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おやじパンクス、恋をする。#202

「雄大がいないの」

 梶さんの葬式から二日後、ベッドの中でうだうだしながら取った電話で、彼女は言った。

「はあ? いねえって何だよ」

 驚いた俺は身体を起こし、ベッドの上であぐらをかく。

「お葬式以来、音信不通なのよ。会社にも来てないし、車もないし、部屋に行っても留守だし」

 珍しく慌てた様子の彼女を何とか落ち着かせて、一旦電話を切った。

 すぐに雄大の携帯電話にかけてみる。

 彼女からの着信に反応しなくても、俺からなら出てくれるかもしれないという淡い期待を持ってのことだったが、早々に留守電に切り替わってしまった。非通知でかけてみても結果は同じ。

 彼女曰く、雄大は梶さんの葬式が終わってから彼女と一言二言しゃべったんだという。

 雄大は最後に、マサさんとうまくやれよ、みたいなことを言って、笑いながら駐車場に向かった。

 雄大は変わった様子もなく車に戻ると、そのまま駐車場を出て行ったという。

 俺はカズに電話をかけた。

「いや、連絡なんて来てねえよ、なんだよ、そんなシリアスな話なのか?」

 スーパー銭湯の中で流れるのんきな音楽をバックにカズは言ったが、俺自身、シリアスな話なのかどうか分からなかった。

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この小説について
千葉市でBARを経営する40代でモヒカン頭の「俺」と、20年来のつきあいであるおっさんパンクバンドのメンバーたちが織りなす、ゆるゆるパンクス小説です。目次はコチラ

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