした。

●頭の上の白い紐で結ばれた新郎新婦

運転手さんの自宅の庭にはテーブルと椅子が並べられ、料理が置かれていた。自宅内では、床に正座し、頭を白い紐でつないだ新郎新婦がお祝いに来た人ひとりひとりに丁寧に挨拶をしている。白い紐には、結婚に至った新郎新婦は、糸で結ばれた縁があり、それをこれからも末永く、という意味合いがあるらしい。この紐が思いのほか長く太い。タイは離婚率もシングルマザー率も低くはないが、結婚式ではしきたりに従って紐で結び付きをアピールする習わしのようだ。

●庭では大音量の音楽が、そして暑い

そして庭の宴会場では終始大きなスピーカーから大爆音の音楽が流れている。
しかも、大変暑い。
私たち家族は、新郎新婦と運転手さんにご挨拶した後、どのくらいそこにお邪魔していただろう。せっかくなので来賓の皆さんとの交流も楽しみたい、と思っていたのだが、もう大音量と暑さにノックダウン状態。カジュアルだったが、お出かけ用ワンピースも汗でぐしゃぐしゃだ。

●お互い様、というタイの文化

それにしても夜が更けても続く大音量の音楽と乾杯や談笑、これは近所迷惑では?という私の疑問に列席者のお一人が、お互い様だから、と笑ったのは印象的だった。
お互い様。
新郎新婦を結ぶ白い紐、暑さと大音量の中、延々と続く披露宴。タイらしいよい思い出である。


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