寿限無アゲイン

子どもに付ける名前にも流行り廃りがある。

ここ10年ほどはいわゆるキラキラネームと呼ばれるものが流行っていたが、ブームも終息の兆しを見せている。

そして次の大きな波になりそうなのが、例の寿限無である。古典回帰とでも言うのだろうか。かつて子どもにキラキラネームを付けていたような親が、寿限無のフルバージョンを子どもの名前にするケースが増えてきた。

親にその理由を尋ねると一様の答えが返ってくる。

「テレビでやっててなんか面白そうだったから。意味わかんねえけど、なんか日本ぽくてかっこよくね?みんな付けてるし」

このような現代の寿限無たちは、通称「新世代寿限無」と呼ばれている。新世代寿限無を名付ける際の特徴は、一部の漢字を変えるなど自己流にアレンジすることだ。親たちが皆、子どものためを思って個性を出そうとする。

例えば、これは最後の長助の「長」を自分の好きな漢字に変えたパターンである。

寿限無、寿限無
五劫の擦り切れ
海砂利水魚の
水行末 雲来末 風来末
食う寝る処に住む処
藪ら柑子の藪柑子
パイポ パイポ パイポのシューリンガン
シューリンガンのグーリンダイ
グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの
長久命の超助

また、次のようなケースもある。ラップやヒップホップを意識してなんとなくリズミカルするパターンだ。

寿寿寿寿 寿限無、寿限無
五五五五 五劫の擦り切れ
海砂利水魚の
水行末 雲来末 風来末
食う寝る処に住む処
藪ら柑子の藪柑子
パパパパ パイポ パイポ パパパパ パイポのシューリンガン
シュシュシュシュ シューリンガンのググググ グーリンダイ
ググググ グーリンダイのポポポポ ポンポコピーのポンポコナーの
ちょちょちょちょ長久命の長助

その他、私が聞いた中では、全体を二回繰り返すというパターンもあった。

元々意味は重視していないため、一部を好きなように変えることに何の抵抗も無い。名前が長いので、バリエーションもほぼ無限大である。

ただし、親自身は覚えられないのでニックネームで呼ぶことが多いそうだ。

めかぶは飲み物です。