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おやじパンクス、恋をする。#234

 俺達は連れ立ってフロアに戻り、乱闘騒ぎがあったこと自体知らねえらしい客たちをかき分けて進んだ。

 そういえばボンとカズの姿が見えない。

 俺達の強引な進み方に振り返った客の何人かが、ボッコボコになった俺らの顔を見て驚いた表情をする。よく見れば、俺らの方を指さしている奴らが何人もいる。あんだけ派手にやり合ったんだ、既に警察にも連絡が入っているかもしれない。

 時間がねえ。

 兎にも角にも目指すはVIP席、あるいは佐島さん、あるいは雄大。

 「おい、あそこ!」背の高いタカが指差した方向、一番奥後ろのテーブル席に佐島さんの姿が見えた。立ったまま、身振り手振り興奮した様子で、話している。それを聞いているのは他でもない、嵯峨野だ。

 そしてその隣、ソファにはボディガードにがっちり肩を掴まれて座っている、雄大の姿があった。

 佐島の言葉に嵯峨野は何度も頷いて、そしてポケットからガラケーを取り出すと誰かにかけた。

 警察か? そう思った俺が思わず「雄大!」と叫んだ時、テーブル席の手前、つまりフロアの端に集まっていた客が一斉に後ろを振り返った。ああ、クソ、こいつら、さっきまで殴り合ってた梶商事の社員たちじゃねえか。

 いなくなったと思っていたが、なんてことはねえ、テメエのボスのとこにこうして集まってたってわけだ。

 さすがに多勢に無勢、二三人ずつ相手にすりゃよかったあの細い通路ならまだしも、ここでは一瞬で袋になっちまう。

 くそ、どうすりゃいいんだ。

 できの悪い俺の頭は答えを出せず、思わず立ち止まった。

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LOVE IS [NOT] DEAD. 目次へ

この小説について
千葉市でBARを経営する40代でモヒカン頭の「俺」と、20年来のつきあいであるおっさんパンクバンドのメンバーたちが織りなす、ゆるゆるパンクス小説です。目次はコチラ

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