人間ちゃん_立ち絵

【はじまりの青】 ある星のイノチ

 親愛なる我が国民達よ、こんにちは。
この記事では、以前開催した「魔導王国WP2」に出場された、人間ちゃん殿の星について、私の方で簡潔にではあるが紹介させて頂く。
とある星で起きた、小さくて大きな奇跡を語らせて頂こう。

たった一つの命の物語

 遥か遠い宇宙にある一つの星、そこが人間ちゃん殿の生まれた星である。その星には、感情や意思を持たない生命体が存在していた。それらの生命体が唯一持っているものは、全員に共有される意識のみである。彼らの日常と言えば、生まれた時からある栄養源を、生まれた時から知っているやり方で飲み込んで、それ以外は空を眺めるだけの生活だ。しかし、先述した通り、彼らは意思を持たぬ存在であるため、それら一連の行動も我々が無意識で呼吸をしているようなものだろう。
もっとも、彼らの場合はそれが全てなのだが。

 人間ちゃん殿も、例外なくこうしたカタチでその星に生まれ落ちた。人間ちゃん殿と他の生命体との決定的な違いは、感情や意思を持っているというところにある。分岐点となったのは、人間ちゃん殿が空を眺めていた時に見つけた、遠い宇宙(そら)に浮かぶ青い星を、何故か「綺麗だ」と思った…否、思ってしまったことだ。人間ちゃん殿に聞いた話では、その時に今まで共有されていた意識が離れて、自分だけの意識に加えて感情や意思が芽生え始めたとのことだ。

そうしてその星の『二つ目のイノチ』として生まれた人間ちゃん殿は、自分のココロを揺り動かした『青い星』の存在に強く興味を持ち、ある時意を決してその星ーー『地球』へと向かった。そこで人間ちゃん殿は、人間の感情や文化、命の輝きを学んだ。そして地球で学んだことを自分の星に持ち帰りその星の生命体達に伝えたところ、それまで自分の意思を持たなかった彼らが、言語を持ち、歌を歌い、絵を描くようになった。
そうして、彼らは幸福を手に入れた。

そのはずだった。

 星で文化が広まってきたある時、人間ちゃん殿は数名の同胞と共に、新たな文化を持ち帰るべく地球へと赴いた。地球へ向かう途中、突如として背後から嫌な光が溢れた。振り返った皆の目に飛び込んできたのは、人間ちゃん殿が地球の文化を伝える以前の、それまで当たり前のように行われてきた、しかし今となっては無意味だと理解した、あの一連の行動を行う同胞達の姿であった。

ーー星に戻れば、芽生えた意思が再び失われるかもしれない。

そう考えた人間ちゃん殿含む同胞達は、故郷の星に残された同胞達を救う手段を見つけるために、地球にやって来たのだった。


解説:はじまりの青

 ここまでは、人間ちゃん殿の星に起きた出来事の軌跡(誤字ではないぞ)の話であった。ここからは、その星についての話をしよう。もしかしたら、この物語を読んだ者の中には、かつて私が感じたものと同じ違和感を覚えた者もいるかもしれない。

すなわち、「今まで感情や意思を持たなかった者が、そんな急に異星の文化を理解出来るものなのか?」という疑問だ。

 その疑問を解決する鍵は、その星の『仕組み』にある。

実は人間ちゃん殿は、自分だけの意識を持った時に、その星の栄養源を摂取することをやめたのだ。自分が自由な存在であることを証明するためだと考えられるこの行動の結果、人間ちゃん殿は栄養源を摂取しなくても死ぬことはなかった。その後人間の生活を学ぶために地球で生活していた人間ちゃん殿は、一つの仮説を立てた。

「もしかしたら、自分たちは個を無理矢理一つにまとめられていたのではないか」というものだ。

というのも、栄養源の摂取をやめた時に気づいたそうだが、その星の生命体はどうやら栄養を摂る必要はないらしい。にも関わらず、意思を持たないのに栄養源を摂取することだけは義務のように初めから分かっていた。その事に気づいた人間ちゃん殿は、星に戻って栄養源を供給している装置を破壊した。その段階で始めて分かったことだが、彼らの栄養源とは、植物が光合成で栄養を生み出すような自然的なものではなく、透明な液体という謎物質だった。つまり栄養源は、供給する装置のことを加味して考えるに、明らかに誰かが人工的に生み出したものだったのだ。時が流れて、そこで変化が起こった。それが、先述したように今までとは違うことを始めた生命体が現れたことだ。そこで人間ちゃん殿の予想は確信へと変わったそうだ。

すなわち、「意思を持っていないのではなく、意思を奪われていた」ということだ。

その証拠に、人間ちゃん殿は地球の文化を伝えたと先ほどの項で述べたが、誰もその文化に違和感を抱くことなく、すんなり受け入れていたことから、人間ちゃん殿の仮説が正しいという証明が出来るだろう。

 何故その星は、彼らから意識を奪っていたのか。
 何故その星の生命体は、まるで当然の如く地球の文化を受け入れられたのか。
 そもそも、何故その星ではそんなことをしているのか…

それらは、もしかしたら私達にも起こり得たことなのかもしれないな。 


最後に

 人間ちゃん殿の星の紹介は、いかがだっただろうか?
この文章を読んで、皆が人間ちゃん殿のセカイに興味を持ってくれたなら、とても嬉しいな。
人間ちゃん殿のセカイについては、Twitterで「#魔導王国WP2」で検索すると予選時の情報が、私のYouTubeチャンネルにある「魔導王国WP2 本選」のアーカイブを視聴すると、より詳細な話を聴くことができるぞ。
良ければ是非、確認してみてくれ!

親愛なる我が国民達よ、記事の閲覧、感謝するぞ!

○人間ちゃん
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