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高橋優「room」歌詞解釈

私は高橋優の曲が好きで、メロディもそうだが社会風刺的な歌詞が心に刺さるものや、確かにと納得させる物が多い。

その中でもPERSONALITYというというアルバムの中の1曲
『room』
という曲にとても違和感を覚えた。

インターネットで検索したところ
男を弄ぶ女性と、その女性に対し異常なまでの執着、愛情を持つ男の話
という解釈が一般的で、
男の劣情や嫉妬心、束縛欲求を描いたものだと受け取る人が多かった。

しかし私はどうしてもそうは捉えられなかった。
この曲は、
夜職の女性に本気で恋をした男の危うい欲求と儚さを描いたストーリーに感じるのだ。

下記に具体的な理由と歌詞毎に個人的な解釈を記してみる。


「朝までだって騒いでいようね」と言った
それが嘘だと言われてすぐに分かった
ノリで吐かれた言葉がナイフみたいだ
平気なフリしてグラスをぶつけ合った

「今日は朝まで一緒にいようね」と言われシャンパンを入れたがアフターで朝まで居た事はなかった。
キャバ嬢とシャンパングラスで乾杯をしたが、この日も朝まで一緒に居ることはなかった。

(遊ばれているorセフレだと朝まで一緒にいようねと女性が発言する事に違和感を覚える。又、グラスをぶつけ合う描写は高級なディナーかキャバクラがイメージしやすいので敢えてこの描写を差し込んでいるのだと思った。)


どうせ帰るんだろ? 今夜の花火がどれだけ綺麗だって
帰るんだろ? 彼の待つ部屋に

店外で花火大会の日に誘い、夜まで一緒に居られることを期待したが、彼女は帰ってしまった。
(どうせ帰るんだろという描写から、男の卑屈さやいじけ具合が見える。又、確定で女性が彼氏の家に帰る事が分かる訳ではなく、あくまで男視点からの想像。彼氏が居るかも確定では無い。)

いっそ君をどこかに連れ去って
もう誰も知らぬ街で暮らして
帰りたいと泣き叫ぶ君を優しく縛りつける

女性への支配欲や劣情から危ない妄想や考えが頭をよぎる。

嘘でもいいから好きだよと言って
もう一度だけでいいキスをして
しきりに見つめる掌サイズの窓を叩き割らせてくれ

好きだとも言ってくれない
キスもしてくれない女性
スマホを見つめ、時間や他の人からの連絡を待っている。
(以前は好きだとも言ってくたし、キスもしてくれた事があるのだろう)

君じゃない人を愛したいと思った
何度か会えば気がうつるかと思った
同じ条件で君に会いたかった
いっそ君に傷をつけてやりたかった

夜職の君ではなく、一般女性を好きになれればよかった。
何度も会えば君も僕を好きになってくれると思った。
客とキャバ嬢ではなく一般社会で君と出会いたかった。
傷を付ければ君はこの仕事を辞めてくれるのかと思った。
(こういう考えを持っている人が風俗、キャバクラのお客さんではとても多く、ガチ恋客と呼ばれている。
その人たちの言葉をその人たち目線で美化して描いているのだと感じた。)

なんで好きなんだろう?
突き放したいのなら出来るはずなのに
しないんだろ?君はもういない

なぜこんなにもハマって好きになってしまったのか…
そして、ついに彼女は辞めて連絡が取れなくなってしまった。or危ない客だと感じられて出禁、連絡が取れなくなってしまった。
(夜職の女性は身の危険を感じると自己防衛の為にこういう処置をする事が往々にあります。)

多分今頃彼と抱き合って
僕との時間は仕事と偽って
会いたかったと猫撫で声で耳元にキスをする

男は妄想を始めます。

たとえば幸せがそこにはあって
僕と君とのそれは間違いで
破滅に向かうだけならそれも悪くない叩き割らせてくれ

自分との関係が破滅に向かうだけで、その男との恋愛で君が幸せになれるならと相手を想う気持ちが垣間見えますが、やはり怒りの感情が勝る男性

どうせ帰るんだろ?
今夜の花火がどれだけ綺麗だって
帰るんだろ? 彼の待つ部屋に
いっそ君をどこかに連れ去って
もう誰も知らぬ街で暮らして
帰りたいと泣き叫ぶ君を優しく縛りつける
嘘でもいいから好きだよと言って
もう一度だけでいいキスをして
しきりに見つめる掌サイズの窓を叩き割らせてくれ

ストーリーのまとめ&振り返り


以上が私が感じた「room」のストーリーと意味の解釈になる。
風俗の女性に当てはめても比較的意味は通るがキャバクラの方が歌詞に出てくる単語と合致しやすいように思う。

この曲はコロナ禍に発売されたアルバムの中に収録されており、それぞれの部屋(心の内)を投影した曲が多く収録されている。
また、その当時は風俗の女性が刺される事件がありその事もこの男性の加虐性に影響しているのかもしれないと推察出来る。

高橋優の曲には度々風刺の効いた歌詞があり、今回はそのうちの一曲では無いかと思うがどうだろうか。

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