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常温亜鉛めっきの製品はどれですか?

質問:「常温亜鉛めっきって何ですか?常温亜鉛めっきの製品はどれですか?」

よく頂戴する上の質問にお答えいたします。
回答:「溶融亜鉛めっきと同等のさび止め性能を持つ高濃度亜鉛末塗料のことです。ローバル、ローバル エコタイプ、厚膜ローバル、エポローバル、水性ローバルが常温亜鉛めっきに該当します。」

溶融亜鉛めっきとは

まずは常温亜鉛めっきの元となった言葉の溶融亜鉛めっきについて説明します。
溶融亜鉛めっきとは、460℃近くまで高温で溶かした亜鉛槽の中に鋼材を浸して、表面に亜鉛の被膜をつくる処理のことです。

誤解を恐れずに例えると、チーズフォンデュです。パン(鉄)を溶けたチーズ(亜鉛)に漬けて、パン(鉄)の周りにチーズ(亜鉛)が付く、そんな感じです。

工程を写真で見ていきます。
下の写真の様に鋼材が吊られて、亜鉛槽の上に来ます。

亜鉛槽に入る前の鋼材

ゆっくりと、亜鉛槽に入っていきます。

亜鉛槽に入っていく鋼材

鋼材が亜鉛槽から出てくると、表面に亜鉛がついてキラキラしています。

亜鉛槽から出てくる鋼材

鋼材全体に亜鉛めっきがされていることがわかります。

溶融亜鉛めっきされた鋼材

30秒ほどにまとめた溶融亜鉛めっき工程の映像です。

溶融亜鉛めっきは英語で言うと、Hot Dip Galvanizingとなります。

常温亜鉛めっきとは

常温亜鉛めっきとは、溶融亜鉛めっきと同等のさび止め性能を持つ高濃度に亜鉛の粉(亜鉛末)を含んだ塗料のことです。

常温亜鉛めっき

常温亜鉛めっきはイギリスで発明されました。溶融亜鉛めっきと同等のさび止め効果を持ち、溶融亜鉛めっきのように高温で処理しなくて良いということから、『Hot Dip Galvanizing(熱い 漬ける 亜鉛めっき)』に対して、『Cold Galvanizing(冷たい 亜鉛めっき)』と呼びました。
この『Cold Galvanizing(冷たい 亜鉛めっき)』が日本語に訳されたとき、塗料同様の常温施工であることから、『常温亜鉛めっき』と呼ばれるようになりました。

常温亜鉛めっきは、中国語では『冷镀锌涂料(レン ドゥー シン トゥー リヤオ)(冷たい めっき 亜鉛 塗料)』となっています。日本語の常温亜鉛めっきより、Cold Galvanizingに近い意味合いの言葉となっています。溶融亜鉛めっきは『热镀锌(ルー ドゥー シン)(熱い めっき 亜鉛)』と言います。

ジンクリッチペイントと常温亜鉛めっきとの意味合いの違い

常温亜鉛めっきと近い言葉で『ジンクリッチペイント』があります。ジンクリッチペイントは高濃度亜鉛末塗料のことを指します。常温亜鉛めっきはジンクリッチペイントの中でも溶融亜鉛めっきと同等のさび止め性能が出るほど亜鉛含有率が高いものを指します。

例えば、ローバル、ローバルシルバー、ローバルアルファを例に挙げると、すべてジンクリッチペイントに該当しますが、常温亜鉛めっきに該当するのはローバルだけです。模式図を書くと、下のようになります。


ジンクリッチペイントと常温亜鉛めっき

ジンクリッチペイント、高濃度亜鉛末塗料はどれくらい以上亜鉛末が入っているものを指すかと言えば、70%以上と認識しています。ちなみに、ジンクリッチペイントは、中国語で『富锌涂料(フー シン トゥー リヤオ))』と言います。

常温亜鉛めっきと溶融亜鉛めっきの関係

溶融亜鉛めっきは非常に優れたさび止め性能があり、橋や鉄塔など多くの場所で使われています。亜鉛槽がある工場で溶融亜鉛めっきが可能です。現場まで運ばれた後は、再めっきすることは不可能です。そこで常温亜鉛めっきが使われます。

・切断面、溶接部の補修
溶融亜鉛めっきの製品を切断、溶接などの加工をすると、その部分のめっきがなくなって鉄がむき出しになってしまいます。溶融亜鉛めっきがなくなった切断部や溶接部からさびてこないよう、周りに溶融亜鉛めっきと同等のさび止め効果をもつ常温亜鉛めっきを塗って補修します。グレーチングの切断が例に挙げられます。

・古くなった亜鉛めっきのリフレッシュ塗装
すでに設置した溶融亜鉛めっきの鋼構造物は経年変化により、さび止め効果がなくなってきます。設置済みの鋼構造物を再び溶融亜鉛めっき工場に運び、もう一度と溶融亜鉛めっきをすることは現実的ではありません。そこで、常温亜鉛めっきを塗ってメンテナンスします。亜鉛めっきの上に普通の塗料を塗った場合、剥がれなど様々なトラブルが発生することがあります。常温亜鉛めっきの場合、同じ亜鉛を使っているので問題なく施工できます。標識柱が良い例です。

リフレッシュした標識柱

・溶融亜鉛めっきができないものへの塗装
溶融亜鉛めっき槽に入らない大きな鋼構造物、高温の亜鉛めっき槽に入れると熱で変形してしまう薄物の鋼構造物など溶融亜鉛めっきができない場合でも常温亜鉛めっきなら問題なく施工できます。

常温亜鉛めっきは、溶融亜鉛めっきの苦手なところを補完しています。

常温亜鉛めっきと溶融亜鉛めっきの防食性比較

常温亜鉛めっきと溶融亜鉛めっきの防食性を比較しても、写真のようにどちらも赤さびが発生していません。両者ともに高い防食性をもっていることがわかります。

常温亜鉛めっきと溶融亜鉛めっきの防食性比較

常温亜鉛めっきは塗料なので、金属である溶融亜鉛めっきのような硬さはありません。常温亜鉛めっきが溶融亜鉛めっきと同等の性能を持っているのは、防錆性能になります。

常温亜鉛めっきの製品

常温亜鉛めっきの製品は、ローバル、ローバル エコタイプ、厚膜ローバル、エポローバル、水性ローバルの5つの製品群が該当します。

ローバル
ローバル エコタイプ
厚膜ローバル
エポローバル
水性ローバル

これらの製品を使おうと思っているが、製品名で指定することができない場合、『常温亜鉛めっき』とご指定いただくと、これらの製品を選定することが可能になります。

(記事担当:MTMTH)


定義や由来は諸説あると思います。その点、ご了承願います。

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