ルアーフィッシングと思惟、もしくはマンハッタン釣れませんでした帳(7月下旬)

2020/07/19 5:30AM〜8AM 上げ半〜上げ8分 @Two Bridges
2匹目のドジョウとはよく言ったもので、先日釣れた場所に先日釣れた時間、先日釣れたルアーを投げに向かってしまう。当然のように釣れませんでした。それにしても、釣れたという事実がまっとうな状況判断を鈍らせている感覚がある。成功体験というのは世間で思われてるより取り扱いが難しいのではないだろうか。

2020/07/19 5:30PM〜8PM 上げ半〜上げ8分 @Two Bridges
釣れた興奮がモチベーションを高止まりさせていて、本日2度目の釣行に出てしまう。しかし電動スクーターの充電をせずに出かけたので電池が切れ、途中からただのクソ重いスクーターに成り下がり、たいへんなお荷物に。釣れませんでした。

2020/07/20 4:30AM〜7:30AM 上げ3分〜上げ6分 @Jerry Driscoll Walk〜Brooklyn Bridge Beach
ブルックリンブリッジの真下に、たぶん人造だろうと思われるビーチが50mだけあって、ローカル勢がみんな「あんな浅いところじゃ釣れない」と言ってるので一度もやったことなかったけれど、とにかくおっさんたちの「こうしないと釣れない」を疑い続けることでモチベーションを保っているので、やってみることにした。

これまで釣っていたポイントはどこも足場から水面まで1.5m〜3mくらい高さがあって、端的に言って水面とは疎遠というか、空々しい関係だった。でもビーチの波打ち際に立ってみると、水面との距離感が桟橋とはまったく異なって親密で、その高さのない視界が新鮮でたいへんに気持ちがいい。船が通ると波で靴が濡れたりする。生きてる感じがする。釣れませんでした。

2020/07/21 4:00AM〜7:30AM 干潮〜上げ4分 @East River
この日記を書き起こす前のメモがiPhoneにあって、それを読み返しながら、これまでのバラシを含む釣果を振り返っていた。ヒット2匹、水面バラシ1匹、ショートバイト1回、チェイス4回。あと外道3匹。ちゃんと釣りをし始めたのが6/20なので、1ヶ月余を費やして、成果はたったこれだけという惨状である。ただわかったことがあって、ヒットにはベイト(ストライパーのエサとなる小魚)の出現が絡んでいる確率が高いということだ。

1度目のヒットのときはサビキの人にシャッドが釣れまくっていたし、2度目のヒットの日は岸際に5cmくらいの謎ベイトが群れているのが見えていた。水面バラシの日はベイト関係ないけど、ショートバイトの日もシャッドが釣れていた日。やはりストライパーの回遊は、基本的にはベイトの動きに追随していることが多いのではないだろうか。ベイトは基本的に引き潮に乗ってニューヨーク湾まで出て、上げ潮に乗ってこの河口地帯に接岸する。

その想像を確証に変えるため、Amazonで懐中電灯をポチっていたのだけれど、それが今日届いた。夜中に水面を照らして、ベイトがいないか観察するためである。それにしてもいまどきの懐中電灯の明るさはすごい。単1電池を9本とか突っ込んでいた懐中電灯に換算すると40個ぶんくらいの光量が、手のひらサイズ。そして河口に行き、水面を照らす。何もいない。30m移動して、また照らす。いない。また移動、自転車が沈んでいるのが見える。ほとんど釣りをしないで水面を照らしているだけの不審者と化したのだった。

2020/07/22 5AM〜7:30AM 干潮〜上げ3分 @Hadson River
昨日に引き続きベイト探し旅、ハドソン川サイド。すぐに明るくなってしまったので懐中電灯の出晩は少なかったのだが、ショッキングなことがあった。マンハッタンでいちばんのポイントと言われるバッテリーパーク、明るい時間に来てわかったのだが、ハエがぶんぶん飛び交う、ものすごい不潔な場所だった。なぜかというと、海沿いに転落防止の柵が設置されてるんだけど、その木でできた手すり部分をまな板がわりにして、釣り人たちがエサのサカナをぶつ切りにする慣習が定着しているのだ。

