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[その3] UA重松名誉会長に2年たって納められない話➞素材工場がなにすべきか

「ユナイテッドアローズ名誉会長の重松氏からセレクトしてもらったが、2年たってまだ納められていないお話」なのですが、タイトルが長いから、今度から、

「episode-X UA重松名誉会長に2年たって納められない話➞XXX」

としてみます。


さて、少し寄り道になりますが、なぜ受注生産の素材(染めるための布)工場が、自分たちでテキスタイルの展示会にでたのか?ということを書いてみます。


まず、衣類を作るうえでは、布は素材と言えるでしょう。

その布といっても大きく分ければ二つあります。

1)「先染め」色のついた糸を使い柄を織り込んで布にする。

2)「後染め」白い布を作り、後から染めて色をのせる。染め、プリントですね。

1なら、オリジナルの生地が作れますので、商売になるでしょう。
でも、私たちは、オール2.染めるための素材・・白い布を作る工場。
白しかない、シルクしかない。さらに言えば、生地の幅も狭い。
自分たちだけで他にない価値を生み出すのが難しいのです。

よくもまぁそんな武器のない状態で、高いお金を払って展示会にでたものだと今更ながらに思います。ドラクエてきにいうと、竹やりとかこん棒とかで、冒険してる感じでしょうか。

でも、出展申請した頃は、恥ずかしながら自分たちの生地のポジションが分かっていないし、流通も分かっていないから、怖いもの知らずというか、世間知らずというか、見ればバイヤーの方々は唸るはずだ!ラグジュアリブランドも食いつく!と密に夢物語を抱いていたのは事実です。笑

そもそも、なぜ展示会に出ようとしたか

本業の仕事がどんどん減っている➞すこし、目先あがいてみよう。
そんな感じですね。

基本、受注生産=待つ=主導件を握れない 仕事のため、仕事の落ち込みがあった際に、何もできません。では、どうしよう?となります。工場としてできることはコストカットです。
兄である社長はその辺が得意で、月額の経費を下げるために色いろな努力していました。工場の空調はやめ、夏は地下水をくみ上げ、屋根の上から流すなどし、天然のエコクーラーにもしています、笑。

とはいえ、コストカットには限界があり、何かしなきゃ、と危機感に迫られていました。その時、新しく仕事をつくるには~~~と考えていくなかでどうするか??次の4パターンのどれにするか、です。

1)今の生地を新しい市場へ。
2)新しい生地をつくり、今の市場へ。
3)新しい生地をつくり、新しい市場へ。
4)まったく別なこと

結局、選択したのは、1と3です。そして、和装がだめなら洋装だ、生地もいっぱい動くだろうし、ラグジュアリブランドとかに使ってもらえれば名前が売れるし~、ということです。

後から分かりましたが、和装は落ち込み続けているからもう嫌だ、といって洋装に目を安直に向けましたが、洋装だってファストファッションが横行し、国産はどんどん減ってきているのです。笑。

要するに、一応、当時はない頭を振り絞って考えていたつもりでしたが、客観的にみると、浅はかで緻密な市場調査も、事業計画もなしに、とりあえずやってみるか、的な気合だけで進んでいたといってよいでしょう。(結果的にはそれがよかった)

それはさておき、具体的に何を売り込もうか?といえば、

「1)今の生地を新しい市場へ」では、今まで織っている法衣(お坊さんの衣)の生地を洋服に使えないか、ということ。

着物の生地は、約40㎝の幅。法衣は64㎝の幅。少し広いし、特殊で神聖なイメージがあるし、ワンチャンスあるかも。笑

「3)新しい生地をつくり、新しい市場へ」では、新しく開発した薄くて軽いストール向けの絽と紗の生地をお披露目したい。(こっちは結構いけると!と思っていた)


とりあえず、先に結果

結論だけかくと、4回でてお仕事はほとんど増えませんでした!泣

でも、重松さんに出会えたのです。

展示会の準備にむけて企画したり、色々とバイヤーや同業者など話を聞くなど、得られた経験値(つかったお金も)はとてつもなく大きいものでした。

あと、なぜ自信満々の新しい生地が商談にならなかったのか・・・それは、とあることをきっかけに、展示会申し込み時と、出展時で、事業の方向性がガラッと転換させてしまったこともあります。

その辺はまた次に。



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