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ヴィンセント、味がしないよ


ヴィンセント、味がしないよ

昼食

いつものチェンマイでの平日。
何事もない平穏を過ごしていた。
いつも通りローカル路面店で昼食をとるつもりだった。

行列はいつもよりは少ない気がしたが席は結構埋まっていた。
並んでいる間に空くかなと思いつつ、まあ相席でも別にいいかと思い注文を待った。

想定通り、商品を受け取っても席は空いておらず、相席することにした。
西洋メンズが一人で座っていたので隣を使っていいか聞いてみた。
もちろんOKだった。

はじめはワシのことをタイ人だと思っていたらしい。
「タイ語では昼食のことをなんというのか?」と英語で聞いてきた。
なんともややこしいが「タイ語はわからない」とだけ言った。

相席をした以上何も話さないわけにもいかない。
少しは英語を話したい自分もいた。

タイ人だと間違われたくだりからお互いの国の話をした。
彼はフランスのパリから来ていた。サッカーが好きか聞いてみたらヨーロッパの人はみんな好きだと言っていた。
お互いに好きなチームや日本代表の話などで暫し会話が続いた。
(サッカーが好きな確率が高くて結構助かる)

味がしない

だが、食事をしながらの英語は脳をフル回転させる都合上、普段通りとは行かない。食事に集中できていないのだ。
おまけに今日は、謎の勧誘?をしてくるおじさんが乱入してきた。こっちはたまったものではなかったが対応は彼に任せていた。

そんなこともあり、スパイシーなはずのいつもの昼食も辛くなかったし、味がしなかった。謎の満足感?満腹感はあった。

勧誘おじさんから免れたのはすごく助かったが味のする食事がしたかったのは本音である。もう会うかわからないこの出会いがまた良き思い出となるのだろう。

去り際に自己紹介をするのが海外流?

サッカーの話やらをしていたらお互いに食べ終わっていた。
彼はチェンマイに来たばかりだったみたいで、ワシは昼休みだったのでそこで別れを告げる流れになった。
まあ10, 15分一緒に食事をしただけだしと思っていたら、最後に名前を聞かれた、ワシの日本名は発音が難しそうだった。
彼は「ヴィンセント」と名乗った。

この間も最後にお互いに名前を名乗った気がする。これが海外流なのだろうか?

ヴィンセントは悪くない

味をしなかったのはワシの英語力のせいだ。味のしない現状に気づかせてくれたヴィンセントには感謝している。こうやって人は強く、一皮向けていくのだろうと思っている。

味のするランチを共にできるようになっておこう。


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