はじめての哲学_Fotor

哲人の人生に学ぶ〜『はじめての哲学』

◆石井郁男著『はじめての哲学』
出版社:あすなろ書房
発売時期:2016年2月

本書で取り上げる哲学者は14人。「万物の根源は水だ」と考えたタレスに始まり、ソクラテス、プラトンはもちろんのこと、ベーコン、デカルト、カントを経て、ヘーゲル、ニーチェ、進化論を唱えたダーウィンが入っているのがミソで、マルクス、デューイときて、サルトルで〆ています。それぞれの伝記的事実に着目して、その哲学のエッセンスを解説するというシンプルな構成。

著者の石井郁男は、小学校・中学校・高等学校で40年間教えた後、現在、福岡県立大学、健和看護学院で哲学教師をつとめている人。
限られた授業時間の中で哲学史の流れをつかむという課題に取り組んでいる教員ならではの実践的な知恵が本書の編集にもそのまま活かされているといえましょうか。

カントは「認識のコペルニクス的転回」と捉えられ、ニーチェは「小児の無垢の心」を持った超人哲学の人として立ち現れます。石井の手にかかると難解をもって鳴る哲学も実にわかりやすい。ということは、それなりに単純化や通俗化がほどこされているということでもあるでしょう。まぁ、入門書とは多かれ少なかれそういうものかもしれませんが。

ヨシタケシンスケのイラストが親しみやすい雰囲気を醸し出しています。

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