もちろん切ったあとの片付けなんてしないので、100m以上にわたって手すりは魚の血と臓物がこびりついてベトベトだし、頭や尻尾はそのへんに落ちまくってるし、それを食べにハエが大量発生していて、もう最低だった。こないだ暗い時間に何も知らず手すりを乗り越えたんだけど、手も服も汚れたんだろうことを思い出したら気分悪くなってしまった。糸や仕掛けをポイ捨てするやつもいるし、釣り人のマナー、平均値で言うとほんとに悪い。

2020/07/23 5:30AM〜7:30AM 下げ9分〜干潮〜上げ2分 @Pier34〜25
バッテリーパークに2度と行きたくない嫌悪感がつのってしまったので、ピア34を目指す。干潮のおかげで沈み根が観察できたのはよかったけど、買ったばかりの鉄板バイブをロストしてしまった。ロスト、メンタルにも財布にも悪い…。

2020/07/25 0AM〜2:30AM 上げ9分〜満潮〜下げ2分 @Two Bridges
ジェイくんがお別れに遊びにきていたんだけど、釣りに拉致る。家を出るときからすごい稲光で、ほとんどカミナリ見物の様相。ピア35からブルックリンブリッジまでランガン、熱望したベイトが見つかる。見つかりまくると言ってもいいくらいベイトがいる。いるのに、まったく釣れなかった。一度だけミノーにチェイス。でもそれだけ。ベイトを見つけよう戦略、ダメなのかも。

2020/07/27 0:30AM〜2AM 上げ7分〜満潮 @Two Bridges 
風が強くて釣りにならない。メタルバイブを投げていたら高切れして、集中力の糸がプツンと切れ、撤収。外道でもいいからそろそろ釣れてくれないと心が折れる。海沿いにある屋外ジムで懸垂してみたら一度も上がんなくなってた。笑う。

2020/07/28 5:00AM〜7:30AM 下げ3分〜下げ5分 @Two Bridges
きょうもまた風が強い。マッチザベイトと思って8cmのミノーを買ったんだけど、風の合間をみて投げないと悲惨なことになる。ミノー釣れない→ジグヘッドワーム釣れない→鉄板フルキャストで釣れない→移動、というローテーションができてきたように思う。ほんとはそこにワームを組み込めるといいんだろうけど、リグる時間がもったいないのと、釣りがいきなりスローになるのでどうもうまく使えない。チャイニーズのおっさんとオマツリ。向こうの竿から30mくらい流された糸を拾ってしまったので、一応あやまったけどあんな糸フケさせてる向こうが悪いと思う。釣れませんでした。

夕方、とうとうフェリーに乗って河向こう、ブルックリンのポイント偵察に繰り出した。ただgoogle map見ながらアタリ付けていた場所は、ほとんどぜんぶ、釣り禁止。唯一ピア5の、しかも沖側数十メートルだけ釣り可。ダンボ〜レッドフックの海沿いは観光地として巨額を投じて再開発されていて、人出もたいへんに多く、そこで釣竿振ったりニシンを手すりでぶつ切りにしてたりすれば、そりゃ禁止にもなるわな。普段釣りしてる堤防を対岸から見れたのはおもしろかった。

2020/07/29 5:30AM〜7:30AM 下げ1分〜下げ3分 @Two Bridges
出遅れた。最近朝マズメはシャローばっかりやってる。過去の記録を見返してみると、ヒットもチェイスもシャローが多いとわかったからなんだけど、もうひとつには7:30には帰宅しないといけないので、シャローの釣りの方が迷いがなくやれて悩みが少ない気がしているからだ。水深がないからレンジを探る必要が少なくて、事実上釣りを2次元で考えることができるようになる。

ただシャローで釣りをしてると、チャイナタウンのおっさん勢が「そんな浅いところに魚はいないよ。こっちの深くなったところでやりなさい。ほら、私とこの人の間に入れてあげよう」と言ってくるので、ありがたいけど正直あしらうのがめんどくさくなってくる。ルアーじゃ釣れない、と同じくらい、浅瀬では釣れないという迷信が行き渡っているように感じる。それを迷信だと証明してやらなければならない。意味のない義務感にかられるが、釣れませんでした。


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