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ビジョンを描くことは、ますます重要になる。

2018年はとにかく0→1のプロジェクトや仕事が多く、みんなで汗水垂らして動きまくった記憶が多い。そんな中、ビジョンを描く仕事が多く、たくさんの文字を意識して書くことも、前より多くなったように感じた。

クライアントとのプロジェクトを進める上で描くビジョン。
自分たちの自主プロジェクトにおける描くビジョン。
自分たちがサポートするプロジェクトや森のオフィスの仲間たちからの相談に乗る上で描くビジョン。
そして自分自身とチームの仲間が進む上で協議し、描くビジョン。

どれもが複数人から、多くの人が関係し、バラバラにならずになんとか同じ方向を向き、進むべく取り組んでいるものばかりだ。
尊敬するコピーライターの澀江さんの言葉に、「ビジョンとは北極星のようなもの」という言葉があるが、まさに「どっちへ行くべきか」という時に、誰もが見て進める方向を定めるのが、ビジョン・ライティングである。

僕自身はブランドコミュニケーションにおけるアカデミックな知見が豊富な身であるわけではないが、これまでの経験上、ビジョン無しでは、ミッション(使命)も、企画のコンセプトもブレたり忘れ去られたりすることが多い。もちろんその逆も然り。
そしてビジョンは、関わる人々、あるいは社会との間で語られ、共有されるためにも、言葉(&ビジュアルでも)によって明確に残されるべきである。

Route Designは登記としては一人会社だが、一緒に動いているチームメンバーとしてはよくビジョンについて話す。話すことで各々が大切にする価値の定義を理解しながら、そこにある文脈を明確化し、共有する。そこからピックアップされた言葉を用いて、ビジョンという文章、あるいはビジュアルに落とし込む。

ビジョンは絶対的なものでもなければ、科学的事実に基づいて描かれるものでもない。ビジョンは複数人、あるいは現在の社会との関係性の中で描かれる、「こうなっていたい」という願いのようなものでもある。
そこには多くの人が信じる共通の価値観があってこそ作られるものであり、共同主観的な価値に基づいて語られるものだ。
年末に『ホモデウス』を読んだが、ハラリ氏曰く、ホモサピエンスが想像上のものを信じる能力を備えていたことで、不特定多数の同種で協力し合い、地球上で最も発展することができたという。
宗教と神を多くの人が信じるのと同じように、会社とそのルールも、多くの人(社員や株主、その企業ブランドのことを知っている人)がその存在と価値を信じ、共有しているから社会的に実在するように感じている。この能力が人間に備わっているから、今ある組織が成立しているのだ。
その能力故に、その時代時代に重視された共同主観的価値に基づいて人は流され、争い事や無謀な消費や環境破壊をしてきたのも事実である。
この本を読んでいると、ますます社会ネットワークの中で受ける影響にどう向き合えば良いのか分からなくなってくる・・・

が、それでも自分たちは協働して進んでいくことが必要だ。
これまで信じられてきた企業や組織のような共同主観的価値が薄らいできている時だからこそ、多くの不特定多数の個人を、バラバラになることなく協働するためにも、ビジョンのような存在を描く必要があると思う。

ただ、ここで描かれるのは自分たちを中心に置いて自己中心的に考えたビジョン(理想像)ではなく、社会や周辺環境の中で自分たちを見た、自らの存在意義に基づいて描かれた理想像、Purpose(存在目的、存在意義)に近いものであるべきだ。

自分たちは社会や自然環境といった、自分たちが存在している環境下において、どんな意義ある存在でありたいのか?役割は何か?を考え、より本質的な観点から「こうなっていたい」と描くべきではないか。

お店であれば、その店だけでなく、店が関わるバリューチェーンや周辺環境、変化する社会環境、店が生み出すであろう様々な人や組織との関わりの中で考えるべきだろう。
地域であれば、人間が設定したに過ぎない区や村、町単位で考えるのではなく、より広域での存在意義や活動意義を考えるべきではないか?

今年は昨年から動いていたプロジェクトがより具現化する年でもあるし、ずっと取り組んできたものの本質が問われるようなこともありそうな年だ。
その中で、今年も引き続きVisionやPurposeを考えながら描くことに取り組んでいきたい。

その一方で、上に書いたようなこととは逆のことになるかもしれないが、「なんとなくこっちの方が良さそう」「なんとなく気になる」といった、直観力に頼った行動も大切にしていきたい。
ビジネスの場だと「なんとなく」という選択が許されない雰囲気が多いが、本来動物は直感、あるいはプログラム的な意思に基づいて動いているわけで、これを抑圧しているようでは、ますます共同主観の中で溺れてしまうのではないか。
直感的に動ける身軽さと行動力を持ちながら、なぜそれが良かったのかを塾考し、言葉に落とし込むことを繰り返していきたい。

と、ここまで書いてきたが、そんなことを実行する時間的余裕を見つけることも、2019年の継続課題でもある・・・

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