見出し画像

地方地域で頑張る人が身につけるべき力

先日、こんな記事を読んだ。

地方創生計画 外注多数 交付21億円超 都内企業へ

アンケートに回答し、実際に支払いが確認された約40億円のうち、半数となる21億円が東京の企業に発注されているそう。地方地域活性化のためのお金なのに、東京の企業が潤うという実態になっている。

これは皮肉であると同時に、理解もできる。
僕の周りにはそれぞれの地域を盛り上げるために奮闘している人がたくさんいる。が、地元で頑張るプレイヤーを知らない、どんなことができるのかも知らない、という行政は少なくない。また、ある地元民を贔屓すると他とのバランスが合わないと考える行政もある。
都心の大手企業の方が営業力で勝り、事例や実績もたくさん持っているため、アピール力では差が出てしまう。そして行政は「すでに実施した実績や事例」に弱い。

自分たちが住むエリアを盛り上げよう、何かを始めようと考えている人たちもいることは確かだ。そんな人たちにも目を向け、何かを任せてみたり、支援の予算をつけてみてもよいのではないか?

とはいえ、その役割に見合う力がない限り、役は回ってくることはない。地元地域で活躍するプレイヤーは、役割に見合う身になるために、どんな力を身につけるべきか?
自分なりに、自戒の念も込めて、書き出してみた。

基礎体力

企画書、提案書作成能力とプレゼン能力。ビジネスモデルやビジネスロジックの基本的な知識。どうやったら儲かり、誰にとってメリットがある企画があるのか。そしてどんな経済効果があるのか。そうした目論見をきちんと語れるための知識と経験(とそこから培われる勘)は、ある程度必要だと思う。

大手企画会社は人数もさることながら戦歴もあるので、現場経験は豊富な場合が多い。とはいえ、東京企業並みの大型案件の経験を踏まなくても、基礎能力を上げることはできる。
本を読んでまとめ、実際に小さなところから実践してみたり、他人の企画を手伝いながら勉強したり、セミナーや勉強会に出向いて行ったり。勉強の機会を得るのであれば、それこそ都心まで出向いても良い。能力が付くのであれば、移動と時間を惜しまず動くべきであると思う。

また、議題及び議論の進め方の能力も必要だ。
自身の経験を振り返っても、議論がテンポ良く進まず、とにかくミーティングが長かったり、ただの文句を並べるだけで具体的な企画になっていかなかったり、内容が絵空事すぎて誰にとって良い話で、どんな効果があるのか見えなかったりする場面を見ることも多かった。こうした進め方の改善は、事業を任せてもらうための基礎能力を身につける上で必要不可欠なのではないか。


感覚と視点

都心の企業はその地域に毎日いるわけではない。仕事の一環としてWebで調べた基礎知識だけを持って初めて来るとか、観光で何回か訪れた、といったケースがほとんど。
いざ仕事として関わることになっても、月1〜2回来て、地域の人と半日話すとか、1日かけて見学するくらい。そういったチームから地域の魅力の本質や、実際に地域で起こっていることをうまく汲み取った企画が出てくるかは疑わしい。
(実際にひどい内容のものも見たことがあった・・・)
実際に住み、リアルな変化や兆しを感じ取っていないと、「ここが本当の魅力」というポイントはなかなか分からないのではないか。(似たような地方地域に住んでいるのであれば、自分の環境と比較ができるので良いかもしれないが)

しかし、ずっとその地域にいる人が考えられるかというと、そこもすんなりとはいかない。

過去に地元生まれの人から、
「ここは富士山や八ヶ岳、南アルプス、北アルプスまで見えるんだけど、当たり前すぎてそれがどれだけ価値あることなのかいまいち実感が湧かない」
と言われたことがある。この感覚を変えていくには、地元にいながら地元の人とは違った視点を身につける必要がある。

山好きや写真好きからすれば、国内のメジャー級の山々が360度見渡せる場所の価値は高い。どこからなら景色を最も楽しめるのか。どんな言い方・伝え方であればそういう人たちが喜ぶか。そういった捉え方ができる視点を身につける必要がある。

広い生活者や社会全体の変化、トレンドの移り変わりに敏感でありながら、自分の生活圏内の動きも把握し、比較したり関係性を考えられるようにできる、遠近感覚を持つ。今いる環境の常識にとらわれず、「ほんとにそうかな?」という疑問を持ち、別の切り口を見つける視点を持つ(時には嫌われる覚悟を持って)。

地元の様子や雰囲気、人の拠り所なども足で稼いで見て回りながら、地域の特定の集まりに偏ることなく、満遍なく様々な人に触れる事ができる身体感覚と、その中でも先がありそうなものを見極める視点を持つ。

そんな感覚と視点を持つ事が、内にいながら外から考えられるために必要なことではないか。


着想

多くの尊敬するプランナーが言っているように、アイデアはなにもないところから生まれるわけではなく、ある要素と要素の組み合わせで生まれる。
その要素同士が意外な組み合わせだったり、強い社会的文脈に沿った組み合わせであれば、良いアイデアが生まれる可能性も高い。

自分自身の場合は、異なる地域を行き来することで、物理的に距離のある情報を組み合わせたり、異なるカテゴリーの人と会うことで得られる情報を組み合わせたり、着想を得たりすることが多い。
ネットでなんでも調べられるようになっても、距離のある情報が結びつくには不十分だったりすることもあると思う。

「感覚と視点」を持ちながら、様々な場所や人から得た情報、世の中の流れなどをヒントに組み合わせたり、かぶせたりできることが、魅力的なアイデアを生むきっかけになる。
完全なるオリジナルなんて世の中にはほとんどないし、誰かのマネっぽくたっていい。なにかに着想を得るくらいで良いのだと思う。「基礎体力」があれば、その「着想」を実行に移すことができるはずであり、実行に移すことができなければ、なにも生み出すことはできないのだ。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

101
Route Design合同会社 代表 / プロジェクトデザイナー / サービスデザイナー。 八ヶ岳のコワーキングスペース/シェアオフィス「富士見 森のオフィス」運営代表。 www.routedesign.net
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。