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おやじパンクス、恋をする。#200

 なんだ? と思って見ていたら、どこかこちらを探るような表情になった佐島さんが、黒く日焼けした手でその紙をこっちに差し出してくる。

「なんです?」

 なんとなく嫌な予感がした俺は、紙を覗き込むこともせず、佐島さんに聞いた。佐島さんは俺の視線を避けるようにして、答える。

「今度ね、ちょっとした会合を開くんですよ。まあ、堅苦しいもんじゃなくて、若者同士の交流会っていうんですか。クラブって知っとるでしょ? お姉ちゃんが酒注いでくれるとこじゃなくて、音楽聞いて踊るとこね。皆さんくらいの若いのが来てくれると、場も盛り上がりますんで、よかったら顔出してくださいや」

 そこまで一気に話した佐島さんは、俺のみぞおち辺りにその紙をぐいと押し付けた。思わず受け取ってしまうと、佐島さんはどこか歪んだ笑みを浮かべて頭を下げると、ぷいと振り返り、会場の中へと戻っていった。

「おい、なんだよそれ」カズが俺の手元の紙を指差す。

「挑戦状か?」と涼介。アホ。

「だからその、会合、の知らせだろ」とボンが冷静に言い、「会合ってなんだよ」とやっぱりタカが繰り返す。

 俺は無言でその紙を見下ろした。

 この葬式会場にはそぐわない金ぴかな文字。

 ああ、どっかで見たことがある。

 なんちゃらなんちゃらパーティ。そう、これは……。

「だから言ったじゃねえか」

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この小説について
千葉市でBARを経営する40代でモヒカン頭の「俺」と、20年来のつきあいであるおっさんパンクバンドのメンバーたちが織りなす、ゆるゆるパンクス小説です。目次はコチラ

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