あまり詩を想わない

そんなに詩を書かなくなったのは
落ち込んだりすることがなくなったからか
でもまだ心は飢えている
人との関わりは避けているくせに
大切な人の言葉は何よりも欲しい

常に欲望に振り回されて今を忘れるのが嫌で
トルストイを読むことにした
その間は価値のある時間だ
人間を語る
人間の心を描く
人間の行動を

見たことない淫らで歪んで醜く
衛生面が放置された
薄汚れた世界で
美しい人を描く
悲しいほど傷つく心を描く
役割に応じて無視してきた
あらゆる人の子の心を
状況や命令のせいにして
無視した多くの声を思い出す

人の心に無残に触れることは
どんな状況でも許されるものではなく
もしそういうものがあるとしたら
それが絶対悪というものだ
命は絶対善であることを
忘れてしまうほど
忙しく 苦して 余裕がない
そんな時は人と接してはいけないのだ

でも手は当たる
裾を踏む
鞄が顔に当たる

命を常に大事に生きることをしている人の
生きづらさをよく知っている
とても面倒臭い

しかし心はその生き方を正しいと
奥底が本わり暖かく
保健室のストーブのよう
認めてくれる
労ってくれる
優しさの熱

代わり映えのしない日々を愛する
心や感情は何だったのか思い出せない
本心に浸れば悪臭でしかない体臭が漂ってくる
それすら憎い
自分の匂いが憎い

好きなものに熱狂すれば
そこそこアドレナリンは出る
そんな発狂した時間は
あまり心とは関係ないのだろうか

対人不安の心は
自分の感情を共感する目的のもと
他人に浴びせかけることに
躊躇いを覚える
だから無覚醒な言葉ばかりを選ぶ
心から発したものでない限り
人の心は動かせないのも知って
その労力を省エネしている
不届きなサボタージュである


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