30年ぶりに釣りをしてみようと思う (6)

2020/06/21 11PM〜6AM 下げ1分〜干潮〜上げ2分
きのうと同じくウィリアムズバーグブリッジ下からスタート。スプーンをぶん投げていたら、これが高切れというやつか、リーダー結節部からすっぽ抜けて遥か遠くに消えていった。魂がもぬけの殻となり、かつあんなに練習したのに暗がりでFGノットを結ぶのはクッソ難しく、しかもようやく結び終わって捨て糸を切るはずが本線のほうを切ってしまい、完全に心が死んだ。

「あいつぜんぜん釣りしてなくてずっと糸結んでね?」というワイワイからの視線に耐えつつ、なんとかふたたびノットを完成させて、今度はメガバスのフローティングミノーを投げてみるけど、もう引き潮がガンガンに流れていて、いちおうドリフティングみたいのを試してみるけど、流しながら動かすのは難しいし、ぜんぜん思ったところを通らないし、通ったところであまりに短い時間しか滞在してくれないのでだんだん苦行めいてくる。

重いものを投げて流されないようにしよう、と思って1オンスのバックテイルジグ+5インチグラブにチェンジ。これでも流されてしまうけれど、キャスティングの精度を上げる練習をしたりバックハンドキャストにトライしたり、いろいろ試して心が死ぬのを回避しながら、徐々に南下していく。コリアーズフックというマイナーなフェリー停留所の周りが深さもあって構造物も多いので良さそうに見える。

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しかし構造物まわりを攻めてるうちに、ふたたび根がかり。またジグヘッドひとつロスト。大人だから持ち堪えるけどさー、ルアーってこんなにお札が飛んでく遊びだったっけ…。サザエを割って海に撒くイシダイ釣りに比べれば可愛いもんだけど、子供だったらやってられなくなって万引きに手を出すんじゃないだろうか。とにかくロストするってガックリくる。もちろんアタリもなにも一切ない。

いつものピア36〜35にたどり着いた頃にはすっかり夜は明け切っていて、朝日をもろに受ける角度なので集中力がほとんど消え失せる。ただ暗いと転落が怖くて避けていた水際を歩けるようになるので、チヌの落とし込み釣りみたいに壁際を攻めたりして、ちょこちょこランガンしてたらめずらしく白人のアングラーに出会った。

ドミニクと名乗った彼はコロナシーズンもお構いなしにガッチリ握手をしてくるタイプのナイスガイで、チャイニーズのおじさんたちはほぼ英語がしゃべれないので、もうほんと、渡りに船とばかりにガッついて重要な情報をもらった。仕掛けはローカルおなじみ4オンスシンカーの三又ブッコミ仕掛け。軽めのジグヘッド、4〜5インチのピンテールワーム。夜半からやっていて、自分は1匹も釣れてないので粘ってるけど、連れはストライパーを2匹釣って満足して引き上げたとのこと。

「2匹釣って帰った連れは1-1/2オンスのジグヘッドを投げていたけど、流れが速いせいで投げて巻いて投げて巻いて、忙しい釣りになってしまうんだ。だから俺はシンカーを使う。投げ込んでおけばカレントが勝手にワームを泳がせてくれるって寸法だ。これはただのワームだけど、買うならGulp alive(強烈な匂いの集魚剤がまぶしてあるワーム)がいいよ。魚の身と一緒に漬け込んでおくだけでもいい」。

ミノーは使わないの?と聞いてみると、「サーフやフレッシュウォーターの、旅をしている最中のストライパーにはいいだろう。ただここは桟橋だろ。桟橋に付いているストライパーは、とてもレイジーなんだ。目の前にあるエサしか食わない。ロックフィッシュはわかる? 桟橋のストライパーはロックフィッシュだと思ってやったほうがいい」。

いまの時期ベイトは何?「デカいストライパーはヘリング(シャッドのこと?)を食べてるけど、ここにいるサイズにヘリングは大きすぎて無理なんだ。だからウナギの稚魚やカニ、ゴカイ類を食べてる。あと腹が減れば小さいクラムも食う。つまりボトムでの釣りになるってことだ。泳がせるんじゃなくて、着底させて、しゃくり上げて、また落とす(リフト&フォール)のが常に効く。夏から秋にかけてはサーディンが接岸するから、ミノーでも釣れるかもしれないね」。

けっきょく2日目もサカナの気配すらつかめなかったけど、ドムのおかげで超有用な情報を得られたし、おかげで釣りのイメージがだいぶつかめてきた。そして6時間も粘っていたら、腰から肩から首からケツから身体中がバキバキになって、帰宅後意味わかんないほど寝こけてしまった。サカナの予感はまだ遠いけど、妻との間に流れる雰囲気が確実に不穏さを増しつつあるのはひしひしと感じられる。

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