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スターと共に観客は去りぬ 〜なぜ今年のメジャーリーグの観客動員数は300万人も減ったのか〜

本日メジャーリーグ好きの間でちょっと話題になった記事がありました。

今年2018年のメジャーリーグの観客動員数が去年に比べて約300万人も減少したという話題です。(この記事でわざわざNPBの観客動員と比べている意味があまり見出せませんが…)
メジャーリーグの観客動員数は2015年に約7,380万人を記録して以降3年連続で動員を減らしており、今年2018年には約6,970万人と3年前から約400万人も観客が減少しました。特に18年は先ほども述べた通り約300万人の観客の減少と減少幅が顕著に大きくなっています。なぜ、こんなに18年は観客が減ったのでしょうか。今回はその原因について考えてみたいと思います。

今回、観客動員数を調べるにあたってはBaseball Referenceを参考にしています。

スター選手が消えたら観客も消えた

今年2018年は観客動員を40万人以上も減らしたチームが7チームも存在し、この7チームで約390万人も観客動員を減らしています。去年2017年には観客動員を40万人以上減らしたチームは0であり、18年にいかに動員数を大幅に減らしたチームが多いかが分かります。
なぜ、多くのチームがこれほど観客動員を大幅に減らしたのでしょうか。
それは、この7チームの共通点を考えてみると分かります。
いかにその点についてまとめます。

トロント・ブルージェイズ  2018年 73勝89敗 動員 約88万人減
2017-18年の主な放出選手
Jose Bautista, Josh Donaldson, J.A. Happ

マイアミ・マーリンズ 2018年 63勝89敗 動員 約77万人減
2017-18年の主な放出選手
Giancarlo Stanton, Christian Yelich, Marcell Ozuna

カンザスシティ・ロイヤルズ 2018年 58勝104敗 動員 約56万人減
2017-18年の主な放出選手
Eric Hosmer, Lorenzo Cain, Wade Davis

デトロイト・タイガース 2018年 68勝94敗 動員 約46万人減
2017-18年の主な放出選手
Justin Verlander, J.D. Martinez, Justin Upton

ボルティモア・オリオールズ 2018年 47勝115敗 動員 約46万人減
2017-18年の主な放出選手
Manny Machado, Zack Britton, Jonathan Schoop

ピッツバーグ・パイレーツ 2018年 82勝79敗 動員 約45万人減
2017-18年の主な放出選手
Andrew McCutchen, Gerrit Cole

テキサス・レンジャース 2018年 67勝95敗 動員 約40万人減
2017-18年の主な放出選手
Yu Darvish(ダルビッシュ有), Cole Hamels

どのチームもつい数年前まで大きな戦力を有し、ほぼすべてのチームがポストシーズンに進出していたチームでした。しかし、どのチームもここ数年徐々に弱体化し、上の表にも書いてある通り、去年17年から今年18年の間にチームのスター選手を放出することで再建期に入ったことが明確になりました。
スター選手もいなくなり弱くなったチームには観客も集まりません。
そう、ここ3年の観客数の著しい減少は、多くのチームが再建期に入ったことが大きく影響しているのではないかと考えるのです。
ちなみにチーム成績と観客動員の相関はちょうどyamanaka25さんがblogで記事書いてるのでそちらを参照してください。

ここ3年で状況が変わった

今年、観客動員数が40万人を割ったチームの多くがアメリカン・リーグのチームです。
なぜ、アメリカン・リーグのチームが多く観客動員を減らしたのか。それは2015年からの状況の変化にあります。
15年の開幕時点でアメリカン・リーグのチームは再建中のチームなどない、どのチームも勝ちポジションを取っている状態でした。
シカゴ・ホワイトソックスはアスレチックスからJeff Samardzijaを獲得し、ブルージェイズもアスレチックスからDonaldsonを獲得、ツインズは前年の2014年にErvin SantanaとPhil Hughesと2枚の先発を獲得しており、タイガースにはまだDavid PriceもVerlanderもJ.D. Martinezも在籍していました。(ちなみにアスレチックスは前年に大補強をしましたが地区優勝を逃しオフに主力選手の大放出を行いましたが、その代わりにすぐにメジャーリーグで使える選手を多く獲得し、あくまで開幕時には勝ちポジションの状態でした。)
そう、どのチームも2015年は勝負を仕掛けていたのです。
それがこの3年で徐々に勝ち組と負け組がハッキリしていきます。
ホワイトソックスはChris Saleをボストン・レッドソックスに放出し完全な再建へといち早く歩を進めました。ブルージェイズはFAとなったPriceとEdwin Encarnacionをそれぞれレッドソックスとクリーブランド・インディアンスに獲られ戦力を骨抜きにされました。ロイヤルズはスモールマーケットの宿命でサラリーを払えなくなったスター選手を徐々に放出していき、ついに去年のオフにHosmerとCainが他のチームに移籍したことで1つの時代の終焉を迎えました。
その結果2015年からたった数年でアメリカン・リーグはヒューストン・アストロズ、インディアンス、レッドソックス、ニューヨーク・ヤンキースの4強と言っていい状態になりました。
そして、負け組に転落していったチームからはスター選手もそして観客もいなくなったのです。

負け組チームに観客は帰ってくるのか?

さて、ではこれから観客動員を減らしたチームに客は戻ってくるのでしょうか。
観客を戻す方法は単純です。チームが強く、魅力的な選手たちが多く在籍すればいいのです。そう、単純だけどとても難しいことです。
現在の負け組チームの状況を見るにまだこれから最低でも2~3年はチームの再建を図っていくであろうチームが多いように思います。
でも、どのチームも再建に入った時期はほぼ同じです。メジャーリーグのチームは大体似たような期間・サイクルでチームの再建を図っていくので、おそらく今負け組になっているチームは失敗しなければこれから2~3年後に新しいチームとしてそれなりの成果を出してきます。
そして、その時がチームの観客動員数の増加ひいてはメジャーリーグ全体の観客動員の増加の時期になるはずです。

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