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情熱

面白くてつい、にやっとした。
虫歯があるような気がして先週、歯科でレントゲンを撮った。変なプラスチック型をかまされて、重たいエプロンをつけられて、椅子に固定された自分の姿があまりに滑稽だった。

恐れず死にたい。

腹の底からブワァっと燃え上がってくるなにかが、ぐつぐつと煮えたぎっている。他がどうであれ、社会がどうであれ、私は私だ。ただ目線をまっすぐに、胸を張って生きたい。何にも恐れず、自然にかえるように死にたい。私がいくら拒否をしても、いのちは次々と生まれてくる。意思とは反して、日々たくさんの卵子がつくられている。私の小さな子宮の中でもね。

病院のへんな椅子に括り付けられたまま、大地震に襲われてぺちゃんこになったとしても、ビー玉を飲み込んだとしても、吸血鬼に噛まれても、べつになんでもいいと思う。究極たどり着く先は同じだもんな。

これをどうにかして物質にぶつけて、目に見える形で、表現してみたいと思っている。

クレヨンで描く絵が好きだ。めんどうな準備なく、ナマのまま色がのって、ぐりぐりと押し付けたその指先の強さが、滲みや澱みなくきちんと反映されるから。手指が鮮やかに汚れていく作業は気持ちがいい。

世の中のへんなもの、に対してクスッとしていたい。常にすべてに抵抗していたい。いつでも目を見開いて、大いに感動していたい。

ちいさなユーモアはいつもどこにでもある。
つゆに濡れた草花、やる気ないのに散歩させられている犬、隣に座っている老夫婦の会話、机の上でゆらゆらと揺れるディルド、白線だけを歩く横断歩道とか。

素直でいたい。自分の中の卑しいところ丸出しで、愚直な人間でいたい。ねじれているものが、ぜんぶ、ずっといやだ。スッと覚悟を決めてしまって、飛び込むんだ。

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