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おやじパンクス、恋をする。#194

「はああ? 原始時代だあ? 何の話だよ」

「いや、だから原始時代は大変だっただろうなって」

「いや変わってねえ」

 俺は”ろくでなしポーズ”で突っ込んだが、雄大には意味がわからなかったんだろう、不審げな表情でこちらを見る。くそ、意味不明なのはてめえだろ。

「まあいいや、で、何が大変なんだよ」 

「生きるのが、ですよ」

「はあ?」

「だって、なーんもないわけでしょ。山があって、海があって、さあ、生きてください、この状況で何とか生き延びて下さい、そういう世界でしょ。動物とか魚とかを採って生きてたって簡単に言うけど、超大変だったと思うんすよ」

「あ、ああ、まあそうだろうな」

「それに比べたら今なんて、超ラクじゃないですか。食うもんはちょっと店に入れば手に入るし、普通に会社に入って普通に働いてりゃ、普通に給料もらえて。それってなんてラクなんだって俺は思うけどな」

「……じゃあお前、少しくらい厳しい道選べよ。梶商事じゃなくてよ」

「なんでですか、一番ラクなとこが一番いいに決まってんじゃないですか」

 このゆとりクソ野郎、って思わず突っ込みそうになったが、それを止める何かがあった。こいつと梶さんとの出会いのエピソード。殺し屋の顔をした中学生の雄大が、梶さんとこに金貸してくれと現れたってときの話だ。 

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この小説について
千葉市でBARを経営する40代でモヒカン頭の「俺」と、20年来のつきあいであるおっさんパンクバンドのメンバーたちが織りなす、ゆるゆるパンクス小説です。目次はコチラ

